スティーブン・ジョンソンのレビュー一覧
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子どもが死ななくなった。
天才 X ネットワーク、データ
1968年 カラハリ砂漠 狩猟採集民クン人の年齢 相対的に年上年下はわかる
平均寿命35年と想定 青年期を乗り越えれば60代までは難しくはない
17世紀 ロンドンも同様に35歳
18世紀 天然痘 オスマントルコに赴任した貴族から伝わった人痘接種で改善
免疫学の父 イギリス人 ジェンナー 牛痘接種で死亡率低下のデータ
19世紀 アメリカで接種法律化 公的機関WHOへ発展 1979年天然痘根絶
工業化の最初の数10年 寿命低下 地図データ分析で上下水道が原因
牛乳のパスツーリゼーション(低温殺菌) 水道水の塩素殺菌
100人に60人しか大人になれない → 現在99人
20世紀 インド、バングラデシュ 点滴よりも経口補水液 水と砂糖と塩
薬がまだ水銀とヒ素を基本とする18世紀からの偽りの治療薬
20世紀後半 薬、タバコの法規制 RCT試験
1928年 抗生物質ペニシリン フレミングの発見→判定→市場
機械による事故
鉄道から20世紀の自動車(戦争の3倍の死者)へ
人間は「パッケージング」によっては200Gの衝撃でも生き残る
フォード 安全装備は商売にならず
ボルボ 1959年 3点式シートベルト(サーブ航空機技術者)事故死者75%減
アメリカ 10万マイル当たりの死者 6人/1955年→2人弱/2010年~
1966年シートベルト義務化、制限速度低下で3人台に
倫理の問題 自動運転のクルマは誰の命を優先するか?
隣接可能領域
イノベーションが意外な別分野と隣接しているようには見えない
ワイン醸造用のネジプレスからグーテンベルクの印刷機 土は化学工場
飢餓
戦争による外国の食物買い締めによる東洋の餓死 当時の戦争の死者を上回る
19世紀 農業の改善 エネルギー革命(カロリー)
1980年からの40年 500万人、その前の40年間 5000万人
10万人当たりでは1915年ペルシャ大飢餓 82人から 近年0.5人へ
硝酸アンモニウム
硝酸塩 硝酸カリウム:火薬、硝酸アンモニウム:肥料 空気から窒素を分離
鶏肉 工業式畜産 鶏卵から食肉へ
鳥類の半分以上230億羽が生息、600憶羽を生まれて2,3カ月で食べる
鳥インフルエンザのリスク 人間よりも鶏の監視
イノベーション
民間企業から生まれていない、民間の生産と流通基盤で広く採用
数十億の命: 化学肥料、トイレ下水道、ワクチン
数億の命 : 抗生物質、二又針、輸血、塩素消毒、低温殺菌
数百万の命:
エイズカクテル療法、麻酔、血管形成術、抗マラリア薬、CPR、インシュリン、
人工透析、携行保水療法、ペースメーカー、放射線医学、冷蔵、シートベルト
農業社会、工業社会の黎明期で命を縮めた次の可能性は、工業社会の環境への影響
バングラデシュのボーラ島
天然痘を没滅から数年後、洪水により、現在は海面上昇で失われている -
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寿命の延び(=ゼロ歳の平均余命の延び)は乳幼児死亡率の劇的減少(20%→1-2%)で起こった。20世紀の前半まで子供の何割かが大人になる前に死んでいた。その子供たちがほぼ成人になり生殖して子供を作る、この部分で人口爆発が起こった。本書はこの事実をメインに据えながら、それをもたらした、あるいは補完したイノベーションを8つ取り上げる。
第1章 平均寿命の測定ーそもそも原初、寿命はなぜ短かったのか、それを記録し平均寿命という概念ができる。そこから平均寿命の差は乳幼児死亡率の差であることがわかる。
第2章 人痘接種とワクチンー乳幼児はなぜ死んだのか。これは端的に感染症が原因だ。特に天然痘が重大な死因だった時代は長く続いた。中国やインドで行われていた人痘接種をメアリー・モンタスキューがイギリスに持ち帰り、それがジェンナーの牛痘につながり1979年の根絶宣言に到る。
第3章 データと疫学ー工業化し人口密集した都会でのコレラなど不衛生に由来する感染症を細菌学以前の社会で激減させたのは発生のデータと疫学。ジョン・スノウの井戸汚染の発見から上下水道の分離につながる。
第4章 低温殺菌と塩素殺菌ー都市化にともなう牛乳の産業化と汚染牛乳死。天然牛乳信奉を打破する啓蒙と低温殺菌法の義務化。飲料水の塩素消毒。
第5章 薬の規制と治験ー法規制がなかった製薬産業のせいで薬剤死が頻発。1950年頃まで野放し。サリドマイド事件(アメリカはFDAの厳格さで救われる)後に、薬剤の安全性、さらには効能を証明する義務を制度化、その手段としてのランダム化比較試験(RCT)の定着。
第6章 抗生物質ーフレミングの発見からフローリーとチェーンによる実用化。第二次世界大戦の戦略物質となり米英の勝因の一つにも。
第7章 自動車と労働の安全ー自動車事故死が普通に起こっていた時代(ジェームス・ディーンや赤木圭一郎の時代)、鉄道労働者の事故死。ボルボが三点式シートベルトの特許を開放し自動車事故死は75%減少。安全社会へ。
第8章 飢饉の減少ー1940年頃の大飢餓時代。土壌の窒素循環への気づき、鳥糞や魚肥の時代を経て、1908年のフリッツ・ハーバーが発見した窒素固定法から化学肥料による農業の大増産。タンパク源は1920年代、偶然にはじまったブロイラー農業による鶏肉の時代。
著者によるまとめでは
数十億人の命を救ったイノベーション
化学肥料・トイレ/下水・種痘とワクチン
数億人の命を救ったイノベーション
抗生物質・二股針(種痘の普及)・輸血・塩素消毒・低温殺菌
数百万人の命を救ったイノベーション
エイズカクテル療法・麻酔・血管形成術・抗マラリア薬・CPR(心肺蘇生)・インシュリン・人工透析・経口補水療法・ペースメーカー・放射線医学・冷蔵・シートベルト
しかし、よかれと思い進んできた寿命の延長の果てにある、人口爆発とそれにともなう気候変動、地域紛争。そもそも、人間になるまでの遺伝的進化の結果が20%の乳幼児死亡率を織り込んだ狩猟採集生活であったとすれば、乳幼児死亡の激減と定住化農業・商業・工業がもたらした超長寿の現在の高齢者が求めるものが、狩猟生活時代では当たり前だったピンピンコロリだという矛盾。なかなか考えさせる。 -
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人類の歴史の中で舞い踊られてきた共進化のダンス。ハチドリ効果。
ロングズームのアプローチで見るイノベーションの歴史。
第1章 ガラス
・グーテンベルグの活版印刷が識字率を高めてメガネを普及させ、レンズの活用が広がる。グラスファイバーによるインターネットの普及。人類が熱を手に入れて二酸化ケイ素のガラスとしての活用が広がる。
◯多重発明:概念の構成要素がそろったおかげで、発明や科学的な発見がまとまって生じる。地理的に散らばっている数人の研究者が、たまたま独自に同じことを発見する。
ひとりの天才が他の誰も夢にも思わないアイデアを考えつくというのは、実は例外であって通例ではない。
第2章 冷たさ
・氷の貿易から人工冷却、冷凍食品、エアコン
・大統領選から人工妊娠まで、発明のインパクトは当初のものに縛られがちと自覚する。
第3章 音
・エドアール=レオン・スコット・ド・マルタンヴィルによる音を記録する装置フォノートグラフ。速記のアナロジーから着想したため記録をいち早く実現する一方、再生の概念なし。
・ベル研究所がアイデア工場となり得た独禁法上の申し合せ。電話サービスの独占維持は許されるが、ベル研究所によって生み出された特許発明はどれも、それを有益と考えるアメリカ企業に無償で使用許可を与えなくてはならず、新たに取得する特許はすべて安価な料金で使用を認めなくてはならない。
・暗号から生まれたデジタル信号。
・真空管アンプが政治、音楽集会規模を変える。ヒトラーの利用。
・ソナー技術による妊婦検査。これが生み出す、特に中国での女児中絶。
第4章 清潔
・塩素消毒の始まりと普及の理由。
第5章 時間
・振り子時計から、クォーツ、原子時計へ。「等しい時間」を有するものの探索。時間が正確に測れるだけでなく、測れることで変わる産業、生活。
第6章 光
・電球はイノベーション・ネットワークの成果 -
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革命は連鎖するからこそ革命
イノベーションも同じである。1つのきっかけではなく、その連鎖こそ産業革命。
■概要
ガラス、音、冷たさ、明るさなどの技術発展が様々な社会的な影響や、他のイノベーションに影響を与えていることを考察する。
■感想
『外国と戦争の世界史』であったナポレオン革命は、民主化を2歩後退させ(ウィーン体制)→3歩進めた(諸国民の春)とあった。あれよりも更に因果関係が捉えづらく、複雑であるものの、技術の発展もそうである。
・ガラスの章が1番圧巻。
ケイ素という不思議な物質がメガネを生み、活字で目が悪くなった人や元々活字が読めない近視の人に影響しただけでなく、今となってはファイバーとして世界をWebで繋ぐ技術となった。冷たさ、明るさなど、人類が培ってきた人工でこれらを作り出す試みが、熱帯地域への居住を可能にしたり、あらゆる「成長」を生んでいる。
・安宅氏の考察
新しい技術がどのような形に育つのか、どのような影響をもたらすのか、世に出した瞬間にわかるわけがないこともよく分かる。バックキャスティングで未来が生み出せるかのような議論が最近多く、少々辟易としていたが、ある種、溜飲が下がった
・筆者の考え
「"タイムトラベラー"に共通する要素があるとしたら、それは、彼らが表向きの専門分野の余白、あるいはまったく異なる領域の交点で、仕事をしていたことである」
→まさにイノベーション、門外漢 -
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6つの分野のイノベーションの歴史について書かれている。分野は「ガラス」「音」「冷たさ」「清潔」「時間」「光」で相互の関連や選んだ基準は無いようだがどの分野のトピックも興味深い。例えば、「冷たさ」ではアメリカ北部の天然氷をカリブ地方へ運ぶ話から製氷機の発明、冷蔵庫、冷凍食品、エアコンと次々にイノベーションの物語が語られる。一人の天才の閃きより、さまざまなアイデアを組み合わせることがこれらのイノベーションの誕生には必要であったことが分かる。分野の選び方、エピソードの収集と選択、構成どれをとっても素晴らしい。しかし読み終わった後、著者の目新しい主張やアイデアが感じられなかった。興味深いエピソード集としか読めなかったのは読解力の不足なのであろう。
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意思決定論の歴史とまとめ。
ここ数十年意思決定論が出ていて、カーネマンに代表される行動経済学から短期と長期の考えが異なり、歪みが生じるという理解が進んでいる。方法としてはディシジョンツリーや加重平均、スーパーコンピューターを使ったアンサンブル予報、死亡前死因分析、シナリオ分析、あるいはランダムテストがあるが、本当にその人にとっては一回こっきりしかないような結婚するかどうか?というものに資するツールかはよく考えないといけない。ここでは、温暖化、シンギュラリティ、エイリアンとの遭遇を超長期課題の例としているが、そのようなものに対しては、様々な角度、人、の深く長い分析討論が必要である。 -
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【由来】
・MediaMarkerのトップページで
【期待したもの】
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【要約】
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【ノート】
・ 歴史を動かしてきたのは大きくて「真面目な」歴史的プレーヤーとは限らない。例えば産業革命を促進したのは、きれいに染められた木綿の服を競って買い求めた英国の女性達だった、とか、今のコンピューター文明の基本的な構造をつくったのはオルゴールだったとか。
・もともとスティーブン・ジョンソンは好きで、本書も無類に面白かった。概して、この人は、一見、ささやかだったり、見過ごされてきた「小さきモノ」や軽視されてきたモノへの視点が持ち味だと思う。そして、「ささやかだけど大事」ということではなくて、「ささやかどころか、とんでもないインパクトがある!」とい展開するのがいつも読んでて楽しい。
・最後に「こういう(文明の進化を可能にした)気晴らし=遊びごころを持ち合わせてないAIなんて、騒ぐほどの脅威じゃないよね」とこちらを向いてウィンクして見せてるのも、結構好き。
・なお、原題は「How Play Made the Modern World」なのだけど、このタイトルには「Can (present) Play Make the Next World ?」という含意があるのかも
【目次】 -
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ホイジンガは言った。
「ずいぶん以前からのことであるが、私の心のなかでは、人間文化は遊びのなかにおいて、遊びとして発生し、展開してきたのだ、という確信がしだいに強まる一方であった」
人は、遊ぶものなのだ。
そこからイノベーションが、革命が生まれる。
第1章では、ティリアン・パープルなるものが登場する。
この紫色のために人は海に出た。
驚くべき欲望!
そして木綿。
下着のチクチクをなくすために、人は発明を繰り返した。
マダム達の欲望が、経済を動かしたのだ。
そんな、ばかな?
ジョン・ケイの飛び杼、アークライトの紡績機、ホイットニーの綿繰り機、そして蒸気機関!
世界史の授業でただただ暗記させられるなんてもったいない。
なぜ、発明したか、そこがわかれば記憶に残る。
『砂糖の世界史』『茶の世界史』のあの衝撃を私は今でも忘れていない。
第3章のコショウの話もワクワクする。
レシピの八割がコショウを主役にしていたローマ帝国の料理本......。
すっげ、むせそう。
高級食材を惜しげも無く使って、権力を思い知らせるというのはいまも昔も変わらずだ。
それだけ強大な力を持っていたということが「食」からはわかる。
さて、非常に面白い本だが、第三章の香辛料が薬になるはずがない、と言うような記述は東洋人としては承服しかねる。
もちろん、異論もあるし、研究途上で証拠不十分なこともあるだろうが、ニッキ味の胃薬に日々お世話になる身としては、引っかかる記述だった。
それ以外は本当に面白く勉強になる、「遊び」の本であった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレメモ:7つの法則
1. 隣接可能性
2. 液体ネットワーク
3. ゆっくりとした直感
4. セレンディプティ
5. 間違い
6. 外適応
7. プラットフォーム
+
序章:珊瑚礁
終章:第4区画(非市場/ネットワーク)
やはりイノベーションを起こすためには、一人で考えいるより、多くの人と接触を持って、その協議から発想を得ることのほうが確率的に高そうだ。
その点で、いなかより都会のほうが、何倍もイノベーション発生率(とでも言うか)が高くなっている、とのこと。
言っていることは目新しくないがもっともなことで、整理されているため、納得できた。
ただ、同じ主張の繰り返しが多いので、もっとコンパクトにして読む時間を節約させてもらいたかった。