O・ヘンリーのレビュー一覧
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優しくもほろ苦く、時に苦い気持ちにもなるO・ヘンリーの短編集第二弾。
表題作含め、1冊目よりビターなお話が揃っている印象を受けた。
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特に好きなお話
「金銭の神・恋の天使」石鹸会社で巨万の富を築いた男と、その息子が恋する相手とのなれそめのお話。粋なオチが最高!!好きだぁぁぁ!
「心と手」オチが最高。読み返したらニヤニヤしちゃう。
「更生の再生」(旧訳「よみがえった改心」)ジミーも好きだし、ベンー!!ルパン味があって最高。→
今回はハピエンじゃないお話も多くて、物語としては面白いんだけどなかなかビターな感じ。
「ブラックジャックの契約人」や「ある都市のレポート」あたりは、仕方ないんだけど、やる -
Posted by ブクログ
優しい眼差しのお話が16編収録された短編集。
どのお話も登場人物たちがチャーミングで、作者のキャラクターたちへの愛を感じる一冊。とにかく好き。
オチが秀逸なのもさすが。→
特に好きなお話は
春はアラカルト(とにかくかわいい!)
二十年後(上手いよなぁ)
水車のある教会(切なくてラストが良き!)
千ドル(ジリアン良き)
緑のドア(世界観がたまらない&オチ最高!)
赤い酋長の身代金(がんばれビル!笑)
この世は相身互い(これ、最高じゃない?)
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巻末の翻訳者さんのあとがきがまたいいんだよなぁ。
私がO・ヘンリーが好きな理由を言語化してくれている感じがした。
新潮文庫の「名作新訳コレクショ -
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ネタバレ三作の中で唯一表題作含めて知らない短編しか収録されておらず、そのせいもあってかかなり新鮮な気持ちで読むことができた。表題作「魔が差したパン」は解説を読む限りでは翻訳の苦労が偲ばれる。内容はいつも古びたパンを買う客の素性が気になり、善意で押し込めたバターが、製図を書く時に消しゴムがわりにパンを使っていたことで皮肉な結末に繋がる物語であり、かなりのブラックユーモアである。画家ではないかと思われていた客の素性の謎、古びたパンばかり買う謎と、これは立派な「日常の謎」でもあり、タイトルも含めてオチも秀逸な短編である。
こうしたブラックな読み味の短編も今までのO・ヘンリーのイメージを覆す意味でも楽しかっ -
Posted by ブクログ
翻訳の語り口の癖が強く、若干読みづらさはあるものの、基本的に全ての物語にしっかりと話が落ちるため安心して読むことができる。表題作かつ最も有名であろう短編の一つ「最後のひと葉」はラストシーンの美しさもさることながら、貧乏な画家志望のレズビアンカップルを偏屈な老人が命を賭けて救う物語だというのは解説を読むまで気づかなかった。それはある種のダンディズムでありながらも二人の生き方を阻害するものではなく、加えて軽薄な美に対する徹底した現実として写実的な「ひと葉」が残るというオチも素晴らしい。そういう視点で読んだことはなかったので再読は非常に勉強になった。
他には覚悟した因果応報である「ブラックジャック -
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ネタバレ訳文が直訳に近く、落語や講談のように作者の「語り」が強調されているせいか、当初抱いていたイメージと違って読み手を選ぶ上に、全体的に文章のクセがだいぶ強いものの、ストーリーは流石は短編の名手といった塩梅でどの短編も一捻りされてて面白かった。
O・ヘンリーはこの短編集の表題作でもある「賢者の贈りもの」や「最後のひと葉」が有名すぎてそちらのイメージに引っ張られがちであり、本作も「水車のある教会」など、所謂「いい話」はあるのだが、そのユーモアやペーソスの中に皮肉的な視座が隠れていたりブラックなオチがあったりと、そのバリエーションは意外と多岐に渡る。全体的にどこかトボけた味わいの話も多く、それだけにし -
Posted by ブクログ
ネタバレ23の短編と、二人の作家によるO・ヘンリー論、訳者による解説が収録されている。
ひとつひとつの短い話のなかで、読み手の心を掴む工夫が凝らしてあり、新聞で読む小説として人々の興味を引いただろうと思った。
新聞の読者に向けてこれだけたくさんの作品を書くというのは大変なことだ。どれもユーモアと皮肉がたっぷり。世間の話題やその時代の流行を取り入れて書かれた作品たちはきっと誌面で輝いたに違いない。
特に好みなのは「巡回の合間」「賢者の贈り物」「最後の一枚」だった。不思議と親しみを感じるような人間の描き方がなされていると思う。
この本の面白いところは、訳者による解説が一編ごとに添えられているところ。当時の