山本博のレビュー一覧
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見た目に反して、かなり骨太に通史が書かれた本です。タイトル通りにしっかりと「世界史」の流れを説明した上で、そこにワインのテーマ史がどう絡んでいるかを解説してくれています。ワイン関連だけでなく歴史一般の話題も含め、文庫本とは思えない情報量の多さで圧倒されました。
以下、まとめ。
メソポタミアで初期のワインが生まれる。
エジプトで搾汁と熟成により発展。
ギリシャで庶民化され、文化としても洗練。
ローマでは享楽的な貴族の高級ワインと、キリスト教の神秘性を持った飲まれ方に二分。
中世でさらに幅が広がる。フランス王侯貴族のワイン、修道院のワイン、都市のワイン(水の代わり)。
絶対王政時代、ブルゴーニュ -
Posted by ブクログ
>この小説に現れる都市は架空のものである。
>登場人物も場所も全て虚構である。
>ただし、警察活動は実際の捜査方法に基づいている。
久しぶりに戻ってきましたアイソラの街に。
今回はなかなか良かった。
シリーズ49作目。私にとっては、どうやら4年ぶりの作品のようです。
マクベインは、今回もいつものように複数の事件を同時進行させます。豊胸手術をした修道女の殺害事件、被害者の枕の上にチョコレートクッキーを残すクッキー・ボーイと呼ばれる空き巣事件、そして主人公・キャレラを殺害しようとする男。
手法的にも例によってフラッシュ・バックを多用し、スピーディーに展開していきま -
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ネタバレポワロ最新作。
とてもおもしろかった。
ドラマ再放送中のため、それを観た後に読む。
俳優さんも声優さんもお亡くなりになってしまったが、
私の中で彼らは永遠にポワロだ。
だいすきだ~~。
「カーテン」でショッキングなラストをむかえたポワロシリーズ。アガサクリスティは自分の死後、勝手に名探偵の話を続けられるのはイヤだったとのこと。
そーゆーものなのかなあ。
設定としては、原作の空白部分を利用しているらしい。
新しい相棒?助手?に若手の警部。
どこか彼を育て導こうとする感のあるポワロ。
事件はポワロのお気に入りの店で始まる。
そして3人の死体。
最後までどうなるどうなる、と一気に読み切れた。
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名探偵ポアロシリーズをイギリスの作家が書いてみた、というやつ。白状すればポアロシリーズをきちんと読んだことがなく、テレビで見たくらいの浅さなので、実際のポアロと比べてどうか、という話は出来ない。なので単純にポアロという気難しい元警察官が出てくるミステリーとしてはそれなりに楽しく読んだ。まあ全体的に冗長すぎる会話や説明、どんでん返しにつぐどんでん返しの多さ、そして何より語り手である今回の相棒の内面のめんどくささ、そしてそれの活かされてなさ、などなど気になることをあげればキリがないが……まあ往年のファンが気に入らないことはなんとなくわかる。ムラは海外であっても怖い。
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ミステリ作家で元子爵夫人のレディ・プレイフォードの屋敷に招かれる。彼女の遺言が変更され、全財産を秘書のジョセフに遺すと発表される。そしてその晩にジョセフは殺害される。クリスティの世界観を踏襲してポアロの推理が展開される。犯人は意外のようで意外でもない人物だった。推理は多少強引なところもある。もっと推理にキレが欲しかった。ポアロがもっといやらしいほど自信家であったならもっと良かったかもしれない。ポアロが前面に出ている感じがしなかった。改めてクリスティの人物造形などが優れていたことに気がついた。作品としては及第点だが、クリスティの域には達していない。
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ネタバレ評価は少し辛口にしましたが、前作『モノグラム殺人事件』に比べれば面白く、星4つの評価にも相応しいと思います。(それを星3つにした理由は後述。)
『モノグラム〜』に出てくる登場人物が揃いも揃って魅力がない、というより嫌悪感を感じる人達ばかり(その最たるものが、今回も語り部を務めるキャッチプール)に比べれば、『閉じられた棺』の登場人物はどこか憎めず、アガサ・クリスティーが描いてもおかしくないようなキャラクターが集まっています。語り部のキャッチプールも、前作のようなこちらが辟易するような独白は今回控えているので、その分少しは読みやすくなっていると思います。
『モノグラム〜』のメイン・プロットがクリス -
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名探偵エルキュール・ポアロは、お気に入りの珈琲館で夕べのひとときを過ごしていた。灰色の脳細胞の束の間の休息。そこへ、一人の半狂乱の女が駆け込んできた。どうやら誰かに追われているようだ。ポアロが事情を尋ねると、女の口からは意外な言葉が。彼女は殺される予定だというのだ。しかも、その女ジェニーは、それは当然の報いであり、殺されたとしても決して捜査はしないでと懇願し、夜の街へと姿を消した。同じ頃、ロンドンの一流ホテルで三人の人間が殺害された。すべての死体は口にモノグラム(イニシャルの図案)付きのカフスボタンが入れられていた。ジェニーは被害者ではなかったが、関連を嗅ぎ取ったポアロは、友人の刑事キャッチプ