山本容子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読みたかったカーソン・マッカラーズの『悲しき酒場の唄』が
村上訳で読める日が来るとは!
それも山本容子さんとの素敵な物語絵本になって
なんという話しなの!
という感想に尽きます
全てが変わっている
春樹さんはこの中編小説をできれば他の短編と合わせずに一冊の独立した本にしたかったという
それも絵をつけた一冊に。
となるともう 私たちも山本容子さんしか浮かばない。カポーティの本たちと同じように。
それにしても、江國香織さんも書いておられるように、こんなに描いてしまっていいの?ミス・アミーリアを、カズン・ライモンを?
と思わずにはいられない。
けれど…このあまりにも新鮮?斬新?な物語だからこ -
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Posted by ブクログ
本の中の登場人物が、読んでくれた人のつづきが気になると言って、抜け出てきちゃうお話。主人公は40代の司書桃さん。
この本の表紙が赤いのも、意味があってのことなんですよね。
桃さんが四方山市に戻ってきたのも、赤い本を手にすることになったのも、杏おばさんとの会話ひとつひとつも、細かなことすべてに意味があって、読後の感動につながりました。
話の中に出てくる、『はだかの王様』『オオカミと七匹のこやぎ』『狼王ロボ』『うりこひめ』など、読み返したくなりました。
高学年向けの児童書だと思いますが、大人になって読んだほうがグッとくると思います。
いや、高学年で読んで、また大人になってから再読すればいい -
Posted by ブクログ
この真っ赤な表紙と装丁にも意味があるの。
読み終えてから気づいて、ぐっときたなあ。
わたしたちは「本の続き」が気になるけれど
本の中の登場人物も、「本を読んでいる人の人生の続き」が知りたくなって、本の中から飛び出してきてしまう…というところから、はじまるストーリー。
物語の冒頭で、
本の中からはだかの王さまが飛び出してくるあたり、
楽しい児童書だ!と思っていたのに、
まさかのまさか、いろんな家族と、主人公の桃さんの成長と感動のストーリーでした。
設定はとても面白かったけれど
主人公が40代の女の人だったり、
家族のあり方、お話がちょっと大人向けかな、とおもうので高学年〜だなあ。 -
Posted by ブクログ
はだかの王様や「おおかみと七ひきの子やぎ」の狼など、絵本から飛び出したキャラクターたちが、かつて自分の物語を読んでくれた子どもの「つづき」が知りたいと頼みこんでくる。
本好きのツボをくすぐる設定。いいなあ!
最近、藤田和日郎の『月光条例』を読んだので、モチーフが似てるなと思いながら読んだ。
話の質は違うけど。裏表紙に鉢かづきがいるから、余計に思い出してしまった(笑)
登場人物が本の中から飛び出す…というのは割と王道だと思うけれど、それを軸に読者(人間)側の問題が描かれているところに現代っぽさを感じる。
主人公の桃さんは離婚歴のある中年女性で、その他子どもたちの家庭環境も少し複雑。
彼らの抱 -
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Posted by ブクログ
以前「心は孤独な狩人」を読んだ時とは大きく異なる印象のマッカラーズ。心は孤独な狩人は現代社会にも通じる閉塞感について考えさせられる一冊であった(らしい。自分の感想を見る限りではある)けれど、この何とも奇妙な物語は何かを静かに考えさせるという雰囲気は、一見、ない。訳者の村上春樹も最初に読んだ時の印象をこう語っている。
『これはいったいどういう小説なのか? いったいこの小説は何を語ろうとしているのか? この本を読み終え、多くの読者はそのような疑問と戸惑いを抱いたまま、あとに取り残されることになるかもしれない。最初に読み終えたとき、正直言って僕もそんな読者の一人だった』―『訳者あとがき』
時代が -
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詩情溢れるメルヘン。そして残酷なラブ・ストーリー。
タイトルに“ballad”とあるとおり、人々が口伝えに繰り返し語り継いできたドラマに耳を傾けているかのよう。
冒頭でいきなり悲劇の結末は明かされる。
うらぶれた田舎町に住む、吝嗇で癖が強いが一目置かれてもいる人物であるミス・アミーリアに起きた、これまた風変わりな愛の行方と破局の物語だ。
なにもないいつもの夕方、訪ねてきたよそ者との出会いによってミス・アミーリアが変わり、その熱が生む磁場に引き寄せられるように町の住民も変わっていき、物語には幸福と高揚感が満ちてくる。
しかしそれと同時に、きっとなにかが起きるに違いないというカタストロフィの予