吉田伸夫のレビュー一覧
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Ⅰ~Ⅱ部では、いわゆる教科書では省かれている、方程式の成り立ちや物理的解釈の変遷、当時の背景などが詳しく書かれ、なるほどの連続である。
Ⅲ~Ⅳ部では、最新物理理論のオンパレードで厳密性を損なわない範囲で数式を用いて説明される。単純に好奇心がそそられる。
全体的には学部3,4年生から大学院生向けの内容か。
この分野は手詰まりなのが、よく分かってしまい、一瞬、物理を学ぶモチベーションが下がったが、よくよく考えてみると、だからこそ、これだけの多様な考え方、アプローチが生まれている、その創造性を感じるために学ぼうと思えた。
・アインシュタインの宇宙項の導入
・共動座標、フリードマン方程式(福江の -
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わかりやすい宇宙の歴史10の100乗年。
ビッグバンで、エネルギーの場から素粒子が誕生し、結合し元素が生まれる。
宇宙が膨張していく中で温度が下がり38万年後くらいに3000度隣、電子と陽子が結合し、水素原子になる(宇宙の晴れ上がり)。その後最初の恒星が形成され、超新星により、恒星内部の核融合により形成された水素やヘリウムより重い原子が宇宙空間に拡散され、第二世代の恒星の材料となり、現在の太陽系のようなものと人類が138億年後に誕生することとなる。これ以降は、140億年後には太陽の膨張で地球がハビタブルゾーンから外れ、数百億年後には銀河系がアンドロメダ銀河と合体し、星形成率もだいぶ落ちてくる。 -
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宇宙の始まりに関する本は読んだことはあるがこれだけ未来に紙幅を割いた本は初めて。人や生命が滅びても宇宙は何となく続いているのだろうと思っていたが、遂には物質ひいては素粒子まで消滅するとは想像だにしていなかった。
主論ではないが常々疑問に思っていた水がないと生命が存在しないという説も、生命維持の観点からではなく複雑な構成をもつ原子が自然に生成される(化学進化する)可能性が低いということがわかりようやく得心がいった。
その他、地球が灼熱地獄と化すには10数億年しかないんじゃ弥勒菩薩も間に合わないじゃんとか、この宇宙の外は2次元世界にとっての3次元世界のようにわかりようがないなら、突然この宇宙が外的 -
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素粒子が「粒子」であるかのように語る「やさしい解説」では,素粒子論の本当の姿は分からない。素粒子の概要をつかむには,どうしても場の理論の考え方が必要だ。本書は,数式をほとんど使わずに,素粒子論を支配する場の考え方を丁寧に説いてくれる。素粒子は,実態を伴った粒子などではなく,場に現れるエネルギーの集中した波動であり,あたかもそれが粒子であるかのように振る舞っているのだ。そう,モニターに写るブロック崩しのボールのように。
摂動法や繰り込みについても誤解を正してくれる。摂動法については,探査機のスイングバイを例に分かりやすく解説。ファインマンダイヤグラムに現れる仮想粒子,仮想反粒子は飽くまでも計算の -
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場の量子論のイメージが持てるようになる優れ本
なぜわかりにくいのか → 現代物理の基礎となっている「場」を説明していないから。
・していないというより、今までできる人が居なかったというのが正しいと思う。
・著者は、これに成功した初めての人だと思う。(経路積分による量子化手法で)
・原子論的な世界観から、場という世界観に大きく転換があった・・・というのを初めて認識した。これが、私にとってはこの本での一番の驚きであった。頭の中が、「原子と場の二元論で足踏み」と、正にその状態であった。この歳になって、自然観が覆されるとは、すごい快感だった。
場とその量子論のイメージ(バネ)を基に、次のことをわか -
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高度な数学の知識を必要とするものの、今分かっていることがほぼすべて網羅されていて読み応えがあった。マルチバース、人間原理、宇宙定数、多世界解釈といった内容の検証だけでなく議論の必要性の有無が議論されているような分野についての言及もなされており量子宇宙論全体を俯瞰するのに最適な内容となっていた。図はほとんどなく(といっても図示することが困難な事象ばかりなので仕方がないが)、数式だけで議論が進んでいるためとっつきにくいところもあるが、数式を飛ばしてもおおよそ内容が分かるように書かれているため、宇宙論の読み物をいくらか読んでいればついていけるだろう。
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「量子は波である」
というわけで、ここで量子論ですよ
まぁ、ぶっちゃけいいとこ7割くらいしか理解できてないんだけど面白い
物理学面白い
そして、アインシュタインとかシュレディンガーとかハイゼンベルクとかヨルダンとかの天才たちの脳ってマジどうなってんのかな?って思うよね
この人たちって基本、論理を突き詰めていくときって思考実験なのね
思考実験ってのはまぁ要するに頭の中で実験を繰り返すことなんだけど
想像力はんぱないわけ
もう、とんでもない想像力を持ってる人たちなのよ
頭ん中で電子が飛び交ってんのよ、いや電子は波だからぶわんぶわんしてるのか
具体的にイメージが出来てるのよねミクロの世界が
そ -
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最近量子医療にご縁があり、シュレディンガーの猫ってやつ?と思い読んでみた。数学Ⅰで理系を卒業した身にはとても難しかった。でもシュレディンガーの猫の生きている状態と死んでいる状態の混在はありえない(当たり前だけれど)ことが明快に分かったのはうれしかった。世界の秩序は量子が作っていて、ごくごく身近な存在なんだと実感しつつ現象を解明しようとすると忽ち難解になる。人間の理解の範囲はごくわずかで、解明されていないことが身の回りに満ちてるんだと再認識した。わからないなりに読み進めたことで、テレパシーや並行世界、SF的だと感じていた気持ちはなくなり、地に足の着いた現象の研究と解明であることがわかり読んでよか
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138億年前の宇宙の始まりから「10の100乗年」後にやってくるかもしれない終焉までを最新科学に基づいて見渡す壮大な科学読物。「宇宙の始まり」を中心とした宇宙論の本は何冊か読んだことはありますが、「終焉」を記した本は初めて。なんと言っても1無量大数(10の68乗)という数詞を超えた世界に魅力を感じました。
著者の吉田伸夫さんの専攻は量子論。宇宙の一生の後半以降は天体の歴史よりも物質の歴史となり、量子論から宇宙の終焉を描きます。
宇宙の一生を概観すると
数百億年後、銀河は老化(星形成率の減少)
1兆年後、長寿命の恒星の死
100兆年後、宇宙の第2の暗黒時代(第1の暗黒時代はビッグバンから100