川端康雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ジョージ・オーウェルの主要な小説とノンフィクションをすべて読んでいたので、知っていることも多く、また川端康雄先生の整理も簡潔でわかりやすかったので、1日で読み切ってしまいました。世の中がオーウェルの作品をどのように受け止めたのかが時代によって整理されていて、とても良かったです。そもそも第一次世界大戦から第二次世界大戦までの歴史があやふやだったので、オーウェルの作品との関連含めて、まとまっていて勉強になりました(汗)。
面白かったのが『葉蘭をそよがせよ』(Keep the Aspidistra Flying)が慣用句 keep the flag flyingのもじりだと言うこと。keep the flag flyingは、直訳すると「旗を掲げ続ける」、主に「組織・国・信念などを支持・主張し続ける」「(困難な状況でも)戦い続ける、活動を続ける」という意味になるそうで、『葉蘭をそよがせよ』の葉蘭の役割を考えると、なるほど!と膝を打ちました!
現代日本人のオーウェルのイメージはまさに、「ストップ!監視社会!」のスローガン、といった赴きですが、川端先生が控えめに主張されている、ジョージ・オーウェルの作品の素晴らしさは、名もなき人間のディセンシー(decency)を讃えているところにある、という意見には首がもげるほど首肯するばかりです。
なんか、答え合わせみたいな読み方をしちゃいましたが、Must to readな未読の評論もわかったし、実り多い読書でした。次はぜひ大衆文化研究(…マンガ論とかみたいなやつ?)の先駆けとなった「少年週刊誌」を読みたいです!あと「政治と英語」も!
…どこで読めるんだ!?
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Posted by ブクログ
●2026年2月2日、Yahooフリマでクーポン使用のためキーワード「動物農場」で検索して出てきた。Yahooフリマで帯あり、690円。
●2026年8月18日、Yahooフリマから新着出品通知きた。出品者さんがオリジナルの説明文のせてた。
「私、好きな小説(主に冒険小説やミステリーやSFなど)を色々な訳で読み比べるのが趣味でして、こちらの『動物農場』もずいぶんと読みましたねえ。
内容は長くなるので割愛しますが、オーウェルはぜひ『1984』とセットで読んで欲しいです。
書かれた時代背景もあり、今どきの子にはかもしれませんが、あまり学校では習わない近現代史を深く知るきっかけになるんじゃないかと。
歴史を知れば知るほど、古いSFや風刺小説、更にはそれらを換骨奪胎(という名のパクリを)した現代の漫画やアニメがより面白くなると思います。」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本作品もテーマが著者オーウェルの代表作「1984年」の中で描かれる「ニュースピーク」に重なる。
それは「全体主義の恐怖政治」において、法(作中では7つの掟)や歴史の解釈(作中では追放された元リーダーのスノーボールが活躍した事実)がこっそり政治の中枢で改訂され、それが知識人らによって流布され、大衆が簡略化されたスローガンを連呼して全体主義が浸透していくという流れ。
資本家の象徴として描かれる元荘園主を追い出して動物による動物のための農場を作ったリーダーのナポレオンだったが、最後は隣接する農園主の人間と密会を重ねるうちに豚のナポレオンが2本足で歩くようになり、服を着るようになり、人間と見分けがつかなくなっていく。
これは労働者のリーダーのはずのスターリンが資本主義国家の英国や米国首脳と会談を重ねて彼らに同化していく様子を風刺している。
オーウェルは言う。
【現代の戦争】とは、支配集団が自国民に対して仕掛けるものであり、戦争の目的は領土の征服やその阻止ではなく『支配構造の保持』にある、と。
そして法や歴史的解釈、ニュースの真相といった政治的教養は、いかにマスコミやフェイクニュース、プラットフォームのアルゴリズムによって自在にプロパガンダに変貌しうるのかを示している。 -
Posted by ブクログ
ジョージ・オーウエルの「1984」を読み、「1984」を理解するためには、やはり彼の生涯を理解する必要があると思い、本著を手に取る。
彼自身が支配する側と支配される側の両方に身を置き(意識的に)、また、ナチスドイツ、ソ連、詰まり、国家社会主義、共産主義が独裁管理国家となることを直に体験していたからこそ、「1984」は必然的に世に出ることになったのだろう。
彼の深い洞察力が、物事の本質をつくことを可能とし、物事の本質とは、現在にも通じる普遍的なことなのである。
だからこそ、今、「1984」を読むべきだと、改めて感じた。
以下抜粋~
・「ナショナリズム覚書」で説明しているように、「パトリオティズム」が「特定の場所と特定の生活様式への献身」を意味する防御的な概念であるのに対して、「ナショナリズム」はつねに権力欲と結びついた攻撃的な概念としてとらえる。
「愛国心は保守主義とは無関係で、むしろ保守主義とは反対のものである。なぜならそれは、つねに変化しながらも、なんとなくおなじものだと感じられている者への献身なのだから。それは過去と未来をつなぐ橋である。真の革命家が国際主義者であったためしはない」
鶴見俊輔が解説するよう、「パトリオティズムとは時の政府に対する服従を意味するものではなく、日本語ではむしろ郷土愛という言葉の方が近い」
「おさない時からおなじ土地に育ち、そこでおなじ言葉をつかって一緒にくらしてきたものの間にうまれる親しみが、人間の底の方から支えるという思想」にほかならないからだ。
「特定の場所と特定の生活様式への献身」としての「パトリオティズム」を重視しているからこそ、オーウェルはイギリスの民衆文化に持続的な関心をもち、折にふれて論じたのだった。
「ニュースピークの目的はひとえに思考の幅を狭めることであるのはわかるよね?最終的には思想犯罪を文字どおり不可能にしてしまう。それを表現する語がなくなるのだからね。必要な概念があればすべて一語だけで表現される。その単語の意味は厳格に定義され、それに附随したいろいろな意味はすべて消し去られ忘れられる。この言語が完全になったときこそ革命の完成だ」 -
Posted by ブクログ
動物農場、1984、そしてそれらに収録されていた「絞首刑」「象を撃つ」といった短編でしかジョージ・オーウェルには触れてこなかった。全体主義が導く破局を鋭く告発する作家、という印象だ。おそらく、多くの人がそういう印象を持っているのではないか。
この新書は、200ページ超のボリュームに彼の生い立ちや事件、思想の変遷、そして執筆された作品群をとりまとめ、ジョージ・オーウェルという人物を立体的に描き出している。
オーウェルその人は、作品自体の偉大さゆえに本人の人となりも作品と等価に考えられがちだ。しかしここには"decency"に拘った一人の思想家の姿がある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ動物たちが反乱をおこして人間を追い払う。
そして独立した「動物農場」はどのような共同体になっていくのか?
1945年に出版された作品で、
ソビエト連邦の真実をあぶりだしたようなおとぎ話だということです。
以下、ネタバレありです。
人間に完全に支配されている動物たちの蜂起は、
はじめ平等と平和という理念のためでしたが、
反乱が成功してからはちょっとずつ変容していく。
知識階級が牛耳るようになっていくのが
悪い方向へ行く徴候なのだけれど、
外敵がいるから知識階級が指示をだしたり計画を練る立場に
ならざるをえないんですよね。
そして、知識層の「ぶた」たちには公共心が薄いところが、
他の動物たちにはみえていなかった。
知識階級が権力を手中にするのをためらわず、
そしてその権力欲と支配欲を詭弁をつかってめくらまししつつ、
いつのまにやら支配体系ができあがっていく。
平民にはわからないインテリ言葉で彼らを欺きながら、
ウソも用いて、洗脳とも言えるようなことをし、
さらに暴力で脅かして掌握するという方法。
ソ連とスターリンの風刺だそうです。
人間、頭が回らない老人になっても
「ずるさ」ははっきり残るひとには残るし、
頭の回転が速くて人生の全盛時にいるようなひとも
「ずるさ」から離れられないひとは離れられないし、
そういうひとたちって多いと思う。
公共心の有無だとか強弱ですかね。
人間の「ずるさ」という根本的な性質が、
共産主義なんかを成立させないポイントだと思ったり。
そういうのもありますから、
インテリ層が力を与えられて、
計画を練り政策を行うということになったとき、
彼らに求められるのは、
公共心をはっきり持てないならば、
「善いことをしているときには、
悪いことをしていると思ってやんなさい」
という吉本隆明的、ポール・ヴァレリー的姿勢なんじゃないか。
動物農場のインテリ層が権力を牛耳り始めたのには、
「俺たちは善いことをしているのだから、
ちょっと悪いことをしてもいい」という
モラルライセンシング効果が働いたとみることも
できるんじゃないだろうか。
そして、それは、ソ連にも当てはまるのかもしれない。
根本的な「ずるさ」とモラルライセンシング効果が重要でしょうか。
反乱をおこして、
外敵がいるからインテリ層が指導します、としても、
そこで権力をふところにしまいこむのが間違いだ。
でも、
そこで間違わないやつのいない世界がどこにあるんだ!?
と思うほうなんですよね、ぼくは。
読んでいくと、どんどん腹が立つし、
最後までいくと義憤にかられます。
サブタイトルに「おとぎばなし」と題されていますが、
そういう単純化されてわかりやすいからなお、
憤りを感じるのだと思います。
この「動物農場」で展開されることは、
パロディですけれども、
現代にも通じることだし、
その根っこのところは常につかんでおきたいものです。