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Posted by ブクログ
古い木箱から見つけた銀の匙をきっかけに、幼い頃の記憶が語られる。
子どものころの世界の見え方、考え方が、大人が思い出しながら話すそれとは違い、本当に子ども心に語られているよう。
前に読んだ『センス・オブ・ワンダー』に近い印象を持った。
子どものころには、子どもにしか感じられない世界がある。
周りのものに一々感動したり、悲しんだり、驚いたり。
大人になるにつれ、色々なものを知る中で、そうした感動は薄れていく。
私は息子と度々山登りをするが、いかに大人の私とは見ているものが違うかを実感する。
変わった形の枝、街では見かけない虫。
そうしたものに逐一足を止め、「パパ見て!」と呼ぶ。
大人であっても、そんな驚きや感動に満ちたこの世界の一端を、見逃さないように生きていきたいと思う一冊だった。
Posted by ブクログ
2020.7.22
体が弱いことからこの時代にしては甘やかされて(実際にしょっちゅうお菓子やらおもちゃやらを買ってもらえているのでそれなりにお金がある家と思われる)育ったのに、そんなに傲慢にならず感受性豊かに育った主人公の話。
前半は子どものころ面倒を見てくれた伯母とのやりとりがほとんどだが、文体が流麗で景色がありありと浮かぶ。現代語訳ではないけれど昔すぎないのでよく読めば意味は十分わかる。当時の流行り物やかけあいもおもしろく笑ってしまうところも多々あり、原文だからこそ伝わるものもあると思った。
日清戦争あたりの描写や「兄」に代表される、画一的でダイバーシティを良しとしない、「戦時下の日本」のような日常にたいして、男なのに星を見たりきれいな貝を拾ったり仏教的な慈しみに関心を示してしまう主人公。生まれた時代が遅すぎたか(平安時代だったら良かったのに)、または早すぎたか(2015年以降なら良かったのに)と思った。
とくに「あらすじ」はないけれど、読むとはまってしまいほろりとする、不思議な作品だった。
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