アレックス・カーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アレックス・カー氏の著書はもう何冊か読んでいるので、既視感がある記述も多いんだけど、何度読んでも納得できる指摘が多い。
文字だらけ(禁止文言だらけ)の観光地や電線だらけの町並みは、見ていて気持ちがいいもんじゃない(東南アジアなみにカオスになるとあれはあれで面白い 笑)。
〈商店街が観光地されることで、それまでの町とは関係のない業者や商品が入ってきて、その地域全体の文化や個性が消えてしまう〉ことはしばしば起こる。
横浜の中華街が典型か。店の人が中華街の中に住まなくなったことも背景にあるようだ。同じ神奈川だと鎌倉の小町通りも。最近は駅の逆側の御成通りも観光地仕様になってきている。
一時期、さかんにクルーズ船を誘致しようなんていう動きがあった。だが、本書を読んでいる限りだと、どこもかしこも誘致というのは、うまくいかないようだ。
わざわざ環境破壊してまで、観光客の受け入れキャパのない街に数千人規模の豪華客船を誘致するメリットはない。コロナ禍でクルーズ船のイメージが悪くなり、当面は誘致なんて言葉も出ないのかもしれないけれど。。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ東京は住む環境に値しない。
長野県どん詰まりの田舎から東京に帰るたびに常々思う。
人が多すぎ、なんか生ゴミ臭い、空は狭い、水がマズい。
そんなコンクリートジャングルの汚い写真がこれでもかと本書には掲載されている。
だから本来の日本の風景を取り戻そう、というのが筆者の主張である。
さて、ここまで同意してきたのだが、この主張には反発してみよう。
一転反論である。
かつて日本の町は木と紙と土の家だった。
大地震が起き、戦争で焼け野原になり、その度に焦土の中から復興してきた。
現在の日本の(特に東京)のコンクリートジャングルは合理性の塊である。
地震に強い、火事に強い、さらには東京一極集中の人口を飲み込むマンション群。
景観、そんなものは災害の度に失くしてきた。
出口戦略がまるで無く、ただただ合理性のみを追求してきた街並みが東京である。
その結果、日本が得た最大の武器はインフラ技術である。
家電、半導体など日本がかつて市場を席巻していたことは今は昔、軒並みオワっている。
21世紀に入り情報産業で日本は押され続け、世界に対して技術的優位を保っている分野は、もうほとんど無い。
残ったのは自動車産業、そしてインフラ技術だ。
コンクリートで谷を埋め、コンクリートで川を堰き止め、山を削り、道を伸ばし、自然を破壊してきた代償に得たのがインフラ技術である。
そのインフラ技術を求める声が世界にある。
その技術は誇ってもいい。
だから、日本の醜い景観を並べ「だから日本は醜い」とディスるだけの主張には腹が立つのだ。
数百年前の街並みが未だに残る大学町、オックスフォード。
塔から見下ろすレンガ色の家々、フィレンツェ。
いくつもの時計塔が町から突きだす、コペンハーゲン。
旧市街のカラフルな家が並ぶ旧市街、ストックホルム。
川向うに立ち並ぶ無数の塔が夜の街に浮かぶ、プラハ。
ヨーロッパの国々は美しい。
景観を壊すことは文化を壊すことだ。
しかし、東京のどこに守るべき景観がある?
描くべき未来がなく、合理性を追求し続ける都市、東京。
SF映画で描かれる未来的な都市になる可能性があるのは、世界中で東京だけなのではないかと思う。
ならばいっそ、その可能性に賭けてみるのが面白いのではないか。
東京は汚い、住む環境にない、ならば田舎に来ればいい。
今住んでいる長野県は空家率が全国二位、お隣の山梨県は全国一位だそうだ。
これから空家率は増える一方、需要が無いなら価格も下がるだろう。
平日は東京で仕事をして、休日は田舎ライフ。
都会の汚さを嘆くなら、そんなライフスタイルはどうだい?