原田隆之のレビュー一覧
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ネタバレ犯罪心理学に興味を持った初心者には分かりやすく読みやすかったです。筆者が言いたいことは、現代の日本の犯罪心理学は主観的な考え方で各々の事件の要因を決めつける傾向があり、客観的なデータとしての対策をすることが少ない。つまり、科学的な根拠を元にした犯罪心理学があまり発展してない。
日本の犯罪は刑罰を下すだけで、その後のことを考えた対策をあまりしていなく犯罪者に対しての治療が外国と比べ少ないことを伝えたいと分かった。
筆者はとにかくセラピーなどのような人間が人間を治療するという、その指導する側の判断で分析するような心理学はほぼ意味がなく科学的な心理学が必須だと伝えていた。 -
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性犯罪者をどう処するか、というのは「荒れる」議論になりがちだ。被害者に与えるダメージの大きさから、感情的な処罰が提言されることも多い。
しかし、厳罰化には抑止も再販防止の効果もなく、永久に施設に入れる(実際米国にはそういう施設がある)のは税金がかかりすぎる。
データが取りにくいなか、現状で最も効果が高いと思われるのが認知行動療法や弁証法的行動療法を通した治療である。性犯罪につながらなくとも、性にまつわる「逸脱した」行動(カッコ書きにしたのは回数や頻度の面などで明らかに社会的な生活に支障が出ている状態を指す)はアルコール依存症等と同じくAddictionの要素が強く、似たようなアプローチをと -
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今までなんとなく避けてきた話題だったけれど、読んでみて当事者の苦悩が伝わってきた。
痴漢を行う動機として、最初はのきっかけは性的な要素が強くても次第に薄れていく。そして、最終的に強迫、辛いことからの逃避行動、条件付けなどが要因となっているのだそう。
正直、単純に性的衝動に支配されているのだとばかり思っていたが、性的依存症も他のアルコールなどの依存症と同じなのだと知って驚いた。
その他勉強になったことを箇条書きにする
・依存症の人は、落ち込んだときのコーピングのレパートリーが少ない
・痴漢は刑罰を課しても犯罪は減るどころか僅かに増える一方、治療特に認知行動療法を行えば30%程度減少する
・家 -
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結局、犯罪対策とは「犯罪を犯す人と犯さない人の違いは何か?」なのだろうけど、それは、社会階層や貧困や知能や精神病歴や幼少時のトラウマではなく、反社会的なパーソナリティや交友関係、認知癖を持つかどうかなどハードルを超えやすい行動様式を持っているかどうか、なんだな。
生まれつき(衝動をコントロールできるか、他人に共感できるか、刺激を求めがちか)と育った環境(違法性への価値観、仲間)も影響がそれぞれあり。
犯罪を起こしやすい因子を複数持つ人たちが必ず一定数(数%)いて、犯罪の約半分に関わっているという話。
そして、犯罪を起こしやすい因子を持っていても、必ず犯罪を起こすとは限らない。
「犯罪的他 -
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いや、存外面白かった。
サイコパスに正面切って接して来た著者。
綺麗事ではない、サイコパスは、欠けている。それは、もう気持ちとかの問題だけでなく、欠けているのだ。そうしてそう言う人間は一定の割合で現実に存在している。
その怖さ。
だが、この著者のすごいと思ったのは、元々人間というのは過酷な環境にあり、その中でサイコパスというのは一つの利点でもあった。環境は穏やかになって来たからこそ目立つ、あるいは不適合とされるのであって、英雄と呼ばれる人間にもサイコパスの要素が見られることは多見される。
人間という種を考えた時に、サイコパスは、それだけで排除されるものではない。
うーん。
やってはいけない -
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犯罪心理学に というよりはむしろ、著者がいわゆるエビデンス派だからという理由でこの本を手に取ってみた。
私はエビデンス派「ではない」。今の時代、避けては通れないことは知っている。でも、これまで私と実際に関わりのあったエビデンス派の人々が、余りに度量が狭いことに心底辟易させられ、敬遠していたに過ぎない。
その辺は脇に置くとして、この著者の唱えるエビデンス重視であれば、も少し話をお聞きしてもいいかな とまで思える内容だった。
(一応)進化の最先端にいるヒトという生き物の営みは、一対一対応の因果関係という説明で片がつくはずがない。経験の積み重ねから私は日頃そのように思うのだが、著者もそのあたり -
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「痴漢外来」という聞き慣れないタイトルに興味を覚えて手に取った。痴漢は卑劣な人間による犯罪であり、治療できたり改心したりしないだろうから犯人には苛烈な処置をするべきだ、と考えていたが本書を読んで少し認識が変わった。
痴漢や盗撮は薬物と同様に依存症であり、「治療」により再犯率が低下するばかりか、刑罰のみでは再犯率はわずかに増加する。病気という視点であっても、責任能力とは関係なく罪が軽くなるわけではない。痴漢は女性の敵であるのは勿論、冤罪に巻き込まれる可能性という意味では直接的に男性の敵でもある。「被害者を出さない」「再犯を防止する」目的では、刑罰と治療の取り組みは私達の社会にとって有効な取り組み -
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嗜癖と習慣、依存症の違いは何か。考えると一瞬迷うが、それが欠落した時に呼吸が乱れ、思考がそれに囚われ優先順位が入れ替わる事、と言うと何やら心当たりがありそうだ。アルコールや薬物、ギャンブルでそのような経験はなくとも、恋愛や承認のアディクションは少なくないのでは。
本著曰く、脳の機能が変化してしまいコントロールが効かなくなった状態を依存症という。手がかり刺激として快楽とペアになって記憶される。これを学習心理学では条件付けと呼ぶが、関連するのが大脳辺縁系の海馬と言う領域。依存症への遺伝的要因の寄与率はおよそ40から70%とも考えられている。依存し易い人、というのがいるのか。
自らを完全にコント