川端康雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ本作品もテーマが著者オーウェルの代表作「1984年」の中で描かれる「ニュースピーク」に重なる。
それは「全体主義の恐怖政治」において、法(作中では7つの掟)や歴史の解釈(作中では追放された元リーダーのスノーボールが活躍した事実)がこっそり政治の中枢で改訂され、それが知識人らによって流布され、大衆が簡略化されたスローガンを連呼して全体主義が浸透していくという流れ。
資本家の象徴として描かれる元荘園主を追い出して動物による動物のための農場を作ったリーダーのナポレオンだったが、最後は隣接する農園主の人間と密会を重ねるうちに豚のナポレオンが2本足で歩くようになり、服を着るようになり、人間と見分けが -
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Posted by ブクログ
ジョージ・オーウエルの「1984」を読み、「1984」を理解するためには、やはり彼の生涯を理解する必要があると思い、本著を手に取る。
彼自身が支配する側と支配される側の両方に身を置き(意識的に)、また、ナチスドイツ、ソ連、詰まり、国家社会主義、共産主義が独裁管理国家となることを直に体験していたからこそ、「1984」は必然的に世に出ることになったのだろう。
彼の深い洞察力が、物事の本質をつくことを可能とし、物事の本質とは、現在にも通じる普遍的なことなのである。
だからこそ、今、「1984」を読むべきだと、改めて感じた。
以下抜粋~
・「ナショナリズム覚書」で説明しているように、「パトリオティズ -
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Posted by ブクログ
動物農場、1984、そしてそれらに収録されていた「絞首刑」「象を撃つ」といった短編でしかジョージ・オーウェルには触れてこなかった。全体主義が導く破局を鋭く告発する作家、という印象だ。おそらく、多くの人がそういう印象を持っているのではないか。
この新書は、200ページ超のボリュームに彼の生い立ちや事件、思想の変遷、そして執筆された作品群をとりまとめ、ジョージ・オーウェルという人物を立体的に描き出している。
オーウェルその人は、作品自体の偉大さゆえに本人の人となりも作品と等価に考えられがちだ。しかしここには"decency"に拘った一人の思想家の姿がある。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ動物たちが反乱をおこして人間を追い払う。
そして独立した「動物農場」はどのような共同体になっていくのか?
1945年に出版された作品で、
ソビエト連邦の真実をあぶりだしたようなおとぎ話だということです。
以下、ネタバレありです。
人間に完全に支配されている動物たちの蜂起は、
はじめ平等と平和という理念のためでしたが、
反乱が成功してからはちょっとずつ変容していく。
知識階級が牛耳るようになっていくのが
悪い方向へ行く徴候なのだけれど、
外敵がいるから知識階級が指示をだしたり計画を練る立場に
ならざるをえないんですよね。
そして、知識層の「ぶた」たちには公共心が薄いところが、
他の動物たちに -
Posted by ブクログ
Animal Farm(1945年、英)
共産主義を批判した寓意小説。動物農場はソビエト社会主義共和国連邦のアレゴリーである。メージャーじいさんはレーニン、ナポレオンはスターリン、スノーボールはトロツキーをモデルとしている。ユートピアを目指していたはずの農園が史上最悪のディストピアへと変貌していく逆説は、人類が忘れてはならない歴史の教訓だ。
しかし、これを読んで「共産主義怖すぎ」と他人事のように言っていられるほど、世界は単純ではない。作品は1944年2月に脱稿していたにも関わらず、その発表は翌年8月17日まで待たねばならなかったという事実がある。日本のポツダム宣言受諾から2日後、米ソの冷戦時 -
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