李龍徳のレビュー一覧
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待望の李龍徳さんの新刊!
大学時代の陶芸サークルの後輩が自殺したという連絡を受けた光介と巴香の夫婦。純吾と珠希のカップル。
4人は自殺した後輩の妹・涼子から手紙をもらい、彼女たちの別荘へ呼ばれ軽井沢くんだりまで出かけてゆく。
記憶もあやふやなほど大して仲良くなかった後輩のはずだが、なぜ自分たちが呼ばれたのか?
涼子が言うには、姉の日記に4人のことが生き生きととても楽しそうに綴られていたというのだ。それが本当なのかこの目で確かめたかったと。
光介がつくったご馳走を並べた夕べの宴、そこで繰り広げられる腹の探り合いのような会話シーンが軽妙で不穏ですごく良かった。
一触触発のような緊迫感と、どこか間の -
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『何も感じないのが心の強さだとすれば、かつての僕のほうがずっと強い人間だったと言える。』
「報われない人間は永遠に報われないのよ。それだけのこと」
「私はこの人生を、あんまりにも無駄遣いしてきた。それでそれはこれからも。でも、私のせいじゃない、私のこの天分のせい、運命のせい、でも、それにしてもひどい。時間の浪費、人生の浪費、きっと私はこの罪名で地獄に落ちる」
「それこそ天分。ギフト。で、不動のもの。努力次第で上がったり、落ち度があって下がったりするものじゃない。絶対に。ー あんな、いかにも現代を象徴する困難に、べったり巻き込まれてる時代の寵児たちが、どうして私より祝福されてないはずある? -
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卑屈で惨めな諸見映子と、プライドが高く傲慢で根暗な近藤君。
徹底的に報われない側の人間である二人の、疑似恋愛から始まる永遠に報われない物語。
とにかく滑稽で悲愴感あふれる一冊です。だがそこが良い!
ネガティヴ発言垂れ流し、まず何もかも否定の言葉から入ってしまう映子。
世界をくだらないと断罪して見下し、現実から目を逸らし続ける近藤君。
カースト最下層カップルが繰り広げる低次元の言い合いや諍いが秀逸だった。
とにかく悲惨で暗すぎる上に、私も報われない人間だから他人事じゃないのに、どこかおかしくて愉快な気持ちで読み切ってしまいました。
ラストの映子と近藤君のベッドの中でのシーンは切なくて愛おしくて、 -
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圧倒的な高い評価を得て文藝賞を受賞した心中小説「死にたくなったら電話して」を読んで、打ちのめされました。
と同時に、「デビュー作でこんな傑作を書き上げて大丈夫なのか?」と余計な心配もしました。
それはどうやら杞憂だったようです。
本作は、自尊心の強い男「僕」と、自己卑下の強い女「映子」の恋愛物語(何という組み合わせ!)。
もちろん、甘ったるい恋愛なんかでは断じてありません。
いびつで歪み、醜悪ですらあります。
しかし、筆力があるからでしょう、これもまた恋愛のひとつの形なのだと、読者に納得させる力強さを持っています。
心のひだをなぞるだけでなく、時に捲り返したり、あろうことか引きちぎったりしてみ -
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ネタバレ大阪の亜笠不文律さんにて購入。
これまで読んだどの本よりも読むのがしんどく、ページをくる手が重くなかなか進まなかった。こんなところまでいってほしくない、行くはずがないと信じたいと思う気持ちと裏腹に、本文中に出てくるヘイトの言説には、ネットで見かけて、なるだけ目に入らないよう避けている類のものもあり、現実との直接的なリンクにさらに気が減いる。
前半は何か言葉遣いがサイズの合わない洋服のように収まりが悪い感じが拭えず、それが引っかかってなかなか入り込めなかったけれど、後半はそれがなくなり、重い気持ちはありつつ、だんだんと文章の勢いに乗りながら読み進めた。
最後の展開で、太一が妻葵に対して感じ -
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これは、映画でいうところのアカデミー賞とかそう言うのを受賞しそうな作品。
何とも言葉では言い表し辛いところがあるけれど、この世界観に入り込めるものだった。
多分きっと嫌悪の様なものを感じる人もいるかもしれなけれど、何だか少し分かってしまう自分もいる。
死というものを改めて感じさせられる。最後に初美が語る死ぬという事の話は、ある意味でものすごく救われるかもしれない。
きっとさこんな風に、拗らせるという言葉で表せていいものじゃ無いけれど、そんな感情とか思想とかを言ってしまえる様なのって、現実世界になかなかなくて、だからこそこうした本の中で描かれていてありがたいなとも思う。
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過去におかした強姦を婚約者や家族に告白し、ブログ等で社会に公表し、被害者を探し出し謝罪しようと考える私。
難しいテーマで、何が正しいのかわからない。
しかし、過去の罪を時効が成立するような時期になって告白するなんてズルい。
世間的には非難されても実刑は受けないのだから。
また、こんなことして被害者の女性は報われるのだろうか?
余計に苦しむだけだと思う。
忘れることは無いにしても自分は少なくとも罪を受けない安全なところから告白されても何の償いにもならない。
独りよがりな考え方でしかない。
自分が落ちぶれることで自己満足しているだけ。
被害者にも周りの人にも何も良いことはない。辛く遣り場のない感情