3.8という肌感覚です。
スペインを舞台にした、現地に住む日本人の群像劇。
ほんとになんと言い表したらいいんだろうこの感情。
東京の新宿や池袋みたいな汚さと、歴史と芸術の美しさと、フラメンコの情熱と、闘牛に命を燃やす一瞬の輝きと汗の眩しさみたいなものが全部詰まって美しかった。
これだけ色々と詰め込まれていると、どうしても感情の密度も濃くなるし重くなりがちなんだけど、ページをめくる手は止まることなくスイスイと一気に読めて不思議。
みんなスペインという熱に浮かされたような場所で、何かの夢や情熱やあこがれを持っていて、でもそれは簡単に叶うものではなくて、つまりは現実として夢敗れることだって普通にあるわけで、
周りはしっかり歩いてる(ように見える)中で自分だけがもがきながら落ちていくような焦燥感がどこまでもつきまとって…周りがどこまでも眩しくて、それがますますしんどくて…というもどかしさと、
そんな中でも人は何かを見つけて生きていくものなのであり、それが正解なのかどうかなんて誰にもわからないけど、情熱のままに後悔のないように生きていくしかないよね。っていう。
物語の中の人物たちは、それぞれ「こんな辛さを抱えているのは自分だけ」という感覚を抱いてる(そんな書かれ方はしていないけど)ように感じたが、
読者というメタ視点からすると、それはこの書籍に数珠繋ぎになってでてくるそれぞれの主人公たちの誰もが共通して抱えている葛藤だということがわかる。
それって結局我々の人生も同じことであって、周りが地に足をつけて堅実に歩いているようにみえたり、夢をちゃんと叶えていて羨ましいとか自分だけがうまくいかないとかおもいがちだけど
誰しもが何かしらの劣等感を抱えていたり、欠点があったり疎まれていたり、諦めて捨てたものがあったり、捨てきれなくて苦しむものがあったりするんだよなということに気づかせてくれる。
何を書いてるのかわからなくなったけど、
ある程度の年数を生きてきた人なら誰でも大なり小なり体験している、憧憬と焦燥と諦観と希望みたいなものを繰り返すような作品で、
人生って山あり谷ありで一筋縄ではいかないし、夢を諦めればその夢への憧れや眩しさは一生消えることはないし、夢を叶えたところでその一方で手放ざるを得なかったものへの想いは抱えながら生きていくのだし、結局どんな人生であろうと、人はそれなりに満足をしてそれなりに何かの痛みを抱えて生きていくのだから、
それならやりたいことはやればいいし、やれなかったとしてもそれもまた人生としてまた色んな想いを抱えて美しい人生を歩いていくものなんだよね。
などのいろんな考えが一気に去来してよい読書体験でした。
読む前から美しいタイトルだと思っていたけど、読み終わった後に改めてタイトルに思いを馳せるとなんだか泣けてくるような救われるような気持になる。
それでも夜はこえなくちゃいけないし、それでも夜はこえてしまうものだし、誰もが「夜」をこえているんだよなあ。。
とりとめなく長い感想だな…