中勘助のレビュー一覧

  • 銀の匙

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    著者の自伝的なお話だそうです。最初の方は少し退屈しましたが、だんだん面白くなってきました。いじめられっ子だったのが少しいい調子になった時には「あるある」と思いました。読んでいくうちに夏目漱石の「坊っちゃん」が好きな人は好きなのかなと思っていたら、巻末の解説で夏目漱石から絶賛された、とあり驚きました。

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    2024年10月22日
  • 銀の匙

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    自分の幼少期が思い出された。缶蹴りやめんこ、かごめ、竹馬、ふき玉鉄砲など先輩や友だちと一緒にした記憶がよみがえった。いまではそんな遊びをしている子どもはいない。そんなに古い時代ではないのに。スマホもゲームもなかったけど田舎の遊びは楽しかった。

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    2024年07月26日
  • 銀の匙

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    著者が幼少の頃の思い出が書き綴られている。本書はストーリー性、哀愁、教訓といったものを期待して読むものではなく、美しいものを鑑賞するように読むべきものである。
    解説でも書かれているように、本書に描かれているのは著者が幼少の頃の視点の記憶でもなく、大人が想像した少年の視点でもない、少年の視点そのものである。子供がもつ目一杯に開かれた感受性が捉えた花鳥風月の描写が美しい。主人公の繊細な気質が相俟った子供の内面の描写も美しい。

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    2023年12月11日
  • 銀の匙

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    明治時代の東京の下町を舞台に、病弱な少年の成長していく日常を描いた自伝的作品。

    夏目漱石が「きれいだ、描写が細かく、独創がある」と称した、まさにそのままの作品。ほんとうに優しい文体で、少年の心情の表現が細かく為されている。数人の同年代の女子との交流が、章の区切りのような役割を果たしていて、それぞれの対応によって少年の成長が実感できる。近代文学界のほっこり小説。

    「お恵ちゃんは誰が自分をいたわってくれるかさえ知らずくやしそうに泣きじゃくりして人のするままになってたが、ようよう涙を止めて だれかしら というように袖のかげから顔を見合わせたときにさもうれしそうににっこり笑った。長いまつ毛がぬれて

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    2023年08月16日
  • 銀の匙

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    大人になっても捨てられない銀の匙
    虚弱な赤ん坊だった彼は
    それを用いて漢方薬を飲まされていた
    母から聞いたその頃のエピソードをとっかかりに
    幸福な少年時代が回想される
    虚弱だったもんで伯母さんに甘やかされており
    乱暴な男の子たちのことは憎んでいた
    それで、よその遊び相手といえば専ら女の子であった
    しかし成長するにつれ
    虚弱なままでは女の子にも相手されないということに気づく
    それでだんだん活発な子供へと自分を変えていった
    他の男の子と喧嘩もできるようになった

    ところが時は流れて奇妙なことに
    いつしか女性とまともに喋ることもできない若者となっていた
    そんな皮肉でこの話は終わる

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    2022年05月12日
  • 銀の匙

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     前篇が1911(明治44)年、後篇が1913(大正2)年の作。
     当時夏目漱石がいたく賞賛した作品とのこと。確かに子どもの心、子どもの世界をよくとらえており、自分とは全く違う環境・違う経験のプロセスにいるのに、読んでいるとどこか懐かしい感じに囚われるのは、やはり「子ども」の普遍を掴んでいるからだろう。大人から見れば「ほほえましい」のかもしれないが、子どもは子どもで真剣に悩んだりしているものである。しかしその頃世界はまだ自分とつながっていて、全体はふんわりと包まれているような優しさだ。そんな幼年時代の、守られている幸福。
     後篇でかつて長いこと可愛がってくれた叔母さんが亡くなるところが、悲しい

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    2022年04月29日
  • 銀の匙

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    導入で引き出しの中の銀の匙、というアイテムから子供時代の回想に入っていって、あとはもうひたすらに、子供時代が描かれていく。
    描かれている時代に懷かしさを感じる、というわけではないのだけれど、
    あぁ、こんな事に喜んでいたな、とか、ああ、こんな感じだったかもしれないな、と、自分の子供の時分にも思いを馳せる。
    この鮮やかさはどこにいってしまったんだろうか。ノスタルジー。開けば出会える子供時代。

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    2022年03月03日
  • 銀の匙

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    伯母と私の物語。前編は伯母の主人公への優しさが溢れる。病気がちだったこともあり、自分の中に閉じこもりがちだった私を、上手く子供社会になじめるようにしたり、ぐずる主人公をあやす伯母の優しさがギュッと迫る。
    後編は、伯母の元から離れて、別の人達と関わりをもつけれど伯母の影響がある
    もう一度読みたいです

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    2022年01月28日
  • 銀の匙

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    なるほど、長らく読み継がれてきた本だとの思いを新たにした。
    初版が大正元年(1912年)だ。

    前編と後編に分かれていて前編が幼時から小学低学年、後編が高学年から17歳までの思い出といってしまうと平凡。

    病弱な神経の過敏なひとりの男の子が成長していく姿。
    銀の匙で薬をひと匙、ひと匙ふくませるような文を通して語りかける子供の世界。

    幼子の物語、世界であっても、ある普遍性を秘めている。
    中勘助の独特の目でみたところのあまりにも、あまりのも鋭くとぎすまされた人生観がある。

    昔(40年前)読んだ時は、遊びつかれた宵の月の美しさ、虫の声、など地の文にすける自然に心奪われた。しかし、今読み返してみる

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    2021年09月15日
  • 銀の匙

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    自分のうちにあるものや、自分が感じたものの表現方法でこんなやり方があるのかと、ハッとするシーンが多い。

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    2021年07月20日
  • 銀の匙

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    子どもの公文国語に銀の匙が出題されていたことがきっかけで読んだ。橋本武先生が灘中で3年かけて教えたことは有名なエピソードであるが、それだけ深みのある作品なのだろう。幼少期の男の子の成長物語が明治の子供達の状況と合わせて丁寧に描写されている。美しく郷愁を誘う文体。主人公の男の子は、少し泣きすぎで、喝を入れるお兄さんの気持ちもわかる。伯母さんの最後は可哀想に思った。

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    2021年05月01日
  • 銀の匙

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    表紙が美しい。和紙のような手触りがいい。
    漱石が「きれいだ」と称賛した文章は読みやすい。今と異なる生活の様子も目にうかぶよう。

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    2021年01月31日
  • 銀の匙

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    こんなに素直に自分の感覚を受け止められるのが羨ましい。目や耳など、どこから入ってきた情報でも全てを左脳に流し込んでしまう自分にとって、これほど羨ましいことはない。それと表現の優しさ。この本の要点をまとめることは、きっと出来ないような気がする。仮に出来ても、大事なことは何も伝わらないだろう。

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    2020年11月22日
  • 銀の匙

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    明治時代の子供達の生活がよくわかる小説。
    何度も買っては読まずに放してしまった小説だったが、
    美しい文章に今回大事に読むことができた。
    老いさばらえた伯母との再会には、大変ジンとさせられた。

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    2020年08月01日
  • 銀の匙

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     読んで数ページで、なんて美しい世界なんだろうと思った。ひ弱な少年から見た世界が、鮮やかで繊細に切り取られている。世界は、ありのままで充分美しいのかもしれない。

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    2020年05月25日
  • 銀の匙

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    私は平成生まれで、当然この物語で
    描かれている時代については無知である。
    しかし、懐かしい。
    描かれる人々、風景、モノ、会話、その全てに
    懐かしさを感じた。
    おそらく、強く日本を感じるのであろうと
    思われる。

    自伝的な内容で、主人公の幼少から青年期までが
    描かれている。
    自分に重ね合わせながら、淡い心象描写や
    美しい文体に惚れ惚れとする。


    力強さはないが、日本文学の良いところ
    がありありと感じられる、素晴らしい本だと思う。

    読むべき。

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    2020年05月10日
  • 銀の匙

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    1度途中で挫折したけど
    なんだか急に読みたくなって再読した。

    伯母にずっとくっついていた事や、いくじがない性格が自分と似ていて共感する部分が多かった。
    駄菓子を売っているじじばばが近所にいたり、
    初めて学校に行く日の事を思い出し子供心を取り戻したような気持ちに。
    ずっと手元に置いていたい一冊になった。

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    2020年04月27日
  • 銀の匙

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    文学とは「何を書くか」ではなく「どう切り取るか」ということだと感じた。たとえ私が同じ半生を送っていたとしてもこんな繊細に煌めく文章は書けない。中勘助が今の自分と同年齢の時の作だと知り、色々と思うところがあった。

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    2020年03月11日
  • 銀の匙

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    伯母さんの愛情。
    子供の頃を子供のままで描いた作品みたいだ。
    ちょっと味わうには難しかったけど...
    国語の授業の方も読もっと

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    2020年02月12日
  • 銀の匙

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    1935年、およそ100年くらい前に岩波文庫から出版された本です。どこでこの本の情報を手に入れたのか?もう定かではありませんが、1930年代のこの国の原風景をとても細やかに描写していて当時の日本の文化や空気に触れられた気がしました。
    ちょっと繊細で弱虫な少年の幼少期の成長譚なんですが、読むほどに情景が浮かんでは消えて、泣き虫少年の胸の内に湧き出す喜怒哀楽がとても芳醇な描写や表現で綴られていて日本語自体の響きの柔らかさ、語彙の豊かさを感じます。
    本作のように主人公が日常で感じる悲喜こもごもの心理描写を詳細に描いた物語って、読んでいてカズオイシグロ先生の「私を離さないで」を思い出しました。物語では

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    2020年02月04日