岡倉覚三のレビュー一覧

  • 茶の本
    圧倒的にセンスがある人だと思った。(訳だけど)この人の言葉の使い方を少しでも取り込みたい。

    西洋の茶人たちは、茶のかおりとかれらの思想の芳香を混ずるに鈍ではなかった。茶にはワインのような傲慢なところがない。コーヒーのような自意識もなければ、またココアのような見せかけの無邪気さもない。

    一般の西洋...続きを読む
  • 茶の本
    芸事に生きた人間の極致に一端に触れられる一冊。
    内容は茶とその周辺分野限定ですが、趣味嗜好の分野にいくらでも応用が利く素敵な本です。
  • 茶の本
    茶道の歴史的変遷と、茶道に代表される日本人の精神性を、外国人に紹介した本。110年以上前の岡倉天心は、世界的に知られていなかった日本文化を外国に積極的に紹介したのに対し、自分を含めた現代の日本人の知的レベルの低さ、志の低さに嫌気がさす。天心のように、深い教養に基づき、日本文化を今の世界に発信しなけれ...続きを読む
  • 茶の本
    これは名作。知り合いにお茶の先生がいて、お茶をふるまってもらった時に茶道とは何だろうかと、すごい不思議な気持ちになった。柔道、剣道、弓道などの武道は心技体を磨き、そして結果が勝敗として現れる。書道や華道は芸術としてその作品が残る。しかし茶道は所作や作法ではないだろうか。ただ、飲み物としてのお茶をふる...続きを読む
  • 茶の本
    茶道は日常生活の俗事の中に存ずる美しきものを崇拝することに基づく一種の儀式である。
    人生というこの不可解なもののうちに、何か可能なものを成就しようとする優しい企てである。
    おのれに存ずる偉大な小を感じることのできない人は、他人に存ずる小なるものの偉大を見逃しがちである。
  • 茶の本
    虚に関する考え方がとてもよい。
    虚は、他に自由に中へ入れるようにするので、万能。
    全体は常に部分を支配する。
  • 新訳 東洋の理想
    本書を読み始めたきっかけは、尾崎秀実について取り上げた竹内好編著『現代思想体系 9 アジア主義』(筑摩書房、1963)の中で、最初に取り上げられていた論文だったから(訳者は富原芳彰。現在、講談社学術文庫で読むことができる)。
    新訳が出たばかりならそちらをと手に取ったのだが、正解だった。原著は註も少な...続きを読む
  • 茶の本
    まあ、茶でも一口すすろうではないか。明るい午後の日は竹林にはえ、泉水はうれしげな音をたて、松籟(しょうらい)はわが茶釜に聞こえている。はかないことを夢に見て、美しい取りとめもないことをあれやこれやと考えようではないか。▼おのれに存する偉大なるものの小を感ずることのできない人は、他人に存する小なるもの...続きを読む
  • 茶の本
    一章の最後、世界の修復者たる何か(女媧)を待つ間、自然の美しさに触れつつ、茶でも飲みながら語らい、考えあおうではないかとの記載、ここが「人間とは何か?」の問いに対して「考え続けること」と解答した『君が見たのは誰の夢?』のマガタ・シキへのもうひとつのアンサーではないかと思われた。
  • 茶の本
    日本的美意識が茶の湯という深淵な世界にいかに湛えられているかということを、著者が様々な文献に基づき具体性を持たせつつ明示している。
    私見だが、「日本の文化が西欧文明に比べてこういう風に優れている」という語り口は現代においてはあまり意味を持たないと思うが、本書には文明開化とともに日本が西欧文明一辺倒に...続きを読む
  • 茶の本
    「茶の本」というタイトルではあるが、全ての芸術に対する見方に通ずる内容が書いてあるように思った。
    日本文化に関する内容を昔の日本人が英文で書き、さらにそれを日本語訳したものなので、読むのが少し難しい部分があった。少し時間を置いて再度読んでみようと思う。
  • 茶の本
    一杯の茶とともに読むと
    いろいろな過去が広がります。

    でも一杯では読み切れないでしょう。
    それに茶でなくてコーヒーを飲みながらでも
    いいかも知れません。

    この本は100%読み込めていません。
    背景となる知識が豊富にあれば、
    もっと深く分かったかもしれない。
  • 茶の本
    1906年に岡倉覚三(天心)氏が書いた『The Book of Tea』を、

    1929年に村岡博氏が和訳したもの。



    難しい言葉が多すぎて、調べ調べ読み進めていったが、

    内容が理解できるようになったのは、「第四章 茶室」から。

    (新訳読めばよかったと少し後悔)



    茶道は日本文化の一...続きを読む
  • 茶の本
    茶道を知りたいと思った。そんな動機から購入したが暫し積読。読み始めた途端に茶の講義。しかし、それは茶道の歴史的背景から入った。宗教に例える内容に思わず頷く。禅宗に端を発していることを知り、それもまた肯ける。「もしわれわれが文明国たるためには、血なまぐさい戦争の名誉によらなければならないとするならば、...続きを読む
  • 茶の本
    部屋の模様替えの参考として読みました。

    興味深かったのは、(茶道のベースとなった)禅の思想で完全よりも不完全な美を好む理由についての説明。

    「不完全なものを想像によって心の中で完成する、その過程にこそ重きを置くから」とのこと(特に触れられていませんでしたが、禅の体験による知を重んじる性質に由来し...続きを読む
  • 茶の本
     読み終えて、奥付を見ると、「昭和4年3月10日 第一刷発行、昭和46年7月30日 第50刷発行」とある。大学時代に購入したようだ。読み始めたものの、途中て抛り出した記憶はある。
     NHKeテレの「100分de名著」でこの本が取り上げられることを知り、テキストを読む前に読んでみた。
     日本の文化を欧...続きを読む
  • 茶の本
    「人情の碗」と題された第一章からして魅力的。「茶道は美を見出さんがために美を隠す術であり、現わすことをはばかるようなものをほのめかす術」などといった、日本の文明高さを西洋に知らしめようとする中で、茶"道"の何たるかを説く。ユニーク。

    また第二章「茶の諸流」によれば。
    南シナで古くより薬として服用さ...続きを読む
  • 茶の本
    岡倉覚三さんの強い意志か。どうしてこんなに昔の人の言葉は深いのか。
    力強い言葉達。
    普通の人は好んだ物を選ぶ、熟練者は選んだ物を好む。
  • 茶の本
    宗教にまで高められた、美意識と調和の感覚。この本で学ばねばならないほど、少なくとも僕は西洋化された環境に生きている。よほど意識的にならないと著者の説く世界観を東京でみつけるのは難しい。しかしだからこそ、茶道は生きるのかもしれない。時代に翻弄された茶人たちとおなじように。
  • 茶の本
    日本の代表的名著ということで読んだが、自身の知識不足もあり、理解して読み切ることができなかった。また改めて読んでみたい。
    茶の文化、日本でいう茶道にこそ日本人の美しさやものの考えたが根付いている。茶は美の宗教とも言える。
    中国から来た茶そのものは、歴史の流れの中でなくなってしまったり、とを経て、日本...続きを読む