ナショナルジオグラフィックのレビュー一覧
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死とは生者のもの
どの国のどの民族も、どの宗教もその根底は揺るがない。
例外はと言えるのはエジプトのミイラだろうか。生者の慰めのためではなく、あくまで死者の来世のために残すものだから。
近代社会から見れば異なものに見えるトラジャの人々の風習は、けれど世界において唯一というわけでもない。
遺体や遺骨を伝統的な手法で残し、残されたものの悲しみが癒えるまで身近に置かれたりするのはそう珍しくないから。
日本人の遺体や遺骨への執着も、世界から見れば十分に珍しいのだし。
改めて自分の死生観や、誰のための葬儀なのかを考えさせられるリポートだった。 -
Posted by ブクログ
素晴らしい,の一言に尽きる.中身は世界中の仕事(と仕事の間の休憩など)の風景の「写真集」で,なにも,職業選択の参考になるようなことが書かれているわけではない.その意味では「WORK」というタイトルをこのように訳した出版社(企画者)のセンスはどうかしている.でも,写真の数々は本当に素晴らしい.100年も前の写真(アメリカの工場で働く10歳にも満たない少女)なんてのは,それはそれでその当時のアメリカがそんな世の中だったことを知るための歴史的な価値はあるのだが,それよりも現代の世界中の国々の本当の様子を知るのに,こんな貴重な資料はない.自分のように何十カ国と訪れたり,また実際に行ったことが無い場所でもテレビやインターネットによって,世界の様子を知ることができたような気がしていたが,そんなものよりも何倍も本当の姿,様子を語ってくれている.
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Posted by ブクログ
この地球上には、どれだけの人間が暮らし、どれだけの人間が生きるために働いているのか。
ページをめくる度に、解説や言葉なしに、その現実を痛感させられる。
改めて、「人間は生きるために働くのだなぁ」と思う。
この本に載っている写真も、非常に何かを訴える力のある、素晴らしい写真ばかりだ。
「働くこと」に疑問を感じている人、就活に疲れている人に特に読んで欲しい。
ちなみに、私の一番のお気に入りは、犬の品評会に並ぶヨークシャーテリアだ。全く内容と関係ないが。
内容と関係して一番印象に残っているのは、子どもが働く写真だった。
あの真っ直ぐな眼差しが痛い。 -
Posted by ブクログ
帯に書かれた「『私の身体はガラスでできている』と信じたフランス王」のような症例に対する野次馬的な好奇心から読み始めたが、妄想を抱いた彼らの生きた時代の背景や環境を深掘りしていくと、彼らと自分はたいして変わらないと思い知らされる。
特に、第6章で紹介されるマーガレット・ニコルソン。
18世紀のロンドンで内職をして暮らしていた彼女は、「自分は王家の正統な継承者であり、その財産を分け与えられるべきだ」と主張し、国王を襲った。
彼女のそれまでを見てみると、以下のようなことが分かる。
・事件当時、周囲からは「他人に迷惑をかけない、物静かで礼儀正しい人」だと思われていた
・教養があり、幼少期から高尚な文学作品に触れていた
・12歳でロンドンに出てメイドとして働き始め、優秀な働き手として自活できていた
・不祥事を起こし解雇されて以降、定職に就けず、裁縫の内職でやりくりしていた
・実の兄は「妹が頭がおかしくなったのはプライドのせいだ」と語った
現代日本に生きる自分に通ずる要素がありすぎる。
彼女の妄想は、能力を活かせば女性でも自立し社会的地位を築くことができるようになった18世紀のロンドンで、その地位から転落し、生活に困窮するようになったごく普通の女性による「自分を気にかけてほしい」という叫びであると著者は書く。
今は非常に運が良いことに、何不自由なく生活できているが、これができなくなったら。
本を読み教養を蓄える余裕があり、普通の会社員としてなんとか社会のレールに乗れて来てしまった自分は、その現実を受け入れられるだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ写真集的な本の楽しみは何度も見返せることにあると思う、この本も細かく描かれた地図を眺めるだけで楽しい。フルカラーなのも素晴らしい。
木の地図まであるとは驚き。海岸線を視覚ではなく触覚で捉えようとしたらしい。
やはり世界の中心はヨーロッパにあったのかという感想。アジア東の端の日本や新大陸、オーストラリアの姿は本当に知られていなかったのだな。
Google Earth GoogleMapと見比べながら読んでいくのが楽しかった。この二つも一つの観点でしかないのだけれど、私にとっては一番使っている地図であるから、最も偏りのない?ように感じる。その偏りのない地図を比較としてもちいると、この本に収録されているいくつもの地図の、特徴となる観点が際立つような気がして楽しかった。