エドガー・H・シャインのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
支援者の役割には3種類あり、支援者は、その時々の状況に応じて、それらの役割を選択しないといけない。
1) 専門家の役割; 必要に応じて専門的な情報やスキルを提供する
2) 医師の役割; 患者の状態を診断し、診断結果に応じた処方箋をつくる
3) プロセス・コンサルタント; プロセスに着目し、プロセスに働きかけることにより、クライアントが問題を解決していくことを支援する
専門家の役割がうまく機能するのは、クライアントの側が、どのような支援が必要なのかが分かっている場合。
医師の役割がうまくいくのは、クライアント、すなわち患者が診断結果に信頼を置いている場合。
そのような場合ではなく、例えば、クライアントが、何かがうまくいっていないと感じているが、それが何か分からないし、どのように問題をクリアにしていけば良いのかも分からないようなケースに、プロセス・コンサルタントが活躍する余地がある。
少し分かりにくいが、プロセス・コンサルタントというものについての私の理解は以下の通り。
■組織や職場で起きていることのうち、見えるのは氷山の一角であり、それを起こしているもの、起きていることの原因になっていることが水面下の見えない部分にある
■水面下にも多くのものがある。例えば、構成員一人一人の考え方や、構成員の間の関係性や、無意識のうちに従っている組織の規範や組織文化。これらを総称してプロセスと呼ぶ
■水面上に出ているものは、水面下にあるものの結果であり、水面上にあるものにいくら働きかけても問題の解決にはならない。問題は水面下に、すなわち、プロセスの中にあるので、プロセスに働きかけない限り問題の解決には至らない
■逆に言えば、水面下に働きかける人をプロセス・コンサルタントと呼ぶ
これでも分かりにくいけれども、今のところの理解はこういったところ -
Posted by ブクログ
ネタバレクライアントを支援するとはどういうことか気づかされた。
コンサルタント(自分) の手助けによって、クライアント(相手) が、 (1)問題の複雑さと厄介さを理解し、 (2)その場しのぎの対応や反射的な行動をやめて、 (3)本当の現実に対処すること が、本当の支援なのである。
支援者としての私自身の経験から言えば、重要なのはおそらく、どんな問題に悩まされているかをクライアントが隠さず話せること、それも遠慮なく安心して話せることだった。
新たなスキルのうち最も重要なのは、これまでとは違うタイプの「聴き方」である。このスキルの向上をテーマとする書籍やプログラムを検討してわかったのだが、新たなタイプのコンサルティングを行うには、一般に推奨されるのとは別の聴き方を身につける必要があり、さらに言えばその聴き方は対応の仕方を知るためにも欠かせなかった。また、二種類の共感力を伸ばす必要もあった。一つは、クライアントが話している現況や問題について、好奇心をもって傾聴する共感力である。もう一つは、クライアントが状況や問題を説明しているまさにそのときに、クライアントを本当に悩ませている問題が何かを見きわめようとして、好奇心をもって傾聴する共感力である。
概念に関する質問 基本的に「なぜ」と問う。この問いによって、クライアントは、コンサルタントに話した内容のさまざまな面について考察・検討し、原因について考えをめぐらせるようになる。 感情に関する質問 クライアントが話した出来事に関して、「それについてどのように感じたか」を基本に、質問をする。 行動に関する質問 クライアントの話にあったいくつかの分岐点について、「どんな行動をとったか」を基本に、質問をする。
謙虚なコンサルティングが最も役に立つのは、クライアントの「思考プロセス」を、次の一つ以上の方法によって再構築する場合である。(一)問題をもう一度、説明する。(二)クライアント自身の役割が何かを再考する。(三)コンサルタントがすべきことは何かを再考する。これらのプロセス領域でこそ、たとえ初めて会話をしているときであっても、驚くほどすぐに支援できる場合がある。再構築によって、自分が今何を知っているかということに、クライアントが気づくからである。コンサルタントは、クライアントが最初に考えた、あるいは提案したことを上回る、コンサルタントを活用するメリットを示して支援するのだ。
中心にあるのは常に、クライアントがどんなことを懸念しているのか、本当に欲しいものは何か、どんな問題に取り組む必要があるか、という問いに対する答えの見つけ方だ。
アダプティブ」と呼ぶことによって強調しているのは、それが「問題」に対する解決策ではなく、状況を改善したり、次のムーヴへつながるより診断的なデータを引き出したりすることを目的とした行動だということである。「ムーヴ」と呼ぶことによって伝えたいのは、それが壮大な計画でも大規模な介入でもなく、状況を改善するためのちょっとした取り組みだということである。
組織という生き物がいよいよ複雑さを増し、今起きているあらゆるものごとがスピードアップしている現実を考えると、これぞアダプティブ・ムーヴだと思うのは、即興劇である。計画と仕組み、法則、型があれば安心はできるが、結局のところは役に立たないかもしれない。むしろ、率直に話をして、たしかな人間関係を築き、力を合わせて即興で行動を生み出すほうが、本当の支援をすばやく行ううえで効果が高いのである。
すべての項目に共通しているのは、それらが、役に立ちたいという積極的な気持ちと、好奇心と、思いやりから生まれるものであることだ。そして、その根本には、尊重され大切にされたいと願うクライアントを前にしてなお、クライアントが直面している状況の複雑さと厄介さを前にしてなお、変わることのない謙虚な姿勢がある。これまでと、どんな点が全く違うのだろう。それは、 個人的な関係になる 必要があることと、プロセス全体の最大の原動力として 好奇心 を重視していることである。 -
Posted by ブクログ
支援とは信頼のやり取り
効果的な支援の原則
・支援する側もされる側も用意ができている
・支援関係が公平なものだとみなされている
- 支援を必要とする側が「一段低い位置」にいることを忘れさせることが必要
- まず「控えめな問いかけ」によってお互いの無知を取り除き、立場上の格差を縮める
- どうすれば最高の支援ができるか必ず尋ねるべき
- クライアントは、なにが役に立ち、なにが役に立たないかというフィードバックをする機会を探すべき
・支援者が以下三つから適切な支援の形を選択し、その役割を果たしている
- 具体的知識やサービスを与える専門家
- 診断し、処方箋を与える医師
- クライアント参加によって信頼関係を築き、情報をもらうプロセスコンサルタント
・言動すべてが人間関係の将来を決定付ける介入だと認識する
・効果的な支援は純粋な問いかけとともに始まる
・問題のオーナーはクライアントだと認識する
・すべての答えを得ることはできない -
Posted by ブクログ
最初は翻訳のせいもあり、極めて読みにくく感じたが、先に読んだ知人の'第3章を過ぎたところから面白くなるよ'という言葉を信じて何とか読み進めたところ、確かにその通りだった。
この本のポイントは、第3章「成功する支援関係」に書かれている簡単な原理、「支援を求める立場は、心理的に一段低い位置(ワンダウン)に置かれ、支援を求められる立場は、逆に高い位置(ワンアップ)に立つ」ということだと感じた。一見簡単なことのようだが、この心理的な'あや'の部分をあえて言葉にして意識することが、スムーズに支援を進めていく上で極めて重要だという。
特に、支援を求める側はワンダウンの状態に置かれやすく、いったんそうなってしまうと、心理的な抵抗が生じて素直に支援を受け入れられなくなる。支援する側はこれを避けるべく、「控えめな問いかけ」(第5章のタイトル)からスタートして、相手がワンダウンの位置に落ちないように注意を払うことが大切だ。第7章「チームワークの本質」には、この原理が最もはっきりと表れていると感じた。
著者は、成果を上げるチームの本質を、'各メンバーが自分の役割を適切に果たすことによって、ほかのメンバーを助けている'、'メンバーたちは互いに、またチーム全体として支援し合う。誰もがクライアントであり、誰もが支援者である'と述べている。これは即ち、チームのメンバー同士が互いに支援し合う=相互に依存し合う関係を築くことにより、ワンアップとワンダウンが相殺されて、心理的に壁のないバランスが取れた状態になるということではないだろうか。チームリーダーの仕事は、このような'相互依存するチームワークのための環境を作り出すこと'である(第8章)。
かなり皮相的な部分にこだわりすぎた気がしないでもないが、この「ワンアップとワンダウンの心理的なバランス」というポイントを意識しながら読むことにより、全体の流れを掴むことができたように思う。仕事や生活の上で、支援したりされたりする機会はいくらでもある。学んだ内容を意識して実行していこうと思う。 -
Posted by ブクログ
■「謙虚に問いかける」は、
・相手の警戒心を解くことができる手法であり、
・自分では答えが見いだせないことについて質問する技術であり、
・その人のことを理解したいという純粋な気持ちを持って関係を築いていくための流儀、
である
一方で、現代では「尋ねること」よりも「自分が話すこと」が優先されてしまっている。
しかし人間関係を築くのは謙虚な質問によってこそ。
その態度を持たなかったがゆえに、信頼関係が築かれず、大組織では大きな事故が発生している現実もある。
■質問をすることで信頼関係が築かれる
自分が話す:知らないから教えてあげる、という上からの示唆が含まれる。
質問をする:会話の主導権を相手に譲る
→信頼関係を築くには、パワーバランスが重要である。
■謙虚さには3種類ある
①基本的な謙虚さ:出自による地位
②任意の謙虚さ:自分よりも成功している人と接するときの謙虚さ。(その人と付き合うかどうかは選択できるので)
③今ここで必要な謙虚さ:チームで成果を出す必要があるとき、部下に対して謙虚に節することにより、成果を最大化する、など。成果をあげるために「実質は部下に頼っている」
★「問いかける」とは、相手に対して興味や好奇心を抱くという態度から導かれるもの
・「自分にとって」「相手にとって」ではなく「二人にとって」という視点で考える
・短期的にではなく、長期的にお互いのメリットを考える
★そしてお互いが心を開いて情報共有することにより、より深い関係を築くことができる
■4種類の問いかけ:相手の関係性でも変化する
①謙虚な問いかけ:自分が知らないことを認め、好奇心から出る質問。
②診断的な問いかけ:相手の思考プロセスに影響を与える
③対決的な問いかけ:自分の意見を織り交ぜる
④プロセス指向の問いかけ:謙虚、診断、対決的な問いかけ
■思考プロセスに影響を与える質問
①感情や反応に関わる質問
②理由や動機に関わる質問
③実際の行為に関わる質問
④体系的な質問
【アメリカでは人間関係構築よりも課題解決に重きを置くため、謙虚に問いかけることが文化的に難しい】
■謙虚な問いかけを阻害する"文化的"なものとは
・地位、肩書という状況
・組織、国、職種の文化
→「信頼関係を築くこと」が、社会で生きる上で様々な制約を受けている(外部要因)
■信頼関係を築きを阻害する要因:ジョハリの窓
・隠された自己を開示したくないという思い
・未知の自己にたどり着きにくいというプロセス、またフィードバックしにくいという状況
■適切な状況判断を阻害する要因:ORJI
①Observation否認と投影の自己防衛メカニズム。客観的な判断が歪められる
②Reaction自己の感情理解よりも突発的に判断する状況が多く存在する、自己感情の理解不足
③Judgement合理的判断の限界
④Intervention合理性を欠いた衝動的な行動 -
Posted by ブクログ
「謙虚なコンサルティング」を読んで、著者の考えをもっと知りたくなり、読んだ本。
が、組織開発の権威である著者であるからこその理想を描いた本。なんとかお客を集めて稼がなければならない一般的なコンサルタント業は、私はすべてを知っている、という顔をしなければならない。
-----
自分が私人として生きていることと、経営コンサルタントであることは、今まで切り離して考えていたが、この本によってそれが統合された。
私は、クライアントに親切にしなければいけない。クライアントを助けなければいけない。
それは、必ず相手の望む成果を出す、という文脈において。
そのために、どのような態度が必要か、教えてもらった。 -
Posted by ブクログ
コーチングとか、コンサルティングとか、サーバント・リーダーシップとか、ビジネスにおいて人を支援するという概念が注目されているが、この本は、そういうことも含みつつ、そもそも「人を助けること」ということを、例えば道を尋ねる人に道を教える、というところまで戻って考える本。
という意味では、とても根源的である。
一見、分かりやすそうでありつつ、あまりにも日常的なシチュエーションで議論が進むので、かえって当たり前のことをいっているのか、深淵なことを言っているのか、分からなくなる印象。
「支援」という行為がなぜうまく行かないかということを徹底的に考えていて、大変勉強になる反面、そんなにいろいろ考えていたらメンドーでしょうがなくなるでしょ、という気もした。
自立を基本とするアメリカ人だから、ここまで支援ということが複雑になるのか、人間の生物/社会的な性質がそうさせるのか。著者は、後者というニュアンスだけど、気配りが文化となっている日本だと、逆にここまで意識的に気配りしないだろう、と思ったりする。
読んでていろいろ複雑な思いがよぎる本であったが、結論部分の7つの原則と18のコツはときどき読んで、支援に関する謙虚な気持ちを忘れないようにしたいと思う。 -
Posted by ブクログ
「人を助けるとはどういうことか?」につづく、組織行動論の大家シャイン先生の「人助け」シリーズの2冊目。
「人を助ける・・・」を読んだときには、なるほどと思いつつも、なんて、人間って、面倒くさいんだろう。そんなに相手に気を使わずに、率直に話せばいいじゃん的に思った。
今回の「問いかける技術」(humble inquiry: the gentle art of asking instead of telling)は、さらに面倒くさい感が高まった感じです。
たしかに、人間って、社会的な関係性のなかにあって、言いにくいこと、聞きにくいことがいろいろあったり、立場や言葉が作り出す微妙な上下関係みたいなのがあることはあるんだろうけど、ここまで、謙虚にならないと人間って、コミュニケーションできないんだろうか?これって、主張が強くて、相手の話しを聞いていると「負け」になってしまうアメリカなどの文化のなかでの話しじゃないの?などなどの思いがたくさんよぎった。
でも、日本で、こういう謙虚な問いかけというのがよくなされているかというと、そういうわけでない。「いやいや、私はそれほどのものではありません」と謙遜、卑下、自己否定(?)と「謙虚」することは多いとおもうけど、「私は知らないんです。もっと教えてください」と謙虚に質問することはそんなに多くはないかも。
なるほどと思いつつも、なんとなく、微妙にフィットしない本でした。