アレックス・カーのレビュー一覧
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インバウンドが2000万人を突破、今年は3000万人を上回る、2020年には4000万人だと、浮かれている間に、国内の観光名所は大変なことになっているようです。
たとえば京都。
既に清水寺や二条城といった超の付く名所だけでなく、京都駅南側のお寺や神社でも、今は人で溢れ返っています。
伏見稲荷大社は、鳥居が「インスタ映えする」として、いつ行っても鳥居の下に人がびっしりいて参拝もままならない。
美しい禅庭のある東福寺も紅葉の季節になると開門からすぐに、庭を一望できる通天橋の上に人が連なり、立ち止まることも出来ないのだとか。
他の有名観光地でも、「観光公害」とでも呼ぶべき事態が起きています。
これで -
Posted by ブクログ
観光におけるオーバーツーリズム等に警鐘を鳴らす良書。
大型バスによる量的なものではなく、質が高く地元に金を落とす観光の在り方というのはごもっとも。
政府は2020年に、年間4千万人の訪日旅行客を目指すというが、それだけの数が来日しても対応できるのか。既に都内では外国人観光客でごった返しているのに、これ以上物理的にも“おもてなし”的にも対応できるかは疑問がある。
また、本書に書かれていた、島しょ部での場所に合った港の在り方では小笠原諸島が思い浮かんだ。小笠原では現在、おがさわら丸などの「船」でしか行くことができない。島を離れる際の出航風景(フェリーに併走してダイブしてくれる)は、船だからこその旅 -
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ネタバレ<目次>
はじめに
第1章 テッィピング・ポイント~「立国」が「亡国」になるとき
第2章 宿泊
第3章 オーバーキャパシティ
第4章 交通・公共工事
第5章 マナー
第6章 文化
第7章 理念
おわりに
<内容>
40年来、日本で日本文化を研究し、徳島県の祖谷の古民家や京都の古い町家を改造して、宿泊施設を作り、運営している著者の本。彼の視点は、日本を客観的に見れるし、実際に高度成長期で固まってしまった(成功体験にしがみ付いている)日本人と渡り合ってきた経験値で語られているので、適確だと思う。また出されている提案も、無難なものが多く「規制緩和」と「古い固定観念」を崩せれば、すぐに -
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長年日本に住んできた米国人による、これはなかなか面白い日本社会論である。
本書のスポットは特に日本の行政(官僚)を中心とした社会・経済・環境破壊の動きに向けられており、ここでは「ビューティフル」と日本文化を褒め讃えるのではなく、ひたすら「異常さ」を追究している。
明治以降、とりわけ戦後において日本式「官僚制」がすべてをコントロールする強大な権力の中心となってきたことを指摘する。この「官僚制」はマックス・ウェーバーも詳細に議論したように、どこの国にも見られる腐敗・硬直化する構造物なのであるが、とりわけ日本のそれは甚だ強烈で、政治家の力を持ってしても歯止めをかけることは難しい。
戦後の日本はとにか -
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米国イェール大学 日本学部卒業。
この本では写真を多用して日本の景観の悪さを「これでもか!」というくらい指摘してくれている。京都も例外でなく観光都市としてあるまじき建築物や町並みつくりがしてきされている。あのグロテスクな京都タワー、ちっとも京都らしさを感じさせてくれない京都駅ビルなど。
全国の観光地や神社仏閣公園などにおける親切すぎるしつこい立て札のセンスの悪さ。
電柱が倫理する古い町並みの写真。電線は、地中に埋めるべきとの指摘。埋めるのには膨大なコストがかかると日本人は思い込んでいるが...コストと効能を比較したら安いものとの指摘。
公共工事でどんどん自然にそぐわないハコモノ建造物などが作ら -
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日本の魅力を発信するアメリカ人による、日本の問題点をした本。日本のバブル後の失われた20年に起こった日本の課題を指摘している。断片的な事象もって日本の官僚組織を批判したり、一部の意見をもって日本の特性と断定したり、分析・評価に説得力のない点が多いが、外国人から見た当時の一面としては、参考になる。経済的な基礎知識が欠如していると思われ、残念。
「瑞々しく青々とした山々、エメラルド色をした岩の上を流れる清流など、世界でも有数の美しい自然環境。東アジアのあらゆる芸術的財産を受け入れ、何世紀もの間日本特有の感性でさらに練り磨いた、アジアで最も豊かな文化遺産。先進国でも屈指の優秀な教育制度や、高度なテ -
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アレックス・カー氏の著書はもう何冊か読んでいるので、既視感がある記述も多いんだけど、何度読んでも納得できる指摘が多い。
文字だらけ(禁止文言だらけ)の観光地や電線だらけの町並みは、見ていて気持ちがいいもんじゃない(東南アジアなみにカオスになるとあれはあれで面白い 笑)。
〈商店街が観光地されることで、それまでの町とは関係のない業者や商品が入ってきて、その地域全体の文化や個性が消えてしまう〉ことはしばしば起こる。
横浜の中華街が典型か。店の人が中華街の中に住まなくなったことも背景にあるようだ。同じ神奈川だと鎌倉の小町通りも。最近は駅の逆側の御成通りも観光地仕様になってきている。
一時期、