桑原武夫のレビュー一覧

  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    民権運動家、中江兆民(1847-1901)の著。1887年刊。南海仙漁、洋学紳士、豪傑の三人が酒を飲み交わしながら政治を語るという物語。前半は紳士と豪傑の論戦、後半は南海による二人の論の欠点指摘と自論の展開といった流れ。南海は「恩賜的民権」と「回復的民権」の二種類の民権があるとし、上からの恩賜的民権を賜った人民はそれを大切に守り、道徳を身につけ、学問に励み、恩賜的民権を回復的民権の地位まで育て上げねばならないと説く。明治憲法制定の二年前に発刊されたこの著は、市民への政治関心を一層求めるものであった。

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    2009年10月04日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    大学時代の日本政治思想の授業で毎回書評を書く課題があったのだけど、その中で今も印象に残っている本。内容は時代性があるけれど、3人による問答形式という民主主義にとって必要な「対話」を見事に体現している本だと思う。政治学・政治思想に興味があったら、是非読んでほしい。

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    2009年10月04日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    「三酔人経綸問答」は明治の思想家・中江兆民が著した政治対話篇。岩波文庫版では桑原武夫と島田虎次の校訂により酒に酔った三人の人物が日本の未来を語り合う様が生き生きと描かれている。自由民権の理想と現実、急進と保守のはざまで交わされる議論は酔いに任せた戯言のようでいてどこか真理を突く。酒場での会話が妙に深く感じられるのはそのせいか。現代に生きる我々もまた問いながら酔い語らいながら考える。気兼ねなく思考を巡らせ語りたいものだ、そう酔いに任せ。

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    2025年05月23日
  • フランス革命史(下)

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    下巻も面白かった!ロベピ処刑前あたりから突然混沌としだして(混沌としてない時なんてないけど)ついていけなくなりそうだったけど
    ここまで読んで挫折はありえないので、わかんないままなんとか読んだ
    今まで散々な書かれようだったのに死期が迫ると突然褒め描写が出てくる感じ、漫画と似たようなものを感じた。
    そのあたりの、歴史書を物語っぽく描写することのアレコレには最後解説で触れられていてそこも面白かったな〜

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    2024年12月04日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    国際政治は権力闘争ではあるが、その枠組みと規則が存在するため、暴力の支配する無秩序とはいえない。非武装でもなく、征服のための軍備でもなく、世界中の国と友好関係を深め、常に防衛戦略をとるべき。中江兆民『三酔人経綸問答』1887

    社会主義は愛の精神ではない。これは一階級が他の階級に抱く敵愾の精神である。社会主義に由って国と国とは戦はざるに至るべけれども、階級と階級との間の争闘は絶えない。社会主義に由って戦争はその区域を変へるまでである。内村鑑三
    ※不敬事件。敬礼はしたが、最敬礼をしなかった。再度、敬礼を依頼されて同意したが、病気で行けなかった

    横山源之助『日本の下層社会』

    軍備と徴兵が国民の

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    2024年05月16日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    近代日本において、民主主義はどのような形で導入されるべきか、という問いに対して幾つかの回答が提唱されている。
    南海先生、紳士君、豪傑君、どの登場人物の論が著者の考えを色濃く反映しているのかは分からないが、いずれの論も著者の考えであるのだろう。
    政治哲学とは本当に難しい。誰しもが賛同する政治制度など実在しないのかもしれないが、そうであっても理想を追い求め続け、いつかその制度が実現する日を願い日々邁進することが大事なのかもしれない。

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    2024年01月07日
  • 文学入門

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    「文学とは何か」の一つの視点。
    古典・必読書に学び、かつ現代の文学を冒険する楽しみ。
    ときに遠慮会釈なく批判する明確な姿勢も爽快。

    ◯インタレストとは「興味」であると同時に「関心」であり、さらに「利害感」でさえあって、それは行動そのものでは決してないが、何ものかに働きかけようとする心の動きであって、必然的に行動をはらんでいる。そしてインタレストのないところに行動はありえない。

    ◯つまり作者の私的なインタレストが、客観世界のダイナモを通過することによって、公的なインタレストに変わる。

    ◯われわれが文学にインタレストを抱くことによって得るものは、まず以上のような心的態度の蓄積だが、それと同時

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    2023年11月23日
  • フランス革命史(上)

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    ネタバレ

     著者ジュール・ミシュレ、人民史家と称され、フランスを愛し人民による革命を賛美し、革命に関与した人々へのインタビューや各種資料を通じて革命の詳細の研究に没頭したという。
     革命がはじまった1789年7月、ルイ16世「なんだって、それじゃ反乱なのか」「陛下、革命でございます。」(163頁)、なるほど国王のずれた認識をよく表現している。
     著者は、共和国をつくりあげる精神を次のように語る、「若いこと、魂が若々しいこと、血が燃えたっていること、あの生産的な無分別、これである。まだ心の中にしかないものを、はや現実のうちにみる精神。それをみつつ創造してゆく精神。つまり、信念がなければいけないのだ。」(3

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    2021年06月13日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    中江兆民が明治時代に出版した本ではあるが日本の政治のあり方についてどうあるべきかと言うことをある3人の人物を登場させて語り合いの中で論じているが、今の時代においてもなかなか参考になる本と言える。
    今の時代において政治は社会はどうあるべきか、考察に値する内容である。

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    2021年01月27日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    2016/3/12
    南海先生の主張は明治日本の政治体制にまさに反映されている。
    ただ、専守防衛については隔たりがあった。
    ただ戦後日本は専守防衛を軸に政治を行ってきたので、何十年経た結果、実現をしたと考える。

    現実的に考えると南海先生の論が一番適しているが、洋楽紳士の論が叶うような国が理想的だ。

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    2016年03月12日
  • 文学入門

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    フランス文学研究者の著者が、文学作品のおもしろさについて平易に語った本です。

    著者は、「インタレスト」(興味・関心・利害観)を引き起こすところに文学のおもしろさがあると主張しています。文学作品の著者が個人的に抱いた「インタレスト」が、作品として客観化され、読者の「インタレスト」を引き起こすことになります。そしてこの「インタレスト」の広がりと深みが、文学作品に価値と意義を付与することになります。

    「文学入門」と銘打たれた本書では、18世紀に起こった近代小説を重視する立場が取られています。その理由として、近代小説は市民階級の文学であり、特別な教養や約束を前提としていないこと、また、自由意志を持

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    2015年02月15日
  • フランス革命史(下)

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    2013年11冊目

    本書はフランス革命の歴史を叙述したもので、ロビスピエールの死で幕を閉じる。さて、フランス革命の歴史書としてはどこで始まり、どこで終わるのかは非常に重要である。筆者がどこまでを革命ととらえているかが如実に反映されているからである。本書ではロビスピエールの死、すなわち共和制の崩壊を意味するところで幕を閉じる。本書が共和制史と呼ばれる所以である。

    さて、本書は厳密に事実のみを提示した歴史書ではない。そのため、純粋に歴史的事実を理解したものにとっては良書ではないかもしれない。しかし、本書の評価をする前に、歴史書とは何か、を吟味する必要がある。

    ミシュレによれば、歴史とは「全体

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    2013年03月30日
  • フランス革命史(上)

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    2013年10冊目

    ミシュレ:フランス革命史

    フランス革命史とえいばミシュレ、なわけであるが、ミシュレのフランス革命史の根底にあるのは「人民」というキーワードであったように思う。
    フランス革命は人民の意思により誕生し、達成された。時には公会の存在を批判しつつ、徹底的に人民の立場に立つ、それが本書の特徴である。
    それはミシュレの立場にも関係する。ミシュレは時に政治参加の機会があった。しかしながら、徹底した人民の立場から中立的に、どの派にも属さずに歴史を叙述するという信念から政治参加を拒んだ。彼の立場は執筆の観点からみても人民に依拠していたのである。
    そのため、本書の隅々で人民を礼賛する場面が

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    2013年03月30日
  • 芸術論集 文学のプロポ

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    たまにちゃんと難しい本も読もうかなと思って半年ぶりくらいに読み始めました。
    最初読んでよくわからなかった文章も、二回目三回目になると噛み砕けるようになる気が、する!

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    2010年05月04日