組織が環境変化に適応し、成果を上げ続けるために必要なリーダーシップのスタイルとして、支配や強制、監督管理ではなく、互いに助け合い、信頼し合う関係を作る「謙虚さ」の重要性を解説した一冊。
著者はリーダーシップを、新たな、よりよいことをしたいと思い、それをほかの人たちに一緒にしてもらうことと定義し、V
...続きを読むUCAの時代にマッチョなリーダーが情報を独占し、パワーで組織を支配し続けることは困難であり、それよりも組織のメンバーを、各自が担う役割ではなくひとりの人間として考え、より個人的で信頼し合う関係を作る必要があると主張する。これにより、「リーダー対フォロワー」の関係は、常に上司の指示を待ってそれをこなすことから、メンバー自ら課題を発見し、改善に向けて行動する「リーダー対リーダー」の関係となり、自律型組織として、変化に対してより柔軟に対応できるようになるという。
そのためにリーダーは、常に素直に話し、過ちを認めるとともに、対人関係やグループダイナミクスに集中し、グループ・センスメーキングやファシリテーションといったスキルを磨く必要があることを、著者は多くの実例をもとに解説する。「謙虚」であることの意味合いは欧米と日本で若干異なるのかもしれないが、古いタイプのリーダーシップに取り憑かれたままの上司と、そのようなリーダーシップが全く通じない新世代の部下に挟まれた中間管理職にとっては、目から鱗が落ちる読書体験になるかもしれない。