伊勢崎賢治のレビュー一覧
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「はじめに」において、護憲派も改憲派も、戦争を他人事と捉えているという問題 として、自衛隊員は命を張って法に則り任務を遂行しているのだが、今の日本人社会は戦争は別世界の出来事であるという平和ボケだとしている。
そういう状況下、冷静ン終結後四半世紀。
以来、国際情勢の変化にもかかわらず日米の安全保障体制は維持されてきた。
しかし「今後も守って欲しければさらなる負担を」と訴えるトランプ政権の登場で、日本はアメリカとの安全保障体制の在り方そのものを問われている。
果たして日米地位協定に象徴される従属的なアメリカとの同盟関係を今後も重視する必要はあるのか?
尖閣問題、対テロ戦争、北朝鮮の動向など、激変 -
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■テロリズムという用語が使われるようになったのはフランス革命の「9月虐殺」がきっかけ。
■アメリカ国防総省の公式なテロリズムの定義では「テロ行為とは政治的,宗教的,若しくは特定のイデオロギーに基づいた目的のため,特定の政府や社会に対して恐怖を植え付けるべく,違法な暴力の使用,そして威嚇を行うこと」とある。
■当初は国家の「沙汰」の届かない,そして開発も届かない貧困に喘ぐ地方の貧農地帯がテロリズムの温床であり,教育も受けられない貧しい家庭の若者が過激思想に洗脳されやすいというのが一応の定説であった。この構造は現在でも依然としてあるが,その後都市部でのテロ事件が多発し,その動機の調査が進むと,この -
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中国・北朝鮮・韓国が戰爭を仕掛けてくる=仮想敵国
イラク戦争で自衛隊に死者は出ていない
自衛隊を出さないとアメリカは助けてくれない
などの情報は全部嘘
だまされるなと伊勢崎さんは言う
あなたの払った税金で自衛隊が人を殺すことを許容できますか
と伊勢崎さんは問う
憲法9条も日米同盟も絶対ではない
この本で国際紛争地に身を起き続ける紛争処理のプロ=紛争屋による
集団的自衛権の本質を見る
伊勢崎さんは東京外語大大学院教授
NGOでスラムの住民運動を組織した後
アフリカで開発援助に携わる
国連PKO幹部として東ティモール・シエラレオネ・
日本政府代表としてアフガニスタンの武装解除を指揮
著書多数
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p.62
しかし、「だから目に見える国際人道支援の足がかりとして、まず後方支援の派遣を」という日本での議論は非常に軽率である。そもそも、後方支援部隊とは、地元社会への福祉が目的で派遣されるものではない。あくまで、戦闘部隊への支援が原則である。道路や橋の補修作業を実施しても、それらはあくまで戦闘部隊の戦略上必要なもの、つまり戦車や歩兵輸送車両等の通行に必要なものが主体で、それ以外のサービスはすべて”片手間”と見なすべきものなのである。医療部隊においても、しかりである。
(中略)
戦闘部隊への支援が原則だから、六百人規模の工兵隊員とあまりある建設重機を、常時使用するしないにかかわらず、常駐させ -
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集団的自衛権の行使が意味することについて、勉強になりました。
湾岸戦争や、記憶に新しいイラク戦争、アフガン戦争、今日のイスラム国に渡って集団的自衛権が行使された例と共にその顛末を、馴染みのない読者にもわかりやすく書かれています。
また昨今の世界情勢に対して、本当に世界は日本が血を流す事を望んでいるのか、また法治国家としてのあるべき姿は何か、日本はどのように主体性を発揮していくべきなのか、今後のあるべき姿を、読者と共に描いていく、そんな構成になっています。
少なくとも、根拠があやふやな安倍政権より遥かに頷ける点が多い。
やっぱりねー、考えなしに選挙言っちゃ、マスコミと政治家の思う壺ですわ -
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伊勢崎氏に会ってみたい。中々興味深い話がたくさん盛り込まれていた。
特に世界最貧国シエラレオネでの出来事は、想像を絶している。人口500万人のこの国の内戦による犠牲者は50万人。しかし内戦終了後、世界は、犠牲者を手掛けた犯罪人に恩赦を与える。つまり戦争犯罪人と犠牲者遺族が混在しながら、新しい国がスタートする。これは”和解”ではなく、復讐の連鎖を恐れてのものでもない、こうしなければ”絶望”から逃れることができないことを全員が知っている。復讐する気も失せる”絶望”、すさまじいなと感じた。
こうした状態でも人は、明日の糧を思い、子供たちの明日を思い、たとえ慢性的な飢餓の状態であっても、、ギリギリ -
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[ 内容 ]
職業:「紛争屋」職務内容:多国籍の軍人・警官を部下に従え、軍閥の間に立ち、あらゆる手段を駆使して武器を取り上げる。
机上の空論はもういらない。
現場で考えた紛争屋の平和論。
[ 目次 ]
序章 常に思い通りにならない半生(歯車が狂いだしたのは大学卒業間近 アイデンティティはどこへ ほか)
第1章 暫定政府県知事になる―東チモール(紛争屋という危ない業界 国連PKOの世界へ ほか)
第2章 武装解除を指揮する―シエラレオネ(テロを封じ込める決定的解決法 シエラレオネ小史 ほか)
第3章 またまた武装解除を―アフガニスタン(無償援助と有償援助 闊歩する軍閥 ほか)
第4章 介入の正 -
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紛争の現場で国連機関の職員として、武装解除等の職務に従事した人が書いた本。
どこにいっても人が絡むと政治が始まるのだと思わされる、といったような、ある意味当たり前のことが書いてある。
日本ではこのような現場を知っている人間と言うのはそもそも少なく、そしてそのうちでもこうやって本にする人間と言うのはもっと少ないと思われる。それゆえ、多分に実体験的なので一概にこれが全てと言い切ることはできないにしても、このような内容の書物は貴重と言えるだろう。
後半では憲法の平和主義に関して著者なりの見解を示しているが、これも説得力があるもので、かなり賛同できた。特に、まともな議論すらされていない現状では九条改 -
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武装解除には主にDDRが行われる。武装解除・動員解除・社会復帰(Disarmament, Demobilization, Reintegration)東チモール・シエラレオネ・アフガニスタンでの筆者の経験と介入に関して述べられている。国連においても国の思惑が交錯し、戦後復興やPKOなどでも利害は衝突する。国が掲げるのはその国の救済以上に自国の誇示か、外交カードの強化など。所詮は国際協力といわれる分野も武装解除も、国にかかわる限り、その国の国益を反映するものであり、それ以上にはなりえない。逆に国益を反映させねばならないのだが、内政干渉と言えど外交カードとして多くを主張することもあながち間違いでは