吉田伸夫のレビュー一覧
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Ⅰ~Ⅱ部では、いわゆる教科書では省かれている、方程式の成り立ちや物理的解釈の変遷、当時の背景などが詳しく書かれ、なるほどの連続である。
Ⅲ~Ⅳ部では、最新物理理論のオンパレードで厳密性を損なわない範囲で数式を用いて説明される。単純に好奇心がそそられる。
全体的には学部3,4年生から大学院生向けの内容か。
この分野は手詰まりなのが、よく分かってしまい、一瞬、物理を学ぶモチベーションが下がったが、よくよく考えてみると、だからこそ、これだけの多様な考え方、アプローチが生まれている、その創造性を感じるために学ぼうと思えた。
・アインシュタインの宇宙項の導入
・共動座標、フリードマン方程式(福江の宇宙論でやったことの裏付けが得られる)、質量がない場合の加速膨張
・一様等方性を持つ時空は3つのタイプしかない。ロバートソンウォーカー計量に尽くされている。
・作用の停留値が複数の場合の解釈が多世界解釈の論点となる。
・場の理論の場合、エネルギーの保存則はエネルギーEの値が一定ではなく、エネルギー運動力テンソルの微分形が0と表されるので、急激膨張の際にエネルギー密度が一定でも矛盾はない。
・アインシュタイン方程式に、微分されたものではなく、エネルギー運動テンソル自体が現れることが、暗黒エネルギーの存在と密接に結びつく。
・宇宙がどのように誕生したかは哲学的な問題ではなくて、どのような境界条件が妥当かという単純な問題に過ぎない。
・特異点定理により、アインシュタイン方程式が厳密に成り立つ一般相対性理論の枠内では周期的に膨張・収縮を繰り返す振動宇宙は否定される。
・マルチバーサルな定数。プランク定数の特異性。 -
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わかりやすい宇宙の歴史10の100乗年。
ビッグバンで、エネルギーの場から素粒子が誕生し、結合し元素が生まれる。
宇宙が膨張していく中で温度が下がり38万年後くらいに3000度隣、電子と陽子が結合し、水素原子になる(宇宙の晴れ上がり)。その後最初の恒星が形成され、超新星により、恒星内部の核融合により形成された水素やヘリウムより重い原子が宇宙空間に拡散され、第二世代の恒星の材料となり、現在の太陽系のようなものと人類が138億年後に誕生することとなる。これ以降は、140億年後には太陽の膨張で地球がハビタブルゾーンから外れ、数百億年後には銀河系がアンドロメダ銀河と合体し、星形成率もだいぶ落ちてくる。1000億年後には宇宙の膨張が進むことで他の銀河が観測できなくなり、それ以降は通常の理論であれば(ダークマター、ダークエネルギーについてはほぼ分かっていないので)、新たな星や銀河などの構造は生まれず恒星は徐々に力尽き、原子でさえも1兆年単位では半減期を迎え、ブラックホールと残存物だけが残る世界となり、それすらもいつかは無くなる。 -
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宇宙の始まりに関する本は読んだことはあるがこれだけ未来に紙幅を割いた本は初めて。人や生命が滅びても宇宙は何となく続いているのだろうと思っていたが、遂には物質ひいては素粒子まで消滅するとは想像だにしていなかった。
主論ではないが常々疑問に思っていた水がないと生命が存在しないという説も、生命維持の観点からではなく複雑な構成をもつ原子が自然に生成される(化学進化する)可能性が低いということがわかりようやく得心がいった。
その他、地球が灼熱地獄と化すには10数億年しかないんじゃ弥勒菩薩も間に合わないじゃんとか、この宇宙の外は2次元世界にとっての3次元世界のようにわかりようがないなら、突然この宇宙が外的要因で消し去られたりするんじゃとかいう子どもの頃からの想像を思い出したりと、色々なことに想いを馳せながら面白く読めた。 -
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素粒子が「粒子」であるかのように語る「やさしい解説」では,素粒子論の本当の姿は分からない。素粒子の概要をつかむには,どうしても場の理論の考え方が必要だ。本書は,数式をほとんど使わずに,素粒子論を支配する場の考え方を丁寧に説いてくれる。素粒子は,実態を伴った粒子などではなく,場に現れるエネルギーの集中した波動であり,あたかもそれが粒子であるかのように振る舞っているのだ。そう,モニターに写るブロック崩しのボールのように。
摂動法や繰り込みについても誤解を正してくれる。摂動法については,探査機のスイングバイを例に分かりやすく解説。ファインマンダイヤグラムに現れる仮想粒子,仮想反粒子は飽くまでも計算の便宜に導入されたものであり,それらの対生成・対消滅が実際に起こっているというイメージは完全に間違っていること。繰り込みは,無限大から無限大を引いて有限の値を得るという怪しげなものではなく,解像度を落として現象を見ることで小さいスケールを無視した有効理論を作ることに相当していること。
一般向けの素粒子論の本には食傷気味の人にも十分おすすめできる内容だと思う。 -
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場の量子論のイメージが持てるようになる優れ本
なぜわかりにくいのか → 現代物理の基礎となっている「場」を説明していないから。
・していないというより、今までできる人が居なかったというのが正しいと思う。
・著者は、これに成功した初めての人だと思う。(経路積分による量子化手法で)
・原子論的な世界観から、場という世界観に大きく転換があった・・・というのを初めて認識した。これが、私にとってはこの本での一番の驚きであった。頭の中が、「原子と場の二元論で足踏み」と、正にその状態であった。この歳になって、自然観が覆されるとは、すごい快感だった。
場とその量子論のイメージ(バネ)を基に、次のことをわかりやすく説明している。
1)「素粒子」は「粒子」ではない。(原子論的な意味での)
場が実体であり、粒子的な特徴は、相互作用がほとんど無い場合、およびフェルミオンの量子論的特性から現れる。
2)「力は粒子を交換することによって生じる」というよく見る説明は、摂動計算を言葉にしただけであり、中間子の場合は、良い近似にはなっていない。
結合状態を、この粒子的イメージでとらえることはできない。
3)質量エネルギー
4)素粒子が別の素粒子に変化するしくみ・内部空間での振動方向
5)ゲージ原理・標準模型・対称性の破れ・ヒッグス場
6)摂動・ファインマン図・仮想粒子・光電効果・繰りこみ・有効理論
7)標準模型の拡張・量子重力理論の候補(ループ量子重力理論、超弦理論)
メインテーマ以外では、繰りこみとその重力理論での破綻、ブレイン宇宙論の説明が秀逸。
次のような人には超お勧めです。
・量子力学や素粒子の本を読んでみて、モヤモヤ感がぬぐえない人。
・場の量子論を俯瞰して俯瞰して把握したい人
・現代物理の自然観・世界観に興味がある人
・ヒッグス粒子、超弦理論などに興味がある人
私にとっては、ものすごく読みやすく、興奮のうちに読み終えた優れものでした。 -
Posted by ブクログ
高度な数学の知識を必要とするものの、今分かっていることがほぼすべて網羅されていて読み応えがあった。マルチバース、人間原理、宇宙定数、多世界解釈といった内容の検証だけでなく議論の必要性の有無が議論されているような分野についての言及もなされており量子宇宙論全体を俯瞰するのに最適な内容となっていた。図はほとんどなく(といっても図示することが困難な事象ばかりなので仕方がないが)、数式だけで議論が進んでいるためとっつきにくいところもあるが、数式を飛ばしてもおおよそ内容が分かるように書かれているため、宇宙論の読み物をいくらか読んでいればついていけるだろう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ時間はどこから来て、なぜ流れるのか? 最新物理学が解く時空・宇宙・意識の「謎」
表題のように時間の流れに関して相対性理論や量子論をもとにわかりやすく解説しています。
「時間は絶対的なもので均一に流れているものではなく、空間ごとに異なった時間を持っている」 ほうー
「なので高速で移動すると時間の流れた遅くなる」 浦島効果ね
「時間は過去ー現在ー未来と流れるものではなく、ビックバンを起点として空間のように広がりをもっているも」 ほうほうー
「ビックバンが非常に均一で整然としたものだったので、そこから時間が経つとエントロピーは増大する方向に向かう」 これは知ってた
「時間は広がりをもつものなので、ワームホールなどがあれば過去に戻ることが原理的には可能」 タイムマシンね
「生命は一見エントロピーの法則に反しているように見えるが、必ず太陽エネルギーを使っており、太陽エネルギーが真空の宇宙空間に光として放出されるさいにとても大きなエントロピーの増大があるので、それを考えると部分的なエントロピーの揺らぎのようなものなので、エントロピーの法則に反しているわけではない」 なるほど
「時間の流れは人間の脳によって作り出されているもので、都合の良いように前後が入れ替えられてたりするあまりあてにならないもの」 ほほー
という感じで、感心したり、知っていたことを自画自賛したりしながら楽しく読むことができました。
相対性理論も量子論も数式が出てきた時点で今は降参してしまう竹蔵にはちょうど良い啓蒙書でした。
竹蔵 -
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『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?』は、時間を「当たり前に流れるもの」としてではなく、物理学・宇宙論・脳科学から根本的に問い直していく本だった。特に印象的だったのは、「現在だけがリアルなのではなく、過去も未来も空間の地点のように存在する」という相対論的な時間観で、かっこいい表現だと思う一方、最後まで直感的には理解しきれない感覚も残った。だが、その「腑に落ちなさ」自体が、人間の感覚が地球上の日常スケールに最適化されていることの表れなのだろうとも感じた。
ミンコフスキー時空の話では、時間と空間が混ざり合う、回り道をした方が経過時間が短くなるなど、日常感覚とは逆転した世界が描かれる。双子のパラドックス(ウラシマ効果)が実験的にも確かめられていることには驚かされた。GPSですら相対論補正なしでは成立しないという話から、相対論は単なる思考実験ではなく、現実世界の基盤技術なのだと実感した。
また、熱力学とエントロピーの章も印象深い。人間にとって秩序ある状態は、熱力学的には極めて特殊で偏った状態であり、宇宙が低エントロピー状態から始まったこと自体が大きな謎であるという視点は非常に面白かった。星や銀河、生命の存在すら「都合よく整いすぎている」と感じ、ビッグバン直後の宇宙の異様な秩序性について考えさせられた。
後半では、ワームホールや負の質量、タイムマシンなど、一見SFに見える題材にも物理学が真正面から向き合う姿勢に驚いた。物理学は「ありえない」とすぐ切り捨てるのではなく、「もし存在するとしたらどんな矛盾が生じるのか」を徹底的に検討する学問なのだと知り、イメージが変わった。効率や即時的成果が重視される現代社会とは、かなり異なる時間感覚の上に成り立っている学問だとも感じた。
最後の「時間の流れは物理的に存在するのではない。心の中を流れるのである」という結論も印象的だった。物理学の立場を徹底して追究した結果として自然に出てきた言葉であり、時間の流れを単なる錯覚として切り捨てるのではなく、人間の脳や記憶、エントロピー増大と結びつけて説明している点に誠実さを感じた。時間という身近すぎる概念を通して、物理学の世界観そのものを体験できる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
「量子は波である」
というわけで、ここで量子論ですよ
まぁ、ぶっちゃけいいとこ7割くらいしか理解できてないんだけど面白い
物理学面白い
そして、アインシュタインとかシュレディンガーとかハイゼンベルクとかヨルダンとかの天才たちの脳ってマジどうなってんのかな?って思うよね
この人たちって基本、論理を突き詰めていくときって思考実験なのね
思考実験ってのはまぁ要するに頭の中で実験を繰り返すことなんだけど
想像力はんぱないわけ
もう、とんでもない想像力を持ってる人たちなのよ
頭ん中で電子が飛び交ってんのよ、いや電子は波だからぶわんぶわんしてるのか
具体的にイメージが出来てるのよねミクロの世界が
そんでこの量子論をちゃんと理解していくとまぁ当たり前の話なんだけど、SFって嘘ばっかりw(フィクションだからな)
でも別にそれで夢がないじゃないか!とはならんよのねー
量子論自体が夢いっぱいなのよ
そうそう、ちなみに世界で一番有名な思考実験は、あのニュートンさんの万有引力です
リンゴが落ちるのを見たニュートンさんが、リンゴが落ちるのはそういう力が働いてるからよねと考える
まぁ、ほとんどの人はここでピカーン!発見!ってなったと勘違いしてるけど、違うのよ
もう歴史を揺るがす天才的なひらめきが!と思ってると思うけど違うの
そっからさらに色々思考実験をしてるのよね
リンゴが落ちるのを見たニュートンさん、そこで空を見上げて…じゃあなんで月は落ちてこないのよ?そこにはどんな力が働いてるの?ってなってとさらに段階があって、思考や計算を繰り返しての発見なのよね
(まぁ、リンゴの話は創作とも言われていて、真偽不明なんだけど)
だからまず奥さんと話すときは、思考実験をしてから話すと地雷を踏まずにすむわけやな!
…成功したことないけど。゚(゚´Д`゚)゚。 -
Posted by ブクログ
最近量子医療にご縁があり、シュレディンガーの猫ってやつ?と思い読んでみた。数学Ⅰで理系を卒業した身にはとても難しかった。でもシュレディンガーの猫の生きている状態と死んでいる状態の混在はありえない(当たり前だけれど)ことが明快に分かったのはうれしかった。世界の秩序は量子が作っていて、ごくごく身近な存在なんだと実感しつつ現象を解明しようとすると忽ち難解になる。人間の理解の範囲はごくわずかで、解明されていないことが身の回りに満ちてるんだと再認識した。わからないなりに読み進めたことで、テレパシーや並行世界、SF的だと感じていた気持ちはなくなり、地に足の着いた現象の研究と解明であることがわかり読んでよかった。