感情タグBEST3
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幼少期から思春期までよくこんな細密な描写ができるなと感嘆ばかり。内容は、子供の遊びひとつとっても、現代と比べなんと豊かなことか。まだまだ自然とたくさん接点のあった時代かな。
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病弱で祖母にかじりつきの中勘助の幼少期から青年までの自伝的エッセイということになるのかな。
本当に小さな頃からの話を事細かに、その時の自身の気持ちを主軸に書かれているんだが、それがすごいのなんの。
記憶をその時その時にわけて真空パックにでもしているのかというほどありありと書かれてらっしゃる。
ずっとただの日常の話なんだけど人間味というか生活感というか…それが溢れていてとても好きな1冊になりました。
解説にも書かれてたことになりますが、他の作家の影響がなく世界観が無二だそうで、なるほど新鮮に読めた気がしたのもあながち間違いではなかったかと思いました。
そういう事なのでもしかしたら好き嫌いがわかれる作品かもしれません。
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ただ、起承転結なストーリーではなく、少年の日常がかかれてるだけですが、惹き込まれていきました!心理描写、情景描写を綺麗に表現されてて、ずっと読んでいたい気持ちにさせられました。
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美しすぎる日本語。
主人公が子供の頃から大切にしている小箱。
(抜粋)
なにもとりたてて美しいのではないけれど、木の色合いがくすんで手ざわりの柔らかいこと、ふたをするとき ぱん とふっくらした音のすることなどのために今でもお気に入りのもののひとつになっている。なかには子安貝や、椿の実や小さいときの玩びであったこまごましたものがいっぱいつめてあるが、そのうちにひとつ珍しい形の銀の小匙のあることをかつて忘れたことはない。
主人公の宝物ばかりをしまった小箱の中にある“銀の匙“。そこから、小さい頃、病弱であった自分を母親代わりに大切に育ててくれた叔母さんの思い出、繊細な“私“が見てきたもの、触れてきたもの…。近所の仲良しの女の子と夕方まで遊んだ楽しい思い出。腕白な同級生にいじめられた思い出…。
脳内で私は絵本を見ているようだった。主人公の銀の匙をしまっている小箱は素朴なコルク質の木の小箱だけれど、主人公の思い出はまるで寄木細工のように美しく箱の表面を覆っているかのように思えた。
繊細なあまり、知らない人のことは皆嫌いだったが、幼児の時に出会ったお国ちゃんと小学生の時に出会ったお恵ちゃんとの友情とそこからほのかに恋心が芽生えた場面などは、まるで中嶋潔さんの絵の世界。
けれど、この主人公は弱々しいだけではない。繊細な神経は人の真実を見抜いてしまい、日清戦争で「大和魂、大和魂」と教師も生徒も盛り上がっているときに、「先生、日本人に大和魂があればシナ人にはシナ魂があるでしょう。…先生は敵を憐れむのが武士道だなんて教えておきながらなんだってそんなにシナ人の悪口ばかしいうんです」と楯突いた。そして“修身“の時間に「孝行」という言葉を百万べんも聞かされるので「先生、人はなぜ孝行しなければならないんです」と質問して教師を困らせもした。太平洋戦争の時代なら憲兵に捕まっていたのではないだろうか?この小説が発行された大正十年には大丈夫だったようだ。とにかく、こんなに冷静な見識が書かれていて良かった。
小さい頃育ててくれた伯母さんを訪ねていったとき、すっかり年老いて、目も悪くなった伯母さんが
(抜粋)
ひざのつきあうほど間ぢかにちょこんとすわって、その小さな目のなかに私の姿をしまってあの十万億土までも持ってゆこうとするかのようにじっとみつめながらよもやまの話をする。
という描写も「安寿と厨子王」の母との再会のシーンのようにジーンとくる。
灘高校で昔、橋本先生という国語の先生が教科書の代わりにこの小説だけを三年間かけて読み込む授業をされたという。
じっくり、ていねいに読んで、お口の中にキラキラと金平糖を転がすように味わって下さい。
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美しい日本語に触れられる作品。「一つの表現に感動する」という体験が出来る。女の子との友情が芽生えていく様子を、牡丹のつぼみのほころびに例えた文章が、美し過ぎて、個人的に忘れられない。
明治時代の主人公の幼少期の何気ない日常の一コマ一コマなんだけど、時代を超えて現代にも通ずる懐かしさをも感じた。読み継がれる理由が分かる。
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この世界観が大好きで何度も読み返す。
昭和をまったく知らない世代にはなかなか想像し難いかもしれないけれど、こんなふうに育てられた子供が豊かな情緒をもち、味のある大人になるのだなと思う。
このような幼少期を過ごしたからこそ、『蜜蜂』他数々の名随筆が生まれたのだと思うと、中勘助を育ててくれた伯母さんに感謝、感謝。。
日常の描写
微笑ましい光景
幼き日の中勘助が可愛くて可愛くて。。
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素晴らしかった。大正時代の終わりに書かれた本。知ってはいましたが初めて読みました。日本語が美しい。描写が沁みる。描かれている世界に心温まる…現代と比べてなんと豊かな世界が広がっているのだろうと、胸が詰まりました。”美しい国”とはこういうことを言うのですよ、偽造、捏造しか術のない醜い安倍晋三さんとその一派の皆さん。
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体の弱い主人公と世話役の伯母とのやりとり
近所の女の子の友だちとの遊び、学校での出来事などの日々が
淡々と綴られている、私は存在していない時代なのに
なぜかとても懐かしく思える。文章がとても美しい。日本語の良さが詰まった小説。
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明治時代の東京の下町を舞台に、病弱な少年の成長していく日常を描いた自伝的作品。
夏目漱石が「きれいだ、描写が細かく、独創がある」と称した、まさにそのままの作品。ほんとうに優しい文体で、少年の心情の表現が細かく為されている。数人の同年代の女子との交流が、章の区切りのような役割を果たしていて、それぞれの対応によって少年の成長が実感できる。近代文学界のほっこり小説。
「お恵ちゃんは誰が自分をいたわってくれるかさえ知らずくやしそうに泣きじゃくりして人のするままになってたが、ようよう涙を止めて だれかしら というように袖のかげから顔を見合わせたときにさもうれしそうににっこり笑った。長いまつ毛がぬれて大きな目が美しく染まっていた。そののち二人の友情は、いま咲くばかり薫をふくんでふくらんでいる牡丹のつぼみがこそぐるほどの蝶の羽風にさえほころびるように、ふたりの友情はやがてうちとけてむつびあうようになった。」
「あわれな人よ。なにかの縁あって地獄の道づれとなったこの人を にいさん と呼ぶように、子供の情景が空をめぐる冷たい石を お星さん と呼ぶのがそんなに悪いことであったろうか。」
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なるほど、長らく読み継がれてきた本だとの思いを新たにした。
初版が大正元年(1912年)だ。
前編と後編に分かれていて前編が幼時から小学低学年、後編が高学年から17歳までの思い出といってしまうと平凡。
病弱な神経の過敏なひとりの男の子が成長していく姿。
銀の匙で薬をひと匙、ひと匙ふくませるような文を通して語りかける子供の世界。
幼子の物語、世界であっても、ある普遍性を秘めている。
中勘助の独特の目でみたところのあまりにも、あまりのも鋭くとぎすまされた人生観がある。
昔(40年前)読んだ時は、遊びつかれた宵の月の美しさ、虫の声、など地の文にすける自然に心奪われた。しかし、今読み返してみるとここにも凝縮された社会性があるということがひたひたと心に響いてくる。
子供の目で見た子供の世界と夏目漱石が絶賛したというが、子供が虐待されているこの現代こそ、その謎解きをしてくれる本ではないかと思えたがうがち過ぎか。
ああ、でもなによりかによりきれいな気持ちになる本だ。
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こんなに素直に自分の感覚を受け止められるのが羨ましい。目や耳など、どこから入ってきた情報でも全てを左脳に流し込んでしまう自分にとって、これほど羨ましいことはない。それと表現の優しさ。この本の要点をまとめることは、きっと出来ないような気がする。仮に出来ても、大事なことは何も伝わらないだろう。
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明治時代の子供達の生活がよくわかる小説。
何度も買っては読まずに放してしまった小説だったが、
美しい文章に今回大事に読むことができた。
老いさばらえた伯母との再会には、大変ジンとさせられた。
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読んで数ページで、なんて美しい世界なんだろうと思った。ひ弱な少年から見た世界が、鮮やかで繊細に切り取られている。世界は、ありのままで充分美しいのかもしれない。
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文学とは「何を書くか」ではなく「どう切り取るか」ということだと感じた。たとえ私が同じ半生を送っていたとしてもこんな繊細に煌めく文章は書けない。中勘助が今の自分と同年齢の時の作だと知り、色々と思うところがあった。
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主に明治後半の東京を舞台にした、著者の幼少期を基にした物語。幼少期の子供の思うことやら友達や家族との関係などが詳細に描かれていて自分の幼少期を思い起こさせるが、内容がどうのこうのというより、いろいろな描写の文章の見事さが、巧みな俳句のように、詩のようであり惹きつけられる。子供の目を通した明治期の東京の様子が歳時記のように語られるのも面白い。ネットや辞書を片手に読みながら日本の伝統的な風俗の意味を知るのに打って付け。この本を題材に国語の授業をするのと言うのは確かに素晴らしい発想だと思った。
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以前新聞で、灘高校の教師が国語の時間にこの本だけを使って授業をしていたことを知った。尋常小学校までの前篇と、少し大きくなってからの後篇の二部構成。かつての日本の美しい風景が目に浮かぶような心地よい文で綴られている。
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幼少から少年期の美しく、またほろ苦い思い出という題材が、大変にきれいで素直な文章で綴られている。
取り立てて驚くような、はっとさせられる起伏のある内容ではない。
しかしながら、この「思い出」という題材と「きれいで素直な文章」、これこそが「銀の匙」の真髄のような気がする。
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主人公である語り手の目にうつる日常の景色を、淡々とした文章で描写している小説。何よりもその、言葉のうつくしさに心惹かれ、流れるように続く文章に感銘を覚え、目に浮かぶほどの情景に心奪われた。ゆったりと、ゆったりと楽しめた。
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はじめは注釈多いのに慣れないのと、主人公が甘えすぎ伯母さん甘やかしすぎでいらっとしてしまったので、なかなか入れこめなかった。
小学校入学したくらいからは慣れてきて、昔の学校の雰囲気や自然のようすを想像しながら読んだ。
淡々としていて特別盛り上がることはなかったけれど、描写が細かく、丁寧に描かれてるお話だった。
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久しぶりに「味わう」小説に出会った。
言葉を味わい、文章を味わう。
樋口一葉のたけくらべを思い出した。
昔の遊びや迷信、唄などは、自分の世代がギリギリだろうな、とは思う。
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確かに起伏はない自伝であるが、観察眼描写力が素晴らしい。今の時代の生徒に1年かけて学ばせるものがあるかといえば疑問だが、これは、声に出して詠むと良さがわかると思う。
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明治から大正にかけて没落したとはいえ、士族の子供であった作者は、彼だけを愛してくれる叔母に庇護されながら、いじめられても、不登校になりながらも、表現手段を獲得するまでに成長できていた。そのことを肯定的にとらえられる物語だった。
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著者の自伝的小説。感受性が豊かで繊細、そして涙脆い少年のお話。描写がとても独特で「その人のまろまろした声」とか「とろとろとほほえましめる銀色の陽炎」とか。
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橋本武先生の著書から知り読みました。なかなか文が難しく読み応えがありましたが、一区切りが短くまとめられているため、少しずつ読み進めることができました。はじめての文学作品らしいものを読みました。
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再読。伯母さんとの戦ごっこと、お兄さんとの「なにをぐずぐずしてる」「お星様をみてたんです」「ばか。星っていえ」のシーンをよく覚えていた。それにしても、主人公、めっちゃ泣くなぁ。このままでは落第してしまうほど頭が悪かったのに、先生に(憐れまれて)怒られないから1番だと思ってたって、なんて幸せな性格。この先大丈夫なんだろうかと心配になりながら読んだ。晩年の伯母さんと出会うところが切ない。
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病弱で人見知りな主人公が様々な人と出会い、時代の風の中でたくましく生きていく少年の日々を描いた自伝的小説。
前半は伯母との生活の話で、淡々としているが描写はかなり細かい。後半は少年が学校に通い始め、そこで起きる出来事が中心となって物語は進んで行く。
生き物の中で人間が一番嫌いだったと語った主人公が物語後半になるにつれて、人間の中で嫌いなのは僕の知らない人間だというように変わっていくところが見どころ。