アレックス・カーのレビュー一覧
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著者は日本人以上に日本を愛している方です。
そして誰よりも日本を憂いています。特に観光
に関わる点においてです。
オーバーツーリズム、大規模開発、景観問題
など、日本人が見過ごしている問題に対して
強い危機感を抱えています。
一方でまだその危機が幸いにも及んでいない
場所には、敬愛の念を隠しません。
この本では、そういったまだ観光地化されて
いない場所を訪れたルポです。
しかしそうなると、これから人が押し寄せて
しまうのでは?と誰もが思うでしょう。
著者もその矛盾を抱えながら旅を続けていま
す。
そして1971年「かくれ里」を著した白洲正子
さんの言葉を引用しています。
「人が知 -
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2020年には年間4000万人の訪日外国人
観光客を目標としている日本。
その目論見はコロナで外れてしまいまし
たが、それを別としてもあちこちで
観光客だらけの状況を見て「このままで
日本は大丈夫なのか?」と感じた人は
多いと思います。
何よりその観光地の受け入れるキャパシ
ティと訪問者数が釣り合っていない「オ
ーバーキャパシティー」状態です。
仮にそのキャパシティーをクリアしたと
しても、それはそもそも一時的なSNSで
の加熱であった場合は、熱が冷めれば誰
も見向きもしなくなる「宴の後」が待っ
ています。
他にもマスコミでもよく見かける、不法
民泊や食べ歩きのマナーの問題など、
挙げ -
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読みながら、なぜか恥ずかしいという気持ちが湧き上がってきた。
「愛しているならば、怒らねばならない」と白洲正子がいった。
日本人は日本を本当に愛していますか?という問いかけにたじろぐ。
どこに行っても、同じような街の景色。川辺や海沿いは、コンクリートで固められている。看板はだしたいだけだす。〇〇をしてはいけないという注意書き。街路の木は病気のように丸裸。
自然に対して、あるがままが、なぜそんなに嫌いなのですか?
禅の言葉「明珠在掌」は、昔ある人が、世界一ひかる珠を探して、何十年も諸国を周り、結局珠は見つけられず、最後は自分の掌の中にあった。
日本は「光る珠」だよとアレックスカーに教えられた。
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今まで日本の景観をぶち壊しにしてきた無法者に知って欲しい。それは今も続いているのだ・・・そんな著者の憤りを感じさせ、共感もする。
著者アレックス・カー氏は亀岡、バンコク、徳島県祖谷などを拠点とする多地域居住者だ。
日本は製造業の時代がピークを過ぎ、今後は観光業育成が課題だが、日本の景観に対する認識に対し、疑問を持つ著者。
奇抜なデザインで歴史や自然を圧倒する土木構造物・建築物を対象とした「アレックス景観賞」。皮肉たっぷりの解説を楽しめる。
日本は戦後の70年で見事なまでに国土を汚してしまいました。かつてあった「何もない魅力」が失われている。ブルーシートがない、ビニールハウスがない、看板や電 -
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著者はイェール大学で日本を研究していた。外国人っぽい皮肉に富んだ語り口が面白い。
自身も以前から公共工事一辺倒の景気対策には疑問であった。地方の土建業は、ほぼ公共工事だけで経営されている所も多く、そんな会社は税金の投入がなければすぐ破綻だ。そもそもこれで景気は回復していない。日本の国家予算における土木関連の割合は先進国の中では圧倒的に高く(コンクリートの使用量は米の33倍!)、そのため膨大な財政赤字を積み上げる羽目になった。因みに教育費のそれはOECD加盟国中5年連続最下位だ。こんなことで国の将来が明るい筈が無い。しかもそれだけ金を使って自然を破壊し、更にはセンスゼロの景観をこれでもかと増やし -
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Keywords:景観、看板、観光、リノベーション
内容は次のようであった。
①日本の景観配慮に対する遅れの指摘、看板が景観をみだす→ニーズに合わせるべき②土木は環境との調和を無視してきた、大きく派手に作る事がメイン、今後は撤去が必要③建築でも周辺環境をぶち壊し、びっくりさせることがいいとされている、地味なところには目向けられず、奇抜なものは建てられる④日本全体が無機質な工業モード⑤スローガンに惑わされる逆説的道徳論⑥歴史の否定、古くさいものへの嫌悪→とにかく新しく奇抜に⑦地元へのプライドのなさ⑧ゾーニングがなく、小手先の規制のみ⑨どの街もホテルからの景色は同じ⑩観光客の適切な管理(11)景観 -
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日本は美しい、と外国からの観光客から言われることがあるけれど、本当にそうかな?
例えば新幹線からの車窓。富士山が見えれば綺麗だとは思うけど、目障りで派手な看板や壊れた物置き小屋、線路際に打ち捨てられた粗大ゴミなどがどうしても目に入ってくる。外国の方々も目にするであろうそれらの汚いものに対して、なぜ日本人は無頓着なんだろうといつも感じていた。もっと人の目、観光客の目を気にして欲しい。
観光地で写真を撮ろうとしても、火気厳禁とか無粋な立て看板やノボリ(これは本当に邪魔)が目立ってしまい、美しくない。
景観に対する日本人の自覚の無さ、意識の低さ。
たしかに、外国に行くと車窓からの眺めは本当に美しいし -
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日本の景観に詳しく、古民家を改修した宿泊施設経営や地域再生コンサルタントをしているアメリカ人による、日本の観光業に対しての問題点と提言をまとめたもの。著者は、アメリカ人でありながら日本に40年以上も住み、欧米人の視点で日本を評価できる人物である。論評は鋭く、勉強になった。渡辺京二先生の『逝きし世の面影』を読んでいる時と同じような気分になった。
「私は80年代から観光産業の可能性を予見し、京都の町家や、地方の古民家を一棟貸しの宿泊施設に再生する事業を実践してきました。08年には国土交通省から「VISIT JAPAN大使」の任命を受け、その趣旨の通り、外国人旅行者の受け入れ態勢に関する仕組みの構 -
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ネタバレ<目次>
第1章 日吉大社・慈眼堂・石山寺(滋賀県)
第2章 羽後町田代・阿仁根子(秋田県)
第3章 能登半島(石川県)
第4章 八頭町・智頭町(島根県)
第5章 奄美大島(鹿児島県)
第6章 萩(山口県)
第7章 三井寺(滋賀県)
第8章 南会津(福島県)
第9章 青ヶ島(東京都)
第10章 三浦半島(神奈川県)
<内容>
東洋文化研究者で、徳島県の祖谷や長崎県小値賀島に滞在型の古民家宿を経営しているイギリス人。彼の「隠れ里」探しの旅の記録。著者の人生の話も出てくる。われわれ日本人が気づいていない、日本のよさを教えてくれる。圃場整備が進んでいない棚田。ブルーシートで屋根 -
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隣の町に立派な多目的ホールができたら、オラの町にも造ってほしい。民間ベースでは、採算がとれない話でも、一度動き出した箱物事業は、誰にも止められない。まるで、太平洋戦争に突き進み暴走する軍部のように。
この本が書かれたのは、約20年ほど前だが、ここで警鐘が鳴らされた事は、さらに悪化している。東海村の臨界事故よりも、さらに進んだメルトダウンが発生し、一部の先端技術では優れていても、それは危機管理などの技術を後回しにしてきたことが露呈した。赤字財政は止まることなく、国土強靭化計画が大号令のもと進んでいる。今はうまく回っているネズミ講のように、考えたら、そのスキームが破綻してるのは、誰にでもわかるの -
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基幹産業が重厚長大型から観光のようなサービス型に転換するという大きなパラダイムシフトの中で、国、地方がどう対応していくべきかの指針になるような一冊。個人的に、国内外問わず地方への観光客が増えれば、例え爆買い中国人とかであっても、その地方の経済が潤うと思ってたけど全くそうではないことを知って、今までの考え方がいかに短絡的やったんや、、となった。「2020年に4000万人の訪日外国人旅行者」は難しくなったけど、アフターコロナで観光業が盛んになった時には必ず役に立つようなことが書かれてました。
・人口減少と空き家問題という大問題を抱える中で、成長余地が十分に残された観光産業の育成は日本にとって数