渡部泰明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
外国語で書かれた文学を読みこなすように特別なリテラシーが必要とされる自国の文学、あるいは歌会始や新聞の歌壇や同人誌のように高齢の人々のコミュニティのような文学…和歌は馴染んていない人にとっては「関係のない」文学であったりします。新年号の選定に万葉集が関係したニュースは、単なるニュースとして多くの人のナショナリズムを満足させただけに終わった感もあります。それは現代の問題だけでなくいつの時代でも和歌は国民文学になったことはないのではないか?とも思います。それでも本書の副題にあるように「なぜ千年を超えて続いたか」?その謎についての作者の持論を展開する本です。先ずは「和歌を作る人と味わう人は、必ず重なっている」というスタートラインがユニーク。今でいうアクティブ・ラーニングを持ち出し、教育と和歌をつくることの双方向の関係性から、和歌が主体性の営みである、といいます。そこから、和歌にとってイノベーションを起こした作者列伝が怒涛に連なります。目次のオールスターが、和歌史そのものになっているので備忘として記します。額田王-宮廷に演じる、柿本人麻呂-劇を歌う、山上憶良ー到来するものへのまなざし、大伴家持-和歌史を始める、在原業平-生の境界で歌う、紀貫之-言葉の想像力を展開する、曾禰好忠-身の想像力を解放する、源氏物語の和歌-創作感覚を刺激する、和泉式部-生と死を越境する、源俊頼-連動する言葉と創造力、西行-変貌を演じる、藤原俊成・定家-「古典」をつくる、京極為兼と前期京極派-あわいにひそむ意志、頓阿-正統派和歌の普及者、正徹-想念と感覚にまぎれる、三条西実隆-「みやび」を守るしたたかな精神、細川幽斎-戦国を生き抜く歌道、後水尾院-和歌の価値を高めた天皇、香川景樹-溶け込んでいく「しらべ」…正直知らない歌人がいっぱいだけど、彼らが定型のバトンを受け継ぎ続けつつ、新しい意趣を込めていった芸術なのでありました。祈り、現実から理想への境界、そして作者としての演技、さらには縁語、姿、しらべで言葉を連動させていく、というフォーマットが決まったいるからゆえの自由な表現を和歌自身が獲得していった歴史、それが和歌史なのでありました。
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Posted by ブクログ
古文や和歌を詠む手順を学びたい、という人にオススメの参考書。
まず古文を読むためのシンプルなステップが示され、詳しい文法事項が述べられています。
短い文章で読み取りの練習ができるので、苦手な人にも取り組みやすいです。
さらに、君の名は。の場面でその文章が想像しやすくなっています。
見開き1ページでワンステップです。
また、和歌の読み取りの手順も描かれていますが、和歌を扱った参考書はあまりないので、重宝するかと。
和歌の読み取りも非常にシンプルな手順がしめされています。
ある程度読める人にとっては基本を確認するのにもいい本ではないでしょうか。
君の名は。が好きなら、映画の場面と一緒に学べて、取り組みやすいです。 -
Posted by ブクログ
偶然にも、同じく、ジュニア新書の『読むという冒険 イギリス児童文学』と同時期に読む。
こちらは五人の著者による共著。ゆえに、やや語りがとっちらかっているが、国語と中高生をつなぐ新書を読んだのは久しぶりなので、新鮮に感じた。
1章…導入にふさわしく、軽くて楽しく読みやすい。
2章…突然の占いの話。和歌占いの世界って、タロットカードなんかと同じですね。
3章…メロスおよび、みんな大好き山月記。著者の隠したいものとは。まさに国語の授業です。
4章…中高生への文を作るテクニック講座。なんの説明もなく、さくらももこのエッセイの一部を読んでからの解説。わかりやすい。読みやすい文、印象に残る文、共感しやすい文の作り方がこれなんだろうな。
5章…国語の歴史、言葉を強要する植民地主義を忘れてはならない。国内であっても方言や手話のたどってきた道も忘れてはならない。ニュースで方言が話されることも、ない。
(ただ、関西ニュースはNHKであっても方言が表に出まくる番組もあります。それも週一の放送ですけどね。おそらく方言のなかで、もっとも❮強い❯はずの関西弁さえこの現状。かつてはこれが標準語だったのに。いつの時代もヒーローは標準語を話してきたし、それが標準語になり…という、経緯は『役割語』の話にもあったなと思ったらやはり巻末にもその本が出てた。)
ドーデーの『最後の授業』、こうしてみるとすごくイヤな話だな笑。
牢獄の鍵は言葉なのは確かだけど、それがどの言語なのかを決めるのは自分ですよね。
温さんのママ語のエピソードが楽しい。
私は、国語の授業が好きではなかった。
スピードが合わなくて窮屈だし、当たり前の話ばかりでつまらなかった。
それでも、自分が最も勉強しなくても点がとれたのは国語だった。
今も、国語を学ぶのはなぜ?と言われたら、あまり説明はできないと思う。
私には、古い言葉や他者の言葉が好きだから、面白いから、としか言えない。私が言葉にまつわることには興味があるタイプの人間だから、としか。
この一冊はそれを代わりに説明してくれる。
国語嫌いな若い読者にとってはやはり手にとりにくいとは思うが笑、国語好きな人にとって、さらに楽しい世界への入り口になると良い。