李龍徳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本で極右政権が発足し、在日朝鮮人へのヘイトが悪化してヘイトクライムが横行するようになった、ある種のディストピアを描いた作品です。
こちら数年前に発行された本なのですが、今現実に外国人への憎悪を煽る人や、それに乗っかるように実社会で差別的な言動をする人が増えているので、この話を読んでいると「ああ、こういう人(集団)実際にいるよね…」「こういう風潮あるな…」と思い当たる節が多くあります。作中の所謂ネトウヨ的な外国人憎悪を募らせている人間たちの言動が、現実味あってなかなかキツい。「日本はこんなに差別蔓延してないよ」と笑い飛ばすことができず、苦い気持ちになります…。
フィクション作品でありながらも、 -
Posted by ブクログ
“実態のない女”と”自分を見失った男”。
きっと、徳山は初美に惹かれていったのではない、嵌まって、沼っていったのだ。初美の発する鋭利な言葉たち一つ一つが彼女の夢であり、拠り所。徳山からすればそれは薬。
結局みんな洗脳してされて。してる側もそれにかかって。そんな訳ないと思いたいがそうも思えず、。
人生に対するヘイト、社会に対するヘイト。それらを抹消するには社会ごと変えるしかない。が、そんなことは不可能。だからこその自死。打開策としての自死。漠然と自殺はダメだと叫ぶよりよっぽど説得力がある。
感想がこんなに言語化出来ない作品は久しぶりだが、この後味の悪さがこの作品の面白さだろう。
再読だが、しばら -
Posted by ブクログ
ネタバレ悪意に対して悪意で返すのは、徳山は後悔していたけど少し爽快だった。逆に自分に向けられた善意に対して悪意で返しているところは読んでて心が痛かった。例えその善意が気持ちよくなるためだけの偽善だと思えたとしても、本人にはその意識はなくて本当に純粋な善意で心配してくれてる(と思う多分)のに、それに対する返事は本当に読むのが辛かった。救いがないんじゃなくて救われようとしてない。初美に会う前の徳山なら建前でも「ありがとう」と返していたと思う。完全に染まってしまっている。自分に初美を投影してシニカルなことしか言わなくなった頃から、入学金のこととか関係なく破滅しか待っていなかったと思う。初美の価値観は魅力的な
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Posted by ブクログ
ネタバレ2020年に単行本として出版された小説。今、数週間前に書かれたもの?と錯覚するような冒頭。
愚劣極まりない結果で終わった2024年東京都知事選、クルド人ターゲットの差別攻撃にネトウヨのみならず野党も関与して酷い有様の日本、関東、東京。都知事は変わらず、関東大震災における朝鮮人虐殺にかかる式典へのメッセージをあえて送らない知事が再選され多くの抗議や疑問の声があがるもより多くの無関心や同意にかき消される、すでにディストピアなこの社会。
ユートピアを求めるほどの天真爛漫さはない、もちろんそんなつもりはないが、あまりにささやかすぎる韓国への帰国事業。日本が在日コリアンを追い払うために積極的に支援した -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価がひどく難しかったが、他にはない感覚がある、という点で、この本の評価を5とした。
突きつけられるのは、誰かの不幸の上に成り立つ幸せがあるという事実。人より優位になることで感じる喜び。
優位に立たなければ、支配される側にまわってしまう。支配する側か、される側か、、、。
作中、欲望がすべて枯れるのが理想、と心中願望のある女がいう。
仏教の考え方に近いのかも知れない。
煩悩を捨てることによって悟りを開くことができるという考え。
けれども、欲望が無くなったら、無、しか残らない。無、しか残らないから、死、へと向かう。
仏教では、無の先に、無我の境地、があるのだろうけど、それこそ、凡人にはた -
Posted by ブクログ
ー 他の国がもっとひどいからって、だからって日本の現状を見逃していいわけない。日本の現状だって、飼い馴らされて気づいてないかもしれないけど、いや、かなりのディストピアだから。何も明確なジェノサイドや強制収容所の再来だけがディストピアじゃない。ディストピアは今だ。要するに、やっぱり人類は歴史から学んだんだな。この、じわじわとした、言い訳と詭弁ばっかりの、誰も責任を取らなくていいような、 毒ガスではなくただ憎悪を募らせて空気を悪くし、マイノリティを窒息させるこの締め出し方こそ、奴らの学んだ新しいクレンジング方法だ。俺たちは騙されない。そこの知恵比べに負けはしないさ。 ー
これはすごい作品。エネル