串田孫一のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
この本を私はとても気に入っている。
再読もしたし、植物のリストも作ってその姿を写真でチェックもした。他にも色々たくさん書き出したし、付箋も貼った。それでもまだこの本に対して納得がいっていなくて読書感想として日記にあげていなかった。
3回目を読んでもっときちんとした感想をまとめてから日記を書こうと思っていたのだが、とりあえず一度読んだ本ということで載せることにした。
串田さんの本をいくらも読んでいない私だけれども、私はこの本がいちばん好きだし、いい、と思った。
また読みたい(読まなくてはいけない)とも思っている。
何がそんなにいいのかというのをざっくり大きくひと言で言うと、この『光と翳の領域 -
Posted by ブクログ
ギリシャ神話の入門書と言われるにも関わらず、かなり複雑に絡み合った内容のものも多いですが、この本は馴染みのあるエピソードを読みやすい文章で紹介してくれました。パンドラ、オルフェウス、ペルセウス、ミダス王など子供向けの絵本や星座の由来として聞いた話をもう少し詳しく、多少の不道徳も伝承に近い形で読むことができます。いくつもある異説の中から、読んでいて気持ちのよいものを選んで書いてもらっているようにも感じられました。切り紙による挿し絵も分かりやすくユーモラス。大胆なデフォルメも神話の雰囲気にあってます。
神話の内容だけでなく、著者の言葉がまた名文です。
「神話から教訓を得ようとするのは滑稽なこと。」 -
Posted by ブクログ
ネタバレゼウスだとかエロスだとかその名前や〇の神というようなことは知っているがその中身はあまり知らない、という部分をかなり読みやすい文章で語られていおり、さくさくと読める。そして現代にあふれる様々な物語や思想の源流がここにあるのだと感じられ、これからギリシア神話の知識を深めていくには安定した一歩になったなと思う。
『ギリシア神話を教訓に利用しようなど考える人がいたら、それはずいぶん滑稽なこと』と著者の言葉があるが、読後感はまったく何度も首肯した。神として人と区別している割に彼らが持つ感情や欲望は人間のそれよりも生々しくて、神であるが故なのかそれらを発露することに躊躇がない気がする。
印象的だったの -
Posted by ブクログ
エッセイストとして知られる著者が、ギリシア神話をわかりやすいことばで語りなおしている本です。
著者は「はじめに」で、ギリシア神話から感動を受け取ったことがないと述べています。物語に安易な感動を求める傾向が強まっているなかで、人間の想像力の根源的な力強さをギリシア神話に見いだそうとする著者のスタンスが印象的です。
本書の「解説」を担当しているのは竹西寛子ですが、編集者だったころに著者に本書の執筆を慫慂した、いわば本書の生みの親ともいえる存在です。彼女が読みたかったギリシア神話は、「人間のわざ」として「古事記」も「ハムレット」も分け隔てなく対等にあつかうようなまなざしでとらえられた「ギリシア神 -
Posted by ブクログ
「ザ・キャラクター」を観て、やはり知識としても「ギリシア神話」は知っていなければならないなあと思い読んでみることにする。
串田孫一さんの「ギリシア神話」なら間違いないだろうと思い、膨大な数の本の中からこれを選んだ。
正解だったと思う。
あとがきや解説にも書かれているが、孫一さんが年月かけて考えた構成になっているので、とっつきやすいし、分かりやすい。
ナルキッソスとエコーの話やケンタウロスを倒す話、アポローンとダプネーの話、イカロスの翼が溶ける話…小さい頃にどこかで読んだ話と今再び再会するのは不思議な気持ちだった。
そして、他の神様やその子供たちの話は知らなかったり、話の内容が細かすぎてついて -
Posted by ブクログ
この本に書かれていることは、登山の経験が無い人には想像することが難しい部分もあるかもしれない。山という自然の中での経験が、串田さんの思想に大きな影響を及ぼしていることは疑いようがない。それを都会の真ん中でこっそりと覗かせてもらっているようなそんな気持ちになる。たまに意味するところが分からないこともあるけれど、それでも別に良いと言われているような気もする。通りすがりで良いと、そんな風に。
この本を読んで終始感じていたことがある。私の心の中にある普段は滅多に訪れることの無い場所に仙人みたいな人がいて、その人が話しかけているような、そんな感覚になるのだ。その場所は森のような草原のような、とにかく都 -
Posted by ブクログ
考えること、見ること、知ること、疑うこと、作ること、笑うこと、運命、孤独、悲哀、嘘、羨望、嫉妬 について、著者が分り易くエッセイで語る。定義でもなんでもない。著者の優しさが伝わってくるような文章が多い。それは鳥、動物、花などが度々登場し、それらの気持ちを忖度するような文章に表れている。「嫉妬」の中で印象に残る言葉は「恋する人は肉体をも勿論求めるでしょうが、それ以上に心を求めている」「想い出」は話すときになると幾らでも粉飾をほどこすことが出来る。想い出は秘められたままがよい。外へ出されるときは慎み深いのがよい」は至言である。「手紙」では詩の勉強へのアドバイスとして、「自分の日記や手紙をていねいに