川端康雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
Animal Farm(1945年、英)
共産主義を批判した寓意小説。動物農場はソビエト社会主義共和国連邦のアレゴリーである。メージャーじいさんはレーニン、ナポレオンはスターリン、スノーボールはトロツキーをモデルとしている。ユートピアを目指していたはずの農園が史上最悪のディストピアへと変貌していく逆説は、人類が忘れてはならない歴史の教訓だ。
しかし、これを読んで「共産主義怖すぎ」と他人事のように言っていられるほど、世界は単純ではない。作品は1944年2月に脱稿していたにも関わらず、その発表は翌年8月17日まで待たねばならなかったという事実がある。日本のポツダム宣言受諾から2日後、米ソの冷戦時代の始まりだ。
発売されるやいなや、本書が世界的ベストセラーとなったのは、傑作だったからには相違あるまい。しかし、他言語への翻訳を積極的に推奨したのは米国だったこと、敗戦直後の日本に本書の翻訳をいち早く許可したのはGHQだったことなどは、銘記しておくべきだ。プロパガンダの愚かさを皮肉った作品が、プロパガンダとして利用されるという二重の皮肉である。
それでも、様々な人々の思惑を超えて、作者のメッセージは21世紀の私達にも強く訴えかけてくる。私の尊敬するクリエイター、宮崎駿氏の言葉を引用させて頂く。
おとぎばなしは、まだ終わってはいない。
「自分が善意であるからといって、自分が善良な存在だとは思ってはいけない。とくべつお金を稼いでいるとか、楽をしているわけじゃないから、自分は無罪だ、とは思ってはいけないんです。しくみのなかでは、自分だってナポレオンなんです。そのしくみの問題はいっぺんには解決できないですけど、だからといって、手をこまねいて、無関心でいられること自体、すでにそれはナポレオンなんだってことなんです。(略)社会にはしくみがあるということ。複雑になってはいるけど、でも根源には、労働者がいて収奪者がいるという、そのしくみは変わってないんです」 -
Posted by ブクログ
「1984」で有名なオーウェルだが、個人的には初めて読んだ。農場の動物たちが農場主の人間に反抗して追い出し、動物たちの自治を獲得しながらも、その理想主義的な理念が次第に独裁へと変わっていく様子を「おとぎばなし」として描いている。ロシア革命やソ連内部の路線闘争について詳しくないが、それでも、スターリン派とトロツキー派の抗争とか、残虐な粛清のことだと分かる。おそらく、当時の人たちは、もっとリアルに反ソ的な内容だと分かったのだろう。
独裁者、特権階級、彼らを守る暴力装置たる軍隊・警察、それに対し、革命の理念をあくまで維持しようとする者、現実を理解しながら見て見ぬふりをする者、ニヒリスト、右往左往する大衆などが出てきて、社会主義革命の裏の一面を鋭く描いている。