安田依央のレビュー一覧
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今はやりの「終活」は、身辺整理、断捨離にポイントが置かれ、その後はすっきりして心穏やかに死亡、粛々と葬儀が行われ、火葬、そして無事、骨へ…という道のりを漠然と想像しがちだが、このようにうまく進む前提には、しっかりと責任を持って全てをとりおこなってくれる家族や親族の存在が、大前提!
独身、子無し、一人っ子で老父を抱えた司法書士の作者が、経験や事例を踏まえて、無事、骨となるまでの様々な問題点を説明してくれていて、よくわかる。
死亡時の発見、身元の確認、身元が判明しても引き取り手がいないと火葬も出来ない…という三つの壁。その人の遺志通りの納骨までの道のりは、多難だ。現在の制度上では、親族が最強。家、家族、社会のありかたが変わって来ている現在、国や行政は、昔ながらの制度を早急に考え直すべきでしょう。
「ひとりで生きることはできる、でも、ひとりで骨になるのは、難しい」という本の帯の言葉が、身に染みる。
私事ですが、先日、両親の納骨を済ませた。僧侶によって、袋に入れかえられたふたつの骨。小柄で骨粗鬆症だった母のそれは、手のひらに乗る程に小さく軽く、ふんわりと優しかった。一方、苛酷な戦争を乗り越え、無事生還してきた経歴を持つ父の骨は、ひときわ大きく、ずしりと重く、気骨を感じた。骨には、その人の人生が凝縮されている。だからこそ、昔から大事に扱われてきたのですね。
(私も自分の骨を見て、重みを感じてみたい。絶対、無理だけど…) -
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多様性がテーマの物語。
母親によって「女はこうあるべき」という枠に押し込められ、周りが求める自分と本当の自分とのギャップに苦しむ沙保。「やさしい死に方」を求めて「待合室」にやってきて、明るく大らかな律と、ジェンダーに悩みやってきたミナトと、三人で暮らしていく。
律が本当に素敵で、なんとなく、シャールさんとか、これまでに読んだおせっかいで優しいオカマさんを思い起こさせる(律さんは女性なんだけど、最初性別不明だったのもあり)。
律はヒサエさんに出会えてよかったのだろうし(ヒサエさんもきっと素敵なおばあさんなんだろうな)、沙保とミナトは、ここで律に出会えて、本当によかったよね。
対照的に、沙保のママは、時代錯誤が過ぎるというか、この人もある意味病気なんじゃないかな。もう縁を切ればいいと思う。
ラストは穏やかな終わり方で、ほっとした。
多様性、まだまだ不勉強だなぁ。
性のことに限らず、いろんな人間が生きやすい世の中になるといい。 -
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全3巻の内の最終巻。
今作は、わりとシリアス成分が多めか。
これまでの章でちょびちょび出ていた、
各ご家庭の問題が、いよいよ一ヵ所に集結する。
並行して、仁の京都行きだとか、
山田に求愛し続けるおじさん問題も(^ ^;
そして、おじさんにも大きな転機が訪れる。
これをきっかけに、山田の心も微妙に揺れ動くが...
最終巻で初めて語られる、主人公山田の過去。
でも、それまでにあちこちで片鱗は見えていたので、
後出し感は全くなし。
皆それぞれに歩んできた道があって、
それぞれの選択肢でそれぞれの決断をして...
時に間違え、道を踏み外しかけたりする人も。
かなり強引ではあるが、関係者を一同に集めて
ばっさりと切って捨てる「魔女」鈴子の活躍が、
端から見ていると心地よい(^ ^
最後の最後、まぁ、こうまとめるしかないよなぁ...
という感じの、ふわっとしたハッピーエンド...かな(^ ^
本作品のテーマを勝手に拾い上げると、
・時の流れ
・大人の心のずるさ弱さ
・でもみんな幸せになりたいのよね
みたいな感じでしょうか(^ ^;
全くの個人的な感想ですが(^ ^;
最後に一言。
本作では、悪人はあくまで悪人として描かれる。
中途半端にみんなはっぴー、わーい、となるより、
それがリアルだし、心地よい。
それぞれの「悪人」を主人公にしても、
作品が書けそうなくらい実在感がある(^ ^
ただし、読後感は、ほっくりゆったりした感じ。
ふんわりと温かい余韻が残り、宿題は残りつつも
「きっと山田はもう大丈夫だろう」と思える。
いやぁ、素晴らしい作品を読ませていただきました(^ ^ -
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ネタバレ何気なく手に取った第一巻があまりに面白く、
続きが気になって購入。
連作短編集であるが、今回は一話目から
なかなか波乱含み。
ベールに包まれていた仁の過去が徐々に明らかになり、
京都修業時代の「因縁」が、山田と仁を引き裂こうとする。
さらに山田に「熱烈な片思い」をするナイスミドルが。
かなり波瀾万丈な展開ではあるが、
オーナーを中心とした「ほっこりしたシーン」が
丁寧に描かれるおかげか、ドタバタ感は薄い。
もちろん、山田の「心象風景」はドタバタしっぱなしだが。
この作品の魅力は、バランス感覚にあると思う。
ドタバタとしっとり、サスペンスと胸キュンが、
過不足無いバランスでちりばめられているので、
ドタバタもふざけ過ぎにならず、
息詰まるシーンの後のほっこりした場面で、
読者も一息つくことができる。
これは、桜子オーナーの人となりによるところが大きい。
いつも凜として、笑顔を絶やさず、時にオチャメで、
意外と情熱的な過去がありそうで...
非常に魅力的なキャラクターである。
また、個性的な脇役が光っている。
一人ずつ紹介していたらキリが無いが...
本当に、ご近所に住んで、お互いに深く浅く関わりつつ
「生きている」感じが伝わってくる。
この世界観にハマると、抜け出せないですぜ(^ ^ -
Posted by ブクログ
読み始めは、ほのぼの日常の謎系と思った。
が、徐々にミステリ度がアップしてきて、
なかなかに手に汗握る展開に(^ ^;
十八年前の事件の真相は?
ヒカリは何故死んだ?
行方不明のミツバチは今?
「主人公」の探偵役は、美術館のカリスマ学芸員。
が、探偵の一人娘が通う保育園の先生目線で話は進む。
先生も色々と鬱屈した思いを抱えているが、
「ものの見方を変える」ことで救われたりする。
その「視点を変える」ことが大きなテーマの一つで、
世界の名作絵画の「解釈」に絡めて、
一地方都市の盛衰と人々の思いを浮き彫りにする。
作者は、かなりの「手練れ」とお見受けする(^ ^
予想もしてなかった「過去の確執」やら、
意外な人間関係やら、全てのトピックが
ある一点に向けて集約していく山場は見事(^ ^
最後の最後まで予想を裏切る展開と言い、
実に内容ぎっしり密度の濃い一冊(^ ^
この作者の本は初めて読んだ(と思う)が、
ぜひ他の作品も読みたくなりました(^.^ -
Posted by ブクログ
ネタバレ骨の行く場所3つの視点
1つ目は骨となった後も個としての存在を保つかどうかと言う視点だ。
2つ目は、物理的な形である。骨として人の営み近くに存在し続けるのか、骨壺に収まるのか、土や海に委ねるのかと言う選択でもある。
そして3つ目は、魂のありかをどこに据えるのかと言う選択だ。残された人が祈る対象をどこに置くか、と言い換えても良い。
同じ家に生まれた兄弟であっても、配偶者を得て、年月が経てば、価値観は簡単に分岐すると言うことだ
孤独死そのものより、発見されないイコール腐敗が問題になる
ストップ、腐敗 助けを呼ぶ。発見されるための仕組み
ホネルラル前の関所は、大体4つ。発見、入院。医師、死後の手、ここまでがビフォア骨
墓じまいはブームじゃない。人工と家族の形が変わった結果、墓が持ち重りになっただけだ。 -
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ネタバレ女として、男として生きにくさを感じて死を望む沙保とミナトと、完璧な尊厳死を望む律との、希死念慮をもつ3人の不思議な生活。物語後半は結末にドキドキしたけど、辛さを抱えながらも生き続ける決断をした結末に少し安心。おそらくほんの少し前まで(今でも)「女だから」というしがらみは世の中にたくさん当たり前にあったこと。多少は良くなってる部分もあるかもしれないが、「普通の人」の枠に当てはまらなければ、行きにくい世の中。沙保のコラムのように、現実でも多くの人たちが自分の辛さや経験をSNSで共有していて、皆持つ悩みは異なるけど、似た経験をした仲間とたまたますれ違って気が合う人が見つけられる社会だったらいいなと思う
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Posted by ブクログ
ネタバレ介護や相続などが盛り込まれた内容にはつい手がのびてしまう。タイトルからよからぬ予感はあったものの恐ろしい内容だった。今や誰もが抱えるであろう問題ではあるけれどこのような小説を読んでしまうと実際に親の介護問題に直面したら疑心暗鬼になってしまう。身内がいなかったり疎遠だったり家族と問題を抱えてたりしたら他人であれ優しくしてくれる人に頼っていくというのは当然だ。中盤までは単なるいい人かもしれない、そうであってと思ったけれど後半にむけてやっぱりか、、というやるせない思いになった。紀藤さんというヒーロー的な人の活躍でやっつけて欲しいという思いはあったけれど真逆の展開。結末は不気味に終わりゾッとする。