楊海英のレビュー一覧
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北方謙三チンギス紀も残り3巻となり、より深く物語を理解するために、ここらでひとつモンゴル史についておさらいしておこうと思い立ったわけです
モンゴル史については、近年再研究が進み、新たな発見や学説などが登場していることはなんとなく聞いていたので、なるべく最近のものをと思い、本書を手に取りました
偶然にもなかなか良い選書だったみたい
というのは北方謙三『チンギス紀』のまさに対極に位置するような一冊だったからなんよね
『チンギス紀』…日本人(外の人)が書いた歴史を元にしたフィクションで男性を中心に描かれている
本書…モンゴル人(内の人)が書いた歴史を研究した新書(学術書に近い)で女性を中心 -
Posted by ブクログ
空前絶後の大版図はどう生まれた?カギを握っていたのは実は女たちだった…。
モンゴルといえば、昔読んだ井上靖の『蒼き狼』を思い出す。この小説ではテムジンが全蒙古を統一するまでの他民族との激しい闘争、掠奪したあくなき征服欲が描かれている。
しかしながら、そのイメージは、近年のモンゴル帝国に関する研究により、大きく変貌した。特に、遊牧民によりユーラシア大陸が統一され、情報の伝達と交易が飛躍的に拡大、それによってはじめてユーラシア最東端の中国人がヨーロッパ文明の存在を知り、西洋もまた東方文明と接触でき、ユーラシアは初めてひとつになり、相互に連動しあうかたちで前へと進む「世界史」が誕生したとみる考え方に -
Posted by ブクログ
中国への遠慮なのか、過去の自国の過ちからなのか、あまり日本のニュースでは取り上げられない中国による周辺民族弾圧を伝える内容である。ネット動画や信頼性の解らないようなニュースサイトから流れてくる程度の情報では、特に新疆ウイグル自治区に対する弾圧が世界中から避難を浴びていると言うのはよく知られている。記憶に新しいところでは、平和の祭典オリンピック前後では民族弾圧に対する世界各国からの避難が、開会式参加辞退などに繋がるため国内ニュースでも取り上げられていた。
中国の周辺民族問題としては、1944年にイリ、タルバガタイ、アルタイていう北部新疆の三地区で独立運動(三区革命)で、ウイグル人、カザフ人、モン -
Posted by ブクログ
2020年夏、中国政府は内モンゴル自治区の教育からモンゴル語を排除し、中国語を母語として押しつけることを決定した。香港やウイグルでの弾圧が注目を集めるなか、内モンゴルでの民族政策の実態とは? 主に元朝以降のモンゴルと中央アジアの歴史、内モンゴルで起こった民族紛争などから読み解く。
内モンゴル出身の著者は、一貫して中国(漢人)がモンゴル人を抑圧してきたという立場のため冷静に読む必要がある。(植民地だったモンゴルの宗主国として、日本は積極的にこの問題に取り組むべきだとする主張には疑問を覚える。)
しかし、なじみの薄いモンゴルや中央アジアの歴史や内モンゴルでの民族政策を知るにことができるのは有意