湯本香樹実のレビュー一覧

  • 岸辺の旅

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    終始「水」のイメージを強く感じた。
    水のように一箇所に留まらず、流されるように旅を続ける瑞希と優介。瑞希の、優介に会えた嬉しさよりも、優介がまた居なくなるかもしれない恐怖が強く感じられて、ずっと光の届かない海底にいるような、ゆらゆらと揺れるような話。

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    2022年06月21日
  • 岸辺の旅

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    西日暮里 BOOK APARTMENTで購入。
    表紙が見えないようにされており、「考えると変な話ですが妙に残ってしまいます。」という一文の紹介で購入。
    感想「確かに。」

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    2022年02月03日
  • 岸辺の旅

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    ネタバレ

    深津絵里に興味を持って主演映画の原作ということで読んでみた
    こんな本も書く人だったのか
    そういえば生き死にについてよく書く人だな
    夏の庭を読み返そう
    こんなにも集中して情景を想像するって作業は初めてしたかも
    岸辺の旅ってタイトルと装丁がぴったり
    これも浅野忠信だからか、私の男の、日本の果ての海を思い出した
    別れが分かっている時に、おっきな月だねえだなんて関係ないこと言わせるの理解できなかったけど、もし私が同じ場面に立たされたら、ほっとするのかもしれないって初めて思った

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    2022年01月03日
  • 岸辺の旅

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    行方不明だった夫が帰ってきた
    しかし体は蟹に食べられたという・・・
    死者?となった夫との旅物語
    語り手の女性はでも普通に受け入れて旅生活を続ける
    そんな世界があってもいいのかなと感じたけど
    でも実際にあったらいろいろと混乱するなとも

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    2021年10月02日
  • ポプラの秋

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    幼くした父を亡くした子と母と、移り住んだ先にいた少し風変わりな大家のお婆さん。

    「きっとまた、いい日が来る。だって私、まだ生きてるんだから。」

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    2021年09月14日
  • ポプラの秋

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    さらりと読んだ。

    疲れ休め(ややこしい読書の後)にはもってこいの作者の資質。こういう癒し系の効用というところ。
    ロバート・A・ハイラインの『夏の扉』しかり、スザンナ・タマーロ『心のおもむくままに』もそう。

    ポプラの木を見に行きたくなった。

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    2021年08月31日
  • 岸辺の旅

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    静かでじんわりとした余韻が残る作品。
    三年前に失踪した、瑞希の夫・優介が、ふいに現れます。
    ですが、優介いわく“俺の体は海の底で蟹に喰われてしまった”と。つまり、既に死んでいるというのです。
    そんな優介に導かれ、彼の三年間の足どりを遡るように二人は旅に出ます。
    旅の間、失踪中の不在だった期間を埋めるようによりそう、二人の何気ないやり取りに、かけがえのない人と過ごす時間の尊さというものが伝わってきます。
    もしかしたら、個人的に最近身内を亡くした事もあり、そうした事情で、“死者との繋がり”というものが殊更心に染みてくるのかもしれません。
    全体的に“水の気配”が濃厚に漂う、朧げな雰囲気は、常世と現世

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    2021年06月10日
  • ポプラの秋

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    ネタバレ

    幼い頃に母と暮らしていた『ポプラ荘』の大家のおばあさんの訃報。
    そこで暮らした3年間を思いながら、千秋は居ても立ってもいられない思いで、ポプラ荘に向かう。

    その頃、まだ7歳にもなっていなかった私=千秋は、交通事故で突然いなくなってしまった父の死を理解できず、得体の知れない不安や恐怖を抱えていた。
    病気になった時、はじめ不気味でおそろしかった大家のおばあさんから、不思議な話を聞かされる。
    おばあさんは、自分が天国へ行く時に持っていけるように、先に天国に行っている人たちへの手紙を預かっているというのだ。

    それ以来、千秋はおとうさんに宛てた手紙を書いてはおばあさんに預けるようになり…


    幼い頃

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    2020年12月10日
  • ポプラの秋

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    秋を感じたくて再読。
    こんな話だっけ…?と思ったけど子供千秋の心の声に所々笑って、大人千秋の心の声にちょっと切なくなった。

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    2020年11月10日
  • 西日の町

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    ネタバレ

    北九州に暮らす僕と母と祖父の複雑な心情を描く。

    現在と過去を行ったり来たりする語りを聞きながら、不器用な家族の交流になんとも言えない気持ちになる。
    愛も憎しみも矛盾していない。
    亡き人を思う、という話だ。

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    2020年11月08日
  • 岸辺の旅

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    ネタバレ

    生と死のはざまってこういうことなのかな?
    生きている側も死んだ側も楽しくて辛い旅なんだろうと
    感じた作品

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    2020年07月28日
  • 岸辺の旅

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    失踪した夫が戻ってきたけれど、彼は既に海の底で蟹に食べられて死んだ人だった。
    衝撃の幕開けだったけれど、その死んだ地から主人公の元へ帰ってくるまでに辿った土地土地をゆっくりと旅する二人のペースはとても心地よかった。

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    2020年03月13日
  • 岸辺の旅

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    上手く言えないけど、水のようなクラシック音楽のような文章だった。世界が流れてくる、いつのまにか不思議な世界にいるような感覚。
    みっちゃんは受動的なのか逞しいのか。最愛の人とどこかで似通ってて通じ合ってるなら幸せだなと思った。
    私は最愛の人そもそもいないし、無くした経験もないけれど、生と死はずっと隣り合ってるよね。物語を通して生と死が揺らぎつつ、くっきりとその境目が見えてくる。

    ・夏は急速に色あせ、日の光に繊細な角度がつき、夜の闇は濃くなった。
    ・したかったのにできなかったことも、してきたことと同じくらい人のたましいを形づくっているかもしれない。

    しらたま作って食べたくなった。

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    2019年12月10日
  • 岸辺の旅

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    死んだ夫が帰ってきて、一緒に旅をする話。いわゆる幽霊とは違い、ものを食べたり、生きている人と変わらないような行動をするけれど、夫本人も妻も、彼が死んでいることを判っている。こんなことが本当にできたらいいなと思う一方、ハッピーエンドになりようがないことも判っていて読むわけで、読んでいる間中、ずっとどこか寂しい。

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    2019年03月07日
  • 西日の町

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    母と二人、西日の当たるアパートに現れた『てこじい』。もどかしいぐらいの親子の愛をかんじました。夏の庭同様、老人と子供の話を書くのが上手です。てこじいがベッドの上で看病疲れで眠ってる娘の頭に、手を添えている場面に、てこじいの娘に対する思いが全て込められていると思いました。静かな『生』と『死』みたいな作品でした。

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    2019年01月20日
  • 岸辺の旅

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    ネタバレ

    長い間失踪していた夫・優介がある夜不意に帰ってきた。ただ、もうこの世の人ではないという。妻・瑞希は優介と共に彼が死後歩んだ軌跡をたどる。

    彼岸と此岸の行き来しながらの二人の道行きが、湯本さんならではの美しい文章で描かれると、こうして亡くなってからもあの世に行かずに生活している人がいそうな気がしてくるから不思議。
    二人の旅の途中で出会う人々もそれぞれに後悔や過去の重たい何かを抱えて生きているのが哀しい。

    再生の物語は好きじゃないし、心震える結果にもならなかったけど、湯本さんの文章はどこまでも美しくて、静かな水辺の景色が脳内で再生されて、正に映画化にピッタリの作品だと思った。
    もちろん優介は浅

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    2019年01月19日
  • 岸辺の旅

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    解離性健忘 長い戒名のついた位牌でも突きつけられたように畏まった 剃刀負け 歯科医らしい器用な指先 一度死んだことも、いつか死ぬことも。何もかも忘れて、今日を今日一日のためだけに使い切る。そういう毎日を続けていくのだ、二人で。 アップライトピアノ 辻説法でもするように彼は今ある世界の不思議を説く 川面が輝いている 諍い 真鍮しんちゅう 荼毘に付された 細かな泡粒あわつぶ 迷い箸をするように鋏を揺らしている そうだ、そうやって少しずつ、お互いの世界をひろげていったのだ。 しらたま 既に体は海の底で蟹に食べられてしまった 生と死がとても親しい 寧ろ混じり合うことを希求するふうに 生と死の狭間で宙吊

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    2018年03月21日
  • 西日の町

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    面白かった。

    てこじいに対し周囲の大人が、愛憎入り混じった態度をとるのに対し、孫である少年の客観的でニュートラルな語り口で描かれている。

    最後の数ページは、なんとも言えない、感慨深い。
    こういったことを感じ取って、成長していってほしい。

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    2018年02月21日
  • 岸辺の旅

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    「生と死」という概念について、ライフワークとでも申しましょうか、絵本であれ、小説であれ、その境界領域を描いてらっしゃる湯本香樹実さんです。「くまとやまねこ」、大好きです。今回、「岸辺の旅」(2012.8 文庫)を読みました。生者・瑞希(みずき)と夫優介(死者)の彼岸・此岸の旅の物語。なんとも不思議な世界に迷い込みました。生者と死者がお互いを見つめ、お互いを赦し合う、そんな世界なのかもしれません。私には、まだ難しい物語でした。配偶者というのは、わかるという意味、わからないという意味、不思議な関係ですね!

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    2018年01月27日
  • 岸辺の旅

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    ただ体が反射的に動いて、指にクリームをのせてしまった。

    死んだはずの夫・優介が、夜中に食べるロールケーキのシーンがとても印象的だった。両手で掴んでかぶりつく優介。反対側から出てくるクリームを反射的にすくう妻・瑞樹。彼女のこの行動は、無意識であるが、食べることを忘れないしたたかさを持つ。食べものを通して、少しずつ生きる者と死者との境界線が見えてくる。
    不思議だったのが、蟹に食べられて死んだという優介の言葉。タイトルにもあるように、全編を通して水の気配が色濃い。なぜクジラや鯵などではなく、蟹なんだろう。小さくかわいらしい、滑稽な死に方である。

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    2017年09月08日