原田隆之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大学の時に購入してずーっと本棚の奥に眠っていた本。意見が偏っておらず、すごく信頼できそうな印象。教師の期待が子どもの成績に反映される、という心理検証もあったと思うが、それは受刑者についても同じなのかもなー。過去の問題行動は「改善される」と、治療者が受刑者を信じて治療する方が、たしかに厳罰化するよりも効果あったりするのかもなー、なんて思いながら読んだ(まぁ、この単純化もあまりよくないかもしれないが)。
心理学の本か何かを数冊読んだだけの同僚たちが、「〇〇効果っていう心理学があるから、〇〇するといいいよ」と単純化したアドバイスをしている場面をわりとよく見るのだが、結構もやっとはするのよな。もちろんそういう効果はあるかもしれないのだが全人間に当てはまるわけではないし、場面場面に応じてその効果が出ないこともあるわけですし。私もたかだか大学で心理学を学んだだけではあるが、このもやっと感が解消されるような言葉を専門家の人がちゃんと本に明文化してるってのがよかったかも。これは持ち続けたい本でございました。 -
Posted by ブクログ
■ 犯罪の実像と社会認識
・我々がニュースで見る犯罪像は、報道用に作られたストーリーであり、実際の統計や実態とかけ離れている場合が多い。
■ 犯罪者の分類(米国の研究)
・犯罪者は「青年期限定犯罪者」と「生涯継続型犯罪者」に大別される。
・前者は「若い頃は無茶した」という一時的な逸脱で、成長に伴い改善することが多い。
・後者は生涯にわたり犯罪行動が持続する傾向があり、治療・介入が重要。
■ 犯罪統計(日本)
・日本の犯罪件数は長期的に一貫して減少傾向だった。
・ただし2022年から増加に転じた。
・刑法犯の中で最も多いのは窃盗。
・特別法犯の主軸は覚せい剤。
・欧州では密輸・密売は重罪だが、使用者には非刑罰化と社会復帰支援を行う法体系が多く、日本とは対照的。
■ 犯罪の類型別特徴
・殺人の約35%は家族や友人関係で発生。
・性犯罪で最も多いのは痴漢。
・性犯罪は暗数が多く、強姦の検挙率は80%だが通報・届出されていないケースが多い可能性。
■ 犯罪要因・心理生物学
・知能(IQ)と犯罪の間に明確な相関はない。
・犯罪者と正常者の最大の違いは共感性の欠如。罪悪感を感じる能力が弱く、自己中心性が強い傾向。
・粗暴犯罪に関与した男性では、テストステロン値が高く、セロトニン濃度が低いという研究結果がある。
■ 治療と再犯防止
・処罰は再犯リスクを低減しない。
・治療は再犯率を確実に低減させるというエビデンスがある。
・治療手法の例:専門家の臨床判断、描画テスト、セントラルエイトに関する質問ツールなど。
■ 日本の課題
・受刑者のうち、適切な治療を受けられる人は少数にとどまっている。
・執行猶予となった者に対して治療を提供する枠組みが存在しない。
・近年の日本の司法制度は厳罰化へ大きく舵を切っている。
・感情論が制度設計・政策判断を左右しやすく、エビデンスに基づく再犯防止政策が後回しになりがち。
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Posted by ブクログ
行為依存について整理されており理解が深まった。再犯防止には刑罰も治療もという立場。ただし,やたらとエビデンスベースドを強調するのは,ちょっと引っかかる。メタアナリシスって結局統計だから,個別具体性を取りこぼすような気がするんですよね。統計学を理解してない門外漢の偏見かもしれないけど。
この分野にも自助グループがあるのには驚いたが,数は少ないようで,地方では繫がれないだろうなぁ。。。あと,性的衝動の強い人たちが集まることで,トラブルは起きないのだろうかと心配になるのも事実。
性犯罪の構成要件が厳しすぎるという主張は,その後の不同意性交罪の創設に繋がってますね。
読み終わってから気付いたのだが,人間の教授なのねw -
Posted by ブクログ
ネタバレこういった犯罪系の分野にうとい自分にとって、専門分野としても勉強になったし、何より読みやすかった。ミクロな視点とマクロな視点、科学的なエビデンスや哲学的な考察など、色んな角度からの視点が書かれており、何度か読み返したいと思えた一冊。
P231
■マクロな視点から見たサイコパス
病気を克服し生命を守ろうとして医学が進歩したが、超高齢化社会や人口増加に歯止めがかからない。幸福を追求しようとして産業が発展したが、環境破壊や地球温暖化は悪化の一途である。自らの国を守ろうとして多くの兵器を開発したが、地球を破壊するほどの核兵器を保有するに至った。人類はまさに、地球と言う乗り物、知恵と言う毒針で何度も何度も続けるサソリのようである。サイコパスも、鋭い毒針で周囲の人々を刺し続けるサソリである。
しかし、サソリの毒がサソリという種の繁栄のための武器であったのと同じように、また、人間の知恵が、人間という種の繁栄のためには必須の武器であったのと同じように、サイコパスの得もサイコパスの生き残り戦略のためには「適応的な」ものであったのだ。だからこそサソリもサイコパスも、滅びることなく存続し続けている。
■進化論的な意味から見るサイコパスの存在意義
サイコパスのように利己的にしか生きれないものは、他のおとなしい者を出し抜いて生きていくことができる。それは進化論的な意味では、生き残り策としては効果的だったのだろう。そしてそれは、悪意を持ってそうしていると言うよりは、そうするようにできているというだけのことである。
サイコパス特性の全てが「悪」で、人類に会をなすものとは言えない。強いリーダーシップや冷徹な判断力が、我々の生存や進化に役立つこともある。社会には果敢にリスクを取って前進したり、外敵と戦ったりするものも一定以上は必要なのだ。サイコパスがどの社会にも1% 程度はいるということは、それが進化にとって最も適切な割合であるとして神の見えざる手によって配分された結果なのかもしれない。
■現代においてどうしても気ををつけるべきこと
P238
進化論的な意味からはサイコパスの存在には人類にとってそれなりの意味があり1つの個性として共存するしかないことを述べたがしかしやはり、核兵器時代の現代においてはどうしても気をつけなければならないことがある。それはシリアルキラーによる犯罪でも身近な隣人のサイコパスによる迷惑でもなくサイコパスを指導者として選ばないと言うことだ。いかに表面的にカリスマ的魅力があり、響きの良い言葉を操り、強い言葉で感情揺さぶられようとも、その正体を見極める目を養わないといけない。
乱世では革命家として国民から熱狂的な支援を得た指導者が、平和な夜になると独裁者に変貌遂げる事は、洋の東西を問わず珍しいことではない。ヒトラーを選んだドイツ国民はもうほとんどが死に絶えているかもしれないが、この民主的の時代でもサイコパスの弁舌に乗せられて彼らを指導者に選んでしまう国は歴然として存在している -
Posted by ブクログ
アルコールやたばこ、麻薬的な薬物、そしてギャンブルなど、いろいろな依存症を扱っていて、そういう意味では勉強になりました。
が、「構図はすべて同じ」という扱いなので、そういう意味では単調で退屈でした。
日本では、依存症は「意志の問題」とか「刑罰の対象」と短絡的に考えがちですが、それよりも、「脳の病気」と捉え、医師などの助けを借りながら治療していく方が効果的であることが証明されつつあるようです。
もちろん、日本でも後者の動きが大きくなりつつあるようです。
また、人類が依存症になることについては、進化の過程上、逃れられなかった、という観点も重要だと思います。
依存症は、「快」を求め「不安」を避ける行為が極端になった状態といえますが、「快」を求め「不安」を避ける行為そのものは、人類が生き延びる上で大切なことなはずなので。
とはいえ、どの依存症も、同じようなパターンの説明になると、さすがにちょっと飽きてきます。
もしかしたら、この本に過度に依存しないための工夫かもしれませんが。