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岡倉覚三(岡倉天心)は、まだ日本が明治になったばかりの20世紀初めに、海外に向けて茶道文化を紹介した「茶の本」を執筆しました。
岡倉は、本書で、海外に向けて『茶の湯』を紹介しながら、むしろ、日本人の美意識や考え方を説いています。
例えば、その中の一つに、「非対象の美」を紹介しています。
西洋建築では、イギリスのお城でも、ギリシアのパルテノン神殿でも、中国の天安門でも、基本は左右対称です。西洋では左右対称なものが美しいと考えられているようです。
それに対し、日本では、国宝の茶碗や、刀剣、自然の風景や木々など、ゆがんだものやまがったものに美しさを見出すことがあります。日本人には、見えてない部分を付け足して美しさを感じる心があるというのです。これを岡倉は日本文化の特長と述べています。
日本に多くの人が外国から来る今の時代だからこそ、この本を読んで、自分の国の特長やよさを再認識してがいかがでしょうか?
Posted by ブクログ 2022年10月21日
茶道の歴史的変遷と、茶道に代表される日本人の精神性を、外国人に紹介した本。110年以上前の岡倉天心は、世界的に知られていなかった日本文化を外国に積極的に紹介したのに対し、自分を含めた現代の日本人の知的レベルの低さ、志の低さに嫌気がさす。天心のように、深い教養に基づき、日本文化を今の世界に発信しなけれ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年06月10日
これは名作。知り合いにお茶の先生がいて、お茶をふるまってもらった時に茶道とは何だろうかと、すごい不思議な気持ちになった。柔道、剣道、弓道などの武道は心技体を磨き、そして結果が勝敗として現れる。書道や華道は芸術としてその作品が残る。しかし茶道は所作や作法ではないだろうか。ただ、飲み物としてのお茶をふる...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年07月24日
まあ、茶でも一口すすろうではないか。明るい午後の日は竹林にはえ、泉水はうれしげな音をたて、松籟(しょうらい)はわが茶釜に聞こえている。はかないことを夢に見て、美しい取りとめもないことをあれやこれやと考えようではないか。▼おのれに存する偉大なるものの小を感ずることのできない人は、他人に存する小なるもの...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年09月04日
日本的美意識が茶の湯という深淵な世界にいかに湛えられているかということを、著者が様々な文献に基づき具体性を持たせつつ明示している。
私見だが、「日本の文化が西欧文明に比べてこういう風に優れている」という語り口は現代においてはあまり意味を持たないと思うが、本書には文明開化とともに日本が西欧文明一辺倒に...続きを読む
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