田中秀征のレビュー一覧
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言論人・石橋湛山ではなく政治家・石橋湛山に焦点をあてた評論。湛山の政治家としての生涯は戦後すぐの1年程度と昭和30年前後の10年にも満たない期間で首相を務めた人間としては極端と言えるほど短いのだが、その骨太さが窺える。
おそらく当時から理想論に走りすぎると言われていたのだろうが、その実経済を比重に置き対米協調を基本路線としながらも東側にも門戸を閉ざさない姿勢は現実的なものである(ただ、隙がないとまでは言えないが)。
総裁選挙の因縁もあるため岸信介とはどうしても対立軸として描かれがちであるが、岸が石橋そのものを攻撃したことは意外と少なく、ある程度の効用を認めて徒らに刺激することがなかったと言うの -
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自民党総裁選の動きが地味に始まっている。でも、「どうせ安倍さん続投でしょ」という、諦めムードなのか全然盛り上がる感じがない。(対抗馬いないというのが大きいところか?)
一昔前なら自民党総裁選となれば、個性派の候補者が出てきて「次はどうなるのか?」という期待感があったような気がするが、最近は気が付いたら終わっていたなんてこともざら。
なんでそんなことが起きるんだろう?
そもそも「自民党」ってなんだろう?とニュースを見ていて気になったので早速本屋に行ってみた。気になったことは関連する書籍を「5冊」読むのが近藤の鉄則。一冊だけだと思想などに偏りが生まれるので必ずしも正しい情報ではないことが多い。 -
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なるほど、と。現在の政治の劣化は小選挙区制度と言われる。一方で当書にも出てくるが、中選挙区時代もヒドイもので、同じ党の議員でも同じ選挙区ならもちろん宿敵、もしその宿敵が審議にいないと、選挙区の有力者の冠婚葬祭ではないかとハラハラしたとのこと。所詮同じ政党、政策に大きく差はないので、同僚に勝つには金次第・・・という背景もよくわかる。
ではどっちなんだという話だが、まず日本という国家、日本国民に合った政党政治のかたちを構想するのが先とのこと。筆者はそれは穏健な多党制があるべき姿という。それに誘導できる選挙制度は中選挙区連記制ともいう。そうかもしれないしそうでないかもしれない。
いずれにしても当 -
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自民党所属の元衆議院議員である著者が、1955年に設立された自民党の歴史の本質を、「岸信介に代表される自民党本流」と「石橋湛山に代表される保守本流」という2つの政治思想を背景とするダイナミズムにある、という観点からまとめ上げた労作。
著者の問題意識は、太平洋戦争を招いた日本の植民地政策等の対外膨張を批判し、「小日本」とも呼べる国家観をベースとして現在のリベラル勢力をも一部包含していた自民党の保守本流の流れが、”ニューレフト”と評された宮澤喜一を最後に潰えてしまい、岸信介を信奉する安倍晋三の政権下において、かつての自民党が持っていた2つの政治思想のダイナミックな政治論争とそこから生まれる多様性 -
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田中秀征の見識の高さは時代変わるも衰えず、と言ったところだが、受け手の佐高信が酷すぎる…。隙あらば今の自民や岸信介叩きに無理やり繋げようと平気で腰折ろうとしてくるので最早対談として成り立たないのだが、田中が上手くかわすのでなんとかなっている印象。
湛山思想そのものについて大きな異論はないが、石橋政権があのまま持続したとしてその理想を貫けたかにはかなり疑問が残る。国連軍創設などに当時主流派だった三木・松村派がついてくるとは思えず、そうなると岸派の取込みを行わなければならないので相当の制限を受けるのではないか…そもそも組閣であそこまで苦労していたという事実が抜けていると思う。
あと「自民党本流」と -
Posted by ブクログ
ネタバレ元自民党衆議院議員で、新党さきがけを結成し、細川政権において首相補佐を行った著者が、政治家・幕末の志士などを例にとりながら、判断力・決断力について記した書。
郵政改革が、参議院で否決された直後に解散に踏み切った、小泉元首相の卓越した決断力と、反小泉勢力の解散・およびその選挙戦に対する判断ミスなどを詳細に記している。
一方で、イラク戦争で、フランスの動向を予測できず、外務省とともにアメリカに同調してしまう判断の甘さも指摘している。
また、官僚の判断力の限界が現れた例として、日本の国連安保理常任理事国入り失敗が挙げられている。日本は常任理事国への加盟において必要な、国力、PKOに貢献で