桑原武夫のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
私たちの文化生活のなかで最も重要な地位を占めている文学、これを狭い文壇意識から解放して、正しく社会に結びつけることほど大切な問題はないであろう。
なぜ文学は人生に必要か。
すぐれた文学とはどういうものか。
何をどう読めばいいか。
清新な文学理論と鋭い社会的洞察力をもって、文学のあるべき姿と味わい方を平明に説く。
[ 目次 ]
第一章 なぜ文学は人生に必要か
第二章 すぐれた文学とはどういうことか
第三章 大衆文学について
第四章 文学は何を、どう読めばよいか
第五章 『アンナ・カレーニナ』読書会
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
中江兆民 三酔人経綸問答
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明治時代の国際政治状況を踏まえた日本の選択肢を書いた本。
解説によると中江兆民の思想を書いた本らしいですが。
架空の人物「南海先生」のもとに紳士君と豪傑君が現れて
酒を飲みつつ政治談議を交わす設定です。
紳士君はリベラリストというかもはやロマンチスト。
民主主義を標榜し「平等」と「自由」を兼ね備えた国になる事で
他国は敬意を払い攻めてくる事はないだろう、
もし攻められたら相手を非難して無抵抗で敗戦した方がましである、と。
対して豪傑君はリアリスト。
日本は小国であり、文化的経済的に急速な発展をする事は難しい。
更に、日本が改革を行うためには闘いを好む懐古主義者と進歩主義者がいてはならない。
そのような懐古主義者を戦地へ送ればいい。
領土を拡大して、日本の経済を発展させればいい。
そのために「隣の国」鈍重な国に攻め込めばいい。
こんな両者の主張だったかな。
最後に、この両者の主張に対して南海先生は
頑張って国内で経済を発展させて後は状況を天に任せるのみ、というような事をいい
現実味に欠ける両者の主張を退けます。
とてもおもしろい主張ではあったんですが
ちょっと論理が遠回りしすぎだったりレトリックが多かったりで読むのが大変でした。
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中江兆民 三酔人経綸問答
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中江兆民 三酔人経綸問答
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中江兆民 三酔人経綸問答
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中江兆民 三酔人経綸問答
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国際政治は権力闘争ではあるが、その枠組みと規則が存在するため、暴力の支配する無秩序とはいえない。非武装でもなく、征服のための軍備でもなく、世界中の国と友好関係を深め、常に防衛戦略をとるべき。中江兆民『三酔人経綸問答』1887
社会主義は愛の精神ではない。これは一階級が他の階級に抱く敵愾の精神である。社会主義に由って国と国とは戦はざるに至るべけれども、階級と階級との間の争闘は絶えない。社会主義に由って戦争はその区域を変へるまでである。内村鑑三
※不敬事件。敬礼はしたが、最敬礼をしなかった。再度、敬礼を依頼されて同意したが、病気で行けなかった
横山源之助『日本の下層社会』
軍備と徴兵が国民のために一粒の米・一片の金をももたらしたことは未だにない。▼國民が國威國光の虚榮に醉ふは、猶ほ個人のブランデーに醉ふは如し。彼れ既に醉ふ、耳熱し眼眛みて氣徒らに揚る、屍山を踰へて其の慘なるを見ざる也、血河を渉りて其穢なるを知らざる也。而して昻々然として得意たる也。▼マルクス主義は宣伝によって国民の意識を社会主義にむけさせ、政府や議会を変えていこうとするが、平民社の弾圧のように日本の権力は甘くない。国民の意識も意外に低く、宣伝で変えられそうもない。そこで政府や議会を変えるのではなく、権力それ自体を否定する運動の方が効果がある。労働者の利益は議会では守られない。労働者のことは労働者による直接の行動によって解決されるべきだ。幸徳秋水
※社会主義者(→無政府主義者)。平民社。日露戦争反対。大逆事件で刑死。
人生の不可解が若し自殺の原因たるべき価値あるならば、地球は忽ち自殺者の屍骸を以て蔽はればなりませんよ、人生の不可解は人間が墓に行く迄、片手に提げてる継続問題じやありませんか。木下尚江なおえ『火の柱』1904
※社会主義者。日露戦争反対。
肉体・知能・霊魂を自然に発達させ維持するために必要な物資を得てない人を貧乏人と呼ぶ。人は水に渇いて(貧困で)も死ぬが、溺れて(金持ちで)死ぬ者もある。だから贅沢は廃止すべきだ。過分に富裕なのがふしあわせだからといって、過分に貧乏なのがしあわせだとは言えぬ。人はパンのみにて生くものにあらず、されどまたパンなくして人は生くものにあらず。※人はパンだけでは生きず、人は主の口から出るすべてのことばによって生きる(旧約聖書―申命記・八)河上肇かわかみ ・はじめ『貧乏物語』1916
※マルクス主義者。李大釗・周恩来は日本へ留学中、河上肇の著書を通じてマルクス主義に傾倒。
社会主義も無政府主義も精神が理論化されるといやになる。僕が一番好きなのは人間の盲目的行為だ。精神そのままの爆発だ。思想に自由あれ、行為にも自由あれ、動機にも自由あれ。▼変わらないものはない。旧いものは倒れて新しいものが起きる。今威張っているものがなんだ。すぐに墓場の中へ葬られてしまう。大杉栄さかえ『自叙伝』1921
※無政府主義者。エスペラント語。
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世間には、悪い人ではないが、弱いばかりに、自分にも他人にも余計な不幸を招いている人が決して少なくない。吉野源三郎『君たちはどう生きるか』1937
※雑誌「世界」を創刊。共産党とのつながりにより逮捕。
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日本共産党が武力革命を途中で止めてしまい、武力による革命を続けるべきだというグループ(中核派・革マル派)ができた。反帝国主義・反スターリンを掲げる。日本共産党も攻撃対象。LGBTに反対。 -
中江兆民 三酔人経綸問答
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「文学とは何か」の一つの視点。
古典・必読書に学び、かつ現代の文学を冒険する楽しみ。
ときに遠慮会釈なく批判する明確な姿勢も爽快。
◯インタレストとは「興味」であると同時に「関心」であり、さらに「利害感」でさえあって、それは行動そのものでは決してないが、何ものかに働きかけようとする心の動きであって、必然的に行動をはらんでいる。そしてインタレストのないところに行動はありえない。
◯つまり作者の私的なインタレストが、客観世界のダイナモを通過することによって、公的なインタレストに変わる。
◯われわれが文学にインタレストを抱くことによって得るものは、まず以上のような心的態度の蓄積だが、それと同時に、人間についての知識の獲得のあることはいうまでもない。
・優れた文学の要素:新しさ、誠実さ、明快さ
◯真にすぐれた文学は題材の新しさのほかに、発見をもっている。つまり、その作品が現れるまでは何人にも、その作品によって示されたものの存在、むしろ価値が全く気づかれずにいたのが、一たびその作品に接した後では、いままでそれに気づかなかったことがむしろ不思議とさえ感じられる、そうした気持ちを読者に抱かせるものをもっている。
◯健康な精神をもつ文学者ならば、小さな問題よりも大きな問題に対するときの方が、より多くのインタレストが発動するはずである。
・既成倫理に従っているかではなく、いかに因習に批判的な態度をとっているか、新しい倫理経験を伴っているか
◯物語は、日常生活をはなれた何か異常な出来事を物語るものであって、そこでは事件にあやつられる人物よりも、事件そのものに興味の中心がおかれる。
◯小説は、日常の生活を描くものであり、たとえ異常な事件があっても、それは日常生活と同じ原理をもって解しうるものとして現れている。そこでは事件そのものよりも、作中人物に重点がかかり、全体は特異な個性による世界発見という形をとる。 -
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ネタバレ著者ジュール・ミシュレ、人民史家と称され、フランスを愛し人民による革命を賛美し、革命に関与した人々へのインタビューや各種資料を通じて革命の詳細の研究に没頭したという。
革命がはじまった1789年7月、ルイ16世「なんだって、それじゃ反乱なのか」「陛下、革命でございます。」(163頁)、なるほど国王のずれた認識をよく表現している。
著者は、共和国をつくりあげる精神を次のように語る、「若いこと、魂が若々しいこと、血が燃えたっていること、あの生産的な無分別、これである。まだ心の中にしかないものを、はや現実のうちにみる精神。それをみつつ創造してゆく精神。つまり、信念がなければいけないのだ。」(320頁)、著者の精神の高揚を感じる。
本著は随所にフランスという国家が擬人化されている、「1971年にはフランスは、自己の力づよい処女性を自覚していた。頭を高くあげ、心は無垢。自己の利害を度外視して前進していた。自分が愛らしいことを知っており、じっさい、諸国民から愛されていたのだ。」(352頁)、著者への国への愛を感じる。
著者の革命に対する高揚感や共和制国家への愛を感じる大著だ。 -
中江兆民 三酔人経綸問答
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中江兆民 三酔人経綸問答
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フランス文学研究者の著者が、文学作品のおもしろさについて平易に語った本です。
著者は、「インタレスト」(興味・関心・利害観)を引き起こすところに文学のおもしろさがあると主張しています。文学作品の著者が個人的に抱いた「インタレスト」が、作品として客観化され、読者の「インタレスト」を引き起こすことになります。そしてこの「インタレスト」の広がりと深みが、文学作品に価値と意義を付与することになります。
「文学入門」と銘打たれた本書では、18世紀に起こった近代小説を重視する立場が取られています。その理由として、近代小説は市民階級の文学であり、特別な教養や約束を前提としていないこと、また、自由意志を持つ個人をベースにして日常生活が描かれていることがあげられています。
巻末には、トルストイの『アンナ・カレーニナ』をめぐる架空の読書会と、「世界近代小説五十選」というリストがあります。 -
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2013年11冊目
本書はフランス革命の歴史を叙述したもので、ロビスピエールの死で幕を閉じる。さて、フランス革命の歴史書としてはどこで始まり、どこで終わるのかは非常に重要である。筆者がどこまでを革命ととらえているかが如実に反映されているからである。本書ではロビスピエールの死、すなわち共和制の崩壊を意味するところで幕を閉じる。本書が共和制史と呼ばれる所以である。
さて、本書は厳密に事実のみを提示した歴史書ではない。そのため、純粋に歴史的事実を理解したものにとっては良書ではないかもしれない。しかし、本書の評価をする前に、歴史書とは何か、を吟味する必要がある。
ミシュレによれば、歴史とは「全体としての生命の復活」と表現される。なぜか。歴史書は単純に事実を提示すればいいというわけではない。その歴史の価値を現代に復活させ、読者に新たな視点とともに理解してもらうこと、それが歴史書の目的である。ミシュレ以前、古典主義が勃興していた時期、歴史は「道徳と政治の学校」であった。歴史は過去から教訓を引き出すことで価値があるとされていた。しかし、フランス革命はこの考えを一変させる。今まで歴史とは繰り返される反復するもので、だからこそ教訓を引き出す価値があるとされていたのだ。しかし、革命は歴史を展開し、今まで予想だにしなかった結果を生み出した。歴史は反復されるだけのものではなかったのだ。未来に変化していく歴史を考える時、私たちは歴史をどのように理解すればいいのか。歴史の意味と方向性を理解しなければならない。それこそ歴史書の役割である。(この流れこそロマン主義の流れといえる。)
だからこそ、本書はまるで冒険歴史小説のような印象を受ける。これは、筆者ミシュレがフランス革命をそのように理解していた証拠になるであろう。人民(peuple)が立ちあがったことこそフランス革命の意義であり、上巻では、人民が立ち上がる立ち上がる姿が、革命が輝かしい未来へ向かっていく様子で描かれる。文学的な印象を受けるだろう。もちろんそれは本書が歴史的事実に依拠していないことを意味しない。前述したように、歴史とは「全体としての生命の復活」である以上、歴史に価値を付与する必要性があったのである。
そして彼にとってフランス革命は新たな社会の到来を予感させた出来事なのである。彼の理想は友愛に基づく共和制であった。彼が理想とする共和制はあくまで民衆によるものである。そのため、民主的な議会でさせも、遅々と革命の進行を遅らせた議会には批判的になる。
とにもかくにも、歴史書の意義は事実に対する価値の提示であり、ミシュレは「人民」の立場から叙述した。そのいみで、本書は非常にフランス革命をよく理解させていく。当時の人々が理想に燃えていた様をありありと見せつけてくれるのである。 -
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2013年10冊目
ミシュレ:フランス革命史
フランス革命史とえいばミシュレ、なわけであるが、ミシュレのフランス革命史の根底にあるのは「人民」というキーワードであったように思う。
フランス革命は人民の意思により誕生し、達成された。時には公会の存在を批判しつつ、徹底的に人民の立場に立つ、それが本書の特徴である。
それはミシュレの立場にも関係する。ミシュレは時に政治参加の機会があった。しかしながら、徹底した人民の立場から中立的に、どの派にも属さずに歴史を叙述するという信念から政治参加を拒んだ。彼の立場は執筆の観点からみても人民に依拠していたのである。
そのため、本書の隅々で人民を礼賛する場面がみられる。また、この立場にったからこそ、女性にも幾分か紙面が割かれている。(多くはないが)例えば、1789年10月5日に、女性が国王一家をヴェルサイユからパリへ移住させた事件で女性の役割を説いている。「人民のうちで最も人民的なもの、すなわち最も本能的なもの、それは疑いもなく女性だ」と。革命の発生にはやはり食糧難が背景にあり、このような場合、女性は爆発的な力を生み出してきた。
その意味でロビスピエールがたたえられている。常に人民の立場に立ったロビスピエールのことを考えれば当然である。
フランス革命を、冒険小説のように人民が力を獲得していく過程を描く本書は、絶えず革命が偉大であったという印象を放ち続けている。