あらすじ
理想の春のイメージ、恋人への究極の言い訳、旅のドキュメンタリー、観音様の詠んだ歌──勅撰集の部立てにならい、季節、恋、雑(人生)、祈りの4章を立て、和歌の歴史を代表する計48首を選び、詠まれた状況、歌人や文法の解説を交え、やさしく読みほどきます。時を越え、人々の願いや祈りを伝える古典和歌の魅力を味わおう。
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Posted by ブクログ
源実朝の 『時によりすぐれば民の嘆きなり八大竜王雨やめたまへ』 について。
原則として和歌には敬語は使わないが、仏様への直接の祈りとして効果的に使われている。
これはすごく口語短歌的で興味深く感じた。さすがは実朝ちゃんや。
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中高生向けのレーベルだが内容は驚くほど深くて、東大に入れない身でもここまでの話を聞くことが出来て、本当に良い時代に生まれたと深く感じる。
歌が詠まれた背景や歴史、詠んだ人の人柄や文法などまで語りかけるように教えてくれて、すぐそばに先生がいて話を聞いているようだった。
また、今まで問題集を解く時には気付かなかったポイントも、文法の説明と共にさらりと書かれていて、急に頭の中で繋がったように感じて驚いた。
それから、私は百人一首の曾禰好忠の歌が好きなのだが、ここでは、
鳴けや鳴け蓬が杣のきりぎりす
過ぎゆく秋はげにぞ悲しき
という歌が取り上げられていて、そのまま読めば普通の内容に感じられるところを、作者自身が身体ごと虫になって虫の目で見た不思議な歌であること、パンクな人物であることなどが書かれていて、やっぱり曾禰好忠は感性が独特な人だと知り嬉しかった。
Posted by ブクログ
本来の想定読者の高校生のみならず、和歌に最近興味を持ったおっさんにも優しい素晴らしい本。
できるだけ現代の若者にも親しみを持てるように、と気を使いつつ解説そのものは普遍的で和歌の意味や技巧のみならず背景や歴史をわかりやすく伝えたい、という著者の気持ちが溢れている。この素晴らしい文化をこの本をきっかけに、さらに味わい尽くしてみたい、と思わせられる。
個人的には渡辺泰明先生は放送大学の「日本文学と和歌」の授業で初めてその教えにふれ、その朗々とした和歌の歌い上げに惹かれていました。夢の遊民社の立ち上げメンバーであったことはずいぶん後になって知ったのですが、言葉での表現者としての経験と思いが和歌の研究にも根ざされているのだろうなとただただ憧れます。
岩波新書の「和歌とは何か」も現在読んでいる最中ですがこちらはさらに渡辺泰明先生の思いが溢れている作品で、噛み締めて読んでいきます。
Posted by ブクログ
和歌初心者でもわかりやすい 主に平安時代の和歌について、扱うテーマを四季、恋、世の中/人生、祈りに分けて、一首につき4ページで、文法的な解説や背景を含めて解説している。これから和歌を学ぶ入門編としては非常に良いと思う。そもそも万葉集を知りたくてこの本を取ったが、万葉集の世界にも入りやすくなるのではないかと楽しみ。