楊海英のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ著者は中国の内モンゴル自治区出身で静岡大学の文化人類学者。
本書執筆の意図の中心には、直近の民族問題である習近平中国の2020年の内モンゴル自治区に対するモンゴル語教育禁止命令に対する元宗主国たる日本への中国の内モンゴル人同化政策阻止運動への期待にある。しかし、その根底となる知識、広く周辺の知識として、中央部ユーラシアを基礎に据えた民族地政学の提唱と言語問題を含む国際的民族問題、共産党中国、漢人の金丹道やスターリンのソ連のモンゴル人、ウイグル人、カザフ人、チベット人に対する多くのジェノサイドなどが述べられ、最後に国際的民族問題に対して日本がとるべき行動が述べられる。
実は中華人民共和国と内 -
Posted by ブクログ
南モンゴル出身の楊海英教授、ハルビン出身で芥川賞作家の楊逸、櫻井よしこの中国の覇権主義に関する鼎談。
モンゴル、チベット、ウィグルでの残虐なジェノサイド、オーストラリアでのサイレントインヴェジョン(中国人富豪の政治家、大学への多額な資金提供による親中国派拡大策)
中国政府は大学関係者を、自由で解放的な学問研究と戦う戦争従軍者と認識しているとの指摘もある。
日本でも2500人の中国人留学生が在籍する早大では中国政府にそぐわない発言をした教授を反動教授と弾劾した例も語られる。読み進む内に中国の地球規模での侵略はコロナ同様に既に各国の肺に浸潤しているのではと不安に襲われる。 -
Posted by ブクログ
墓標なき草原、依頼様会議英志の中国論は各刮目すべきものがあるある。本書も中国の歴史を毛沢東から習近平まで独裁こそが中国の歴史である、上から下まで庶民に至るまで長い歴史の中で実に空いている中国人の考え方がよく理解できる。モンゴル人の立場から漢民族の中華帝国に対する考え方、
中国の独裁体制は信用スコアビジネスと非常に親和性がある、共産党独裁をますます強化させる側面を持っている。
大神の父、毛沢東思想によって教育された子供たち、
中国の最大の弱点は、言論の自由、学術の自由が保障されていないこと。中国の研究者は自分たちは北京原人の子孫であり、人類の起源は中国だと主張し続けている。中国ルーツ以外の -
Posted by ブクログ
アメリカとの太平洋戦争が始まる前、日本は大陸を目指し中国と激しく対立していた。明治維新以降、軍備を拡大させてきた日本は柳条湖事件をきっかけに満州事変へと発展させ、最終的に中国東北部を軍事支配した。これにより清朝の廃帝愛新覚羅溥儀を執政に迎え、1934年(昭和9年/康徳元年)には溥儀を皇帝とした満洲国を日本の傀儡国家として成立させている。大陸に出ると言う事は共産圏のソ連とも陸続きの国境を接する事になる。更には南には共産党と国民党が手を結んだ中国とに囲まれ、極度の緊張状態が続く。その様な時代背景の中で、それら3つの勢力に囲まれたモンゴルは、かつてチンギスハンが世界最大の帝国を築いた過去からは考えら
-
Posted by ブクログ
中国現代史の概説書。分量も少なく、内容も簡潔で読みやすい。
尖閣諸島、台湾・香港、新疆ウイグル自治区など、現代中国が引き起こす問題の根源を中国共産党の独裁に見出し、現代史を辿る試みは面白かった。全く中国史の知識を持ち合わせずに読み進めたが、大躍進政策や文化大革命等の解説が分かりやすく、見識を広める良い機会になった。
中華民国の祖である孫文が強い漢民族中心主義であったことを考えると、現在の中国共産党の苛烈な少数民族への弾圧はその系譜に連なるものであると理解出来た。
一元的でゆとりのない中国政治に抗うために、リベラルデモクラシーの復権が欠かせないと痛感した。 -
Posted by ブクログ
モンゴル帝国の版図は空前絶後の広がりを見せた。その原動力は騎馬軍団の強さだけでなく遊牧民特有の柔軟な世界観にあった。
遊牧民独特の世界観とは定住民とは異なる価値観や社会構造を持つ移動を前提とした柔軟な思考や生き方を指します。具体的には、
流動的な領土観
実力主義と柔軟な統治
女性の高い地位
多神教的な宗教観と寛容さ
交易ネットワークと情報の重視
こうした遊牧民の世界観は、モンゴル帝国の急速な拡大と柔軟な統治の背景にあり、定住文明とは異なるダイナミズムを生み出していた。
カギを握った一つとして実は女たちである。遊牧社会では男たちが戦場に赴く間、女性が家族や経済を支え政治的な調整役を担っ -
購入済み
第二弾を希望します。
この本を読めば天幕のジャードゥーガルをより楽しめます。天幕のジャードゥーガルファンにもおすすめできるノンフィクションです。第十章高麗の虹は、廃帝綺譚(宇月原晴明著)を読めばさらに面白く感じます。廃帝綺譚は4つの独立した短編が収録されている小説ですが、元の第十一代皇帝である順帝を主役にした北帰茫茫という短編もあるからです。この書籍の売り上げが好調ならばぜひとも第二弾を出版して欲しいです。
その時は、モンゴル帝国草原のダイナミズムと女たちでは取り上げなかったチンギス・ハーンの5人目の皇后岐国公主(金の第七代皇帝衛紹王の娘)・ひいては彼女の実家の金朝の皇帝たち、蒙金戦争で活躍したモンゴル・金朝双方 -
Posted by ブクログ
第一章冒頭の櫻井氏の「中国は世界で最も罪深い"悪逆国家"のひとつ。二十一世紀のいま、どこから見ても許されざる異民族の弾圧や虐殺を続けている。チベット人にもモンゴル人にもおぞましい弾圧を加えてきた。いま、とりわけ国際社会の避難が集中しているのがウィグル人への弾圧だ」との発言で始まる本書は「悪逆国家」たる中国の姿とそれに立ち向かうべき心構えを伝えている。
本書に記された他民族に対する民族浄化、虐待の実態はまさにおぞましい。
櫻井氏ら著者たちは、それが共産党支配の故ではなく、漢民族の特性によるものだと説く。
漢民族は優越感が強く、排他的、差別的で支配欲も強い。執着のあまり、事 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<目次>
はじめに
第1章ウイグル民族ジェノサイドの惨状
第2章ウイグル強制収容所の実態と日本への期待
第3章古い中国の新しい疆域政策
ウイグルへの圧力が強くなったのは2016-2017からだと
いう。2914-2018まで上海に住んでいたが、そのころは
まったくその気配はなかった。新疆人には、泥棒が多い
という噂はあったものの、新疆料理のレストランは
満員で、ステージで歌ったり踊ったりのイベントも
行っていた。
これまで、中国の王朝の辺境の統治は、民族はそのまま
で、ゆるやかに統制をしていたものと理解している。
なぜ、急にここまでに事を進めなければならないのか。
共産党は何を恐れて -
Posted by ブクログ
最近のニュースでウイグル・チベットの人権問題の報道を見て、詳しく知りたいと思い読みました。
上記の二地域だけでなく、内モンゴル自治区のモンゴル人も大変な思いをしていることを知りました。
「大東亜戦争で中国に侵略して、満洲・内モンゴルを占領したことをひたすら中国に謝ることは中国から独立するために、日本軍と共闘した満洲・モンゴル人を侮辱することだ。」という趣旨の文がありました。
まさにそのとおりだと思います。たしかに、先の大戦で日本軍が中国人を傷つけたことは謝罪するべきだと思いますが、日本が、中国と戦ったことによって彼らを助けることになったことは誇ってもいいと思いますし、盲目的に自虐史観を抱くこと