やっぱり、モリコロス先生の作品は、心にほわっと染み込んでくる。
『のぼさんとカノジョ?』はストーリーの力のみで、読み手を癒してくる感じだったけど、この『猫と紳士のティールーム』は、ストーリーの力に、美味しい紅茶もプラスされてるから、より癒される。
しかも、タイトルに入っていて、なおかつ、表紙にも描か
...続きを読むれている猫ちゃん、名前はキームン君、がこれまた、良い味が出ているんだよな。基本的には黒猫なんだけど、胸の部分だけが白く、そこがワイシャツっぽいのが、実に可愛い。
中身も、客に大しては適度な愛嬌を振り撒き、ヘタレな主人に厳しい、でも、時には優しくするってのも、モリコロス先生のテクニックを感じちゃう。
言うまでもないけど、この『猫と紳士のティールーム』は紅茶。
多分、モリコロス先生、元々、紅茶が好きで、この作品を描く上で、これまで以上に勉強したんだろうな。
瀧さんの洗練された、紅茶を淹れる所作や、お客様に出す紅茶の説明、そのお茶と合うお菓子から、モリコロス先生が行った取材の厚みを感じ取れる。
先にも書いたが、店の主人である瀧さんが、ヘタレで、軽い対人恐怖症ってのも魅力だ。そんな人間が、どうして、接客が必須の飲食店を!? とツッコんでしまった、思わず。
そんな瀧さんが、紅茶について語る時、メッチャ活き活きするのが、凄く可愛い。同一人物かよ、と驚いてしまうほど。そして、ハイテンションになっちゃった瀧さんを、看板猫であるキームン君がビシッとシメる、そこまでの流れが最高だった。きっと、瀧さんのような人間を、無自覚タラシ、と人は評するんだろう。
きっと、私だけじゃないだろうけど、この『猫と紳士のティールーム』を読んだら、イケオジがいて、看板猫もいて、なおかつ、美味しい紅茶が飲める喫茶店に行きたくなっちゃう。そんな「したい」を抱かせる、この作品は間違いなく、良い作品だ。
この台詞を引用に選んだのは、分かるなぁ、と共感できたので。
これは、今、社会人をやっている人なら、一度は味わっているであろう苦味。
あるあるネタと言っちゃ失礼だけど、そこまで、珍しい事じゃない。
まぁ、先輩に、気にするな、と言われても、新人の内は気にしちゃうんだよな。
落ち込んで、それを引きずっちゃうタイプ、これはまだ、良い方で、中には、聞きやすい雰囲気にしてくれなかった先輩が悪い、と逆恨みをしたり、自信を失い過ぎて、そのまま、トンじゃう奴もいる訳で、参ってしまう。
けど、この片出さんは、聞く勇気を持てなかった自分の弱さを乗り越えた。
であれば、きっと、彼女は成長できる。二度と、同じ失敗を繰り返さないだろう。
(昨日の失敗も、元はと言えば・・・忙しそうな先輩に、声を掛けられなかったのが原因だった。ほんの少し、勇気を出して、聞くだけでいいのに、出来なかった)(by片出さん)