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Posted by ブクログ
ー 他の国がもっとひどいからって、だからって日本の現状を見逃していいわけない。日本の現状だって、飼い馴らされて気づいてないかもしれないけど、いや、かなりのディストピアだから。何も明確なジェノサイドや強制収容所の再来だけがディストピアじゃない。ディストピアは今だ。要するに、やっぱり人類は歴史から学んだんだな。この、じわじわとした、言い訳と詭弁ばっかりの、誰も責任を取らなくていいような、 毒ガスではなくただ憎悪を募らせて空気を悪くし、マイノリティを窒息させるこの締め出し方こそ、奴らの学んだ新しいクレンジング方法だ。俺たちは騙されない。そこの知恵比べに負けはしないさ。 ー
これはすごい作品。エネルギーに引き込まれる。
反韓、反日、反共、といったイデオロギーはさておき、そういったイデオロギーの中で生きる人々の生々しい“生きる声”を描いた作品。
ヘイトクライムに参加する人も、アンチヘイトクライムに参加する人も、無関心な人も、そもそもそんなものの存在すら知らない人も、みんながこれを読めば世界が少しは優しくなれるかな。
マルローの『人間の条件』をもう一度読みたくなった。
Posted by ブクログ
日本で極右政権が発足し、在日朝鮮人へのヘイトが悪化してヘイトクライムが横行するようになった、ある種のディストピアを描いた作品です。
こちら数年前に発行された本なのですが、今現実に外国人への憎悪を煽る人や、それに乗っかるように実社会で差別的な言動をする人が増えているので、この話を読んでいると「ああ、こういう人(集団)実際にいるよね…」「こういう風潮あるな…」と思い当たる節が多くあります。作中の所謂ネトウヨ的な外国人憎悪を募らせている人間たちの言動が、現実味あってなかなかキツい。「日本はこんなに差別蔓延してないよ」と笑い飛ばすことができず、苦い気持ちになります…。
フィクション作品でありながらも、リアルな社会問題の的を射てる部分も随所にあって、かなり耳が痛い話でした。
排外主義な人やそれを煽って野放しにしている国家を、物語を通して俯瞰して見せられるので、その状態が今の日本に似通っているぶん現実の差別問題にも自然と意識が向かう。物語の展開を楽しむような娯楽小説というよりも、「他民族を差別をする風潮や大衆を変えるためにはどうしたら良いのか」ということを考えさせられる社会派な作品。
読む人を選ぶような本ですが、個人的にとてもオススメです。
Posted by ブクログ
2020年に単行本として出版された小説。今、数週間前に書かれたもの?と錯覚するような冒頭。
愚劣極まりない結果で終わった2024年東京都知事選、クルド人ターゲットの差別攻撃にネトウヨのみならず野党も関与して酷い有様の日本、関東、東京。都知事は変わらず、関東大震災における朝鮮人虐殺にかかる式典へのメッセージをあえて送らない知事が再選され多くの抗議や疑問の声があがるもより多くの無関心や同意にかき消される、すでにディストピアなこの社会。
ユートピアを求めるほどの天真爛漫さはない、もちろんそんなつもりはないが、あまりにささやかすぎる韓国への帰国事業。日本が在日コリアンを追い払うために積極的に支援した北朝鮮への帰国運動やいまだに私には謎の滑稽行動であるよど号ハイジャックなどいろいろなことを想起させる。
ディストピア。知識人やメディアが煽動して扇動して先導して作る、大衆の雰囲気。太一がシンくんに言う、世界とは大衆のこと、世界の意志とは大衆の意志、最終の敵はいつだって大衆、それには絶対に勝てない。勝とうと思ってはだめだ、と。
そして太一よりも強い意志をもつ葵が言う通り、わたしも弱い、ずるい、大衆の一部だ。
流れを変えるための事件を身を挺して実行してなお、行動してもしなくても、私は大衆の一部であることを抗えない。
ユニークなキャラクターたち、とくにアメリカ育ちのシン君が面白くい。それぞれの登場人物を主人公に各章が書かれているが、それぞれのスピンオフというかその人生を深掘る小説が書かれたら面白そうだ。
今、ディストピア的な悪い流れに乗る世界においてもはや敬愛するバージニアウルフを梨花がコスモポリタンかいと揶揄したが、コスモポリタンにすらなれない世界性、I have no country I want no country と心から欲してもなお、自分はどこかに帰属する、させられている大衆の紛れもない一員であるのだ。
上記を書いたのは都知事選のあとのようだが、今、2025年10月、自民党総裁選で高市総裁となるついに日本もここまで落ちたかというタイミングで河出書房さんが本書をプロモーションしていて、世間では騒然?!となっていてこの作家さんの先見の凄さ、先端の感性、、、、
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小説・文芸
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