中勘助のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
神保町の古書店でみつけた一冊。
全く予備知識がなかったのですが、灘高の国語の授業で用いられたほど有名な作品なんですね。
中勘助が27歳のときに書いたという、半自叙伝的小説です。
たゆたうような日本語が美しく、ふと気をゆるめれば、まるで文章においていかれてしまうかのよう。
幼い勘助の目を通してうつった世界が、きっとそのままの感受性で立ち現れていました。
素朴でささいなエピソードばかりなのですか、こうも瑞々しさを放つのは、彼の独特で繊細な表現ゆえでしょうか。
想い人のお慧ちゃん、姉さま、どちらとの別れでも恥ずかしがって挨拶できない勘助が愛らしかった。