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今から138億年前、宇宙はビッグバンで生まれた。実は「138億年」の時の流れは、宇宙にとってはほんの一瞬だ。宇宙は、人類誕生までの138億年を序盤のごく一部として含み、この先少なくとも「10の100乗年」に及ぶ、想像を絶する未来を有する。そんな遠大な未来に、宇宙は「終わり」を迎えるのか? 答えは本書にある。宇宙に流れる「10の100乗年」の時間を眺め、人類の時間感覚とは全く異なる壮大な視点に立つ。
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Posted by ブクログ
やや高度な思考をいとわなければ、宇宙の始まりから終わりまで統一的な見方が得られる。天文学的スケールという言葉すら、陳腐に思えてしまうほど、大きな数を想定することを恐れなければ、物理学はこの宇宙ですら最初と最後まで推定してしまう。いかに人間中心の尺度が陳腐か。ワクワクを打ち消す科学の威力を思い知った。
相対性理論と量子力学と核融合が束になってかかって来るので、理解は出来ていないと思う。 でも読んで楽しかったです。
悠久の宇宙の流れを感じさせる良書。現在分かっていること、分かってないことを明確にして、どの仮説を前提として話を進めているか分かりやすい。難しいことは読み飛ばしても雰囲気でなんとなく分かる。高校卒業程度の物理学が分かってるなら読み飛ばさずに理解できるだろう。X粒子のくだりは再読を要したが、おそらく冗長...続きを読むな文書がうまく頭に入らなかったためと思われる。その辺りを差し引いても、内容の背景である研究者たちの温度感まで伝わってくる正直感は評価できる。""
わかりやすい宇宙の歴史10の100乗年。 ビッグバンで、エネルギーの場から素粒子が誕生し、結合し元素が生まれる。 宇宙が膨張していく中で温度が下がり38万年後くらいに3000度隣、電子と陽子が結合し、水素原子になる(宇宙の晴れ上がり)。その後最初の恒星が形成され、超新星により、恒星内部の核融合により...続きを読む形成された水素やヘリウムより重い原子が宇宙空間に拡散され、第二世代の恒星の材料となり、現在の太陽系のようなものと人類が138億年後に誕生することとなる。これ以降は、140億年後には太陽の膨張で地球がハビタブルゾーンから外れ、数百億年後には銀河系がアンドロメダ銀河と合体し、星形成率もだいぶ落ちてくる。1000億年後には宇宙の膨張が進むことで他の銀河が観測できなくなり、それ以降は通常の理論であれば(ダークマター、ダークエネルギーについてはほぼ分かっていないので)、新たな星や銀河などの構造は生まれず恒星は徐々に力尽き、原子でさえも1兆年単位では半減期を迎え、ブラックホールと残存物だけが残る世界となり、それすらもいつかは無くなる。
宇宙の始まりに関する本は読んだことはあるがこれだけ未来に紙幅を割いた本は初めて。人や生命が滅びても宇宙は何となく続いているのだろうと思っていたが、遂には物質ひいては素粒子まで消滅するとは想像だにしていなかった。 主論ではないが常々疑問に思っていた水がないと生命が存在しないという説も、生命維持の観点か...続きを読むらではなく複雑な構成をもつ原子が自然に生成される(化学進化する)可能性が低いということがわかりようやく得心がいった。 その他、地球が灼熱地獄と化すには10数億年しかないんじゃ弥勒菩薩も間に合わないじゃんとか、この宇宙の外は2次元世界にとっての3次元世界のようにわかりようがないなら、突然この宇宙が外的要因で消し去られたりするんじゃとかいう子どもの頃からの想像を思い出したりと、色々なことに想いを馳せながら面白く読めた。
138億年前の宇宙の始まりから「10の100乗年」後にやってくるかもしれない終焉までを最新科学に基づいて見渡す壮大な科学読物。「宇宙の始まり」を中心とした宇宙論の本は何冊か読んだことはありますが、「終焉」を記した本は初めて。なんと言っても1無量大数(10の68乗)という数詞を超えた世界に魅力を感じま...続きを読むした。 著者の吉田伸夫さんの専攻は量子論。宇宙の一生の後半以降は天体の歴史よりも物質の歴史となり、量子論から宇宙の終焉を描きます。 宇宙の一生を概観すると 数百億年後、銀河は老化(星形成率の減少) 1兆年後、長寿命の恒星の死 100兆年後、宇宙の第2の暗黒時代(第1の暗黒時代はビッグバンから100万年後の最初の星の誕生時に終了) 10の20乗年後、ブラックホールが銀河を飲み込む 10の40乗年後、物質の消滅。陽子や中性子は宇宙空間から完全に姿を消し、電子、陽電子、ニュートリノ、光子が薄く漂うだけとなる 10の100乗年後、宇宙の終焉。最も大質量のブラックホールがホーキング放射により消滅。新たな構造の形成が失われる。 本書は難解な数式は登場しませんが、後半以降はフェルミオン素粒子、W粒子、反クォーク、反粒子、ホーキング放射等の難解な概念が説明されていて、かなり歯応えのある本です。 それでも、宇宙論の基本的なポイントを見直すことができました。 -ビッグバンは、巨大な爆発などではない。異常な高温状態にある一様な空間が整然と膨張を始めたものである。整然とした膨張だからこそ、その後に続く宇宙の進化が可能になったのである。 -E=mc2という式についていろいろな説明がなされるが、ここでは、「ある領域に閉じ込められた内部エネルギーは、外から見ると、その領域の質量として観測される」と言っておこう。 -素粒子、複合粒子、原子核、原子、分子の「物質の構成図」 -温度が4000度以上で電子が自由に動き回っているときには、光は電子に散乱されてまっすぐには進めない(電子の2000倍近く重い陽子は光の振動に追随できないため、影響は小さい)。ところが、宇宙空間が膨張して温度が下がり、電子と陽子が結合して電気的に中性な水素原子に変化し始めると、光はしだいに散乱されにくくなる。宇宙暦338万年頃、温度が3000度付近まで低下すると、宇宙空間はほぼ透明になって、光はまっすぐ進むようになる。 -最も重要な知見は、背景放射が、全天のどの方位でも絶対温度2・73度の熱放射とほぼ完全に一致する点だろう。 -暗黒物質は、まず複雑に絡み合ったフィラメント状に凝集し、フィラメントが交差する地点に、特に密度の高いハローが形成される。こうしてできた太陽質量の10万倍から100万倍の暗黒物質ハローが、恒星や銀河などの種”となる。 -本書で扱ってきた宇宙史は、かなり信憑性の高い理論に基づいてはいるものの、確実というわけではない。これ以外の可能性を主張する研究者も少なくない。現代宇宙論における最大の謎は、暗黒エネルギーの正体である。 本書が扱うテーマは難解ですが、壮大なテーマであり、好奇心を刺激するという点では、ブルーバックスの中でも最強の1冊です。巻末にある「宇宙を統べる法」を読んでから、本書を読むことをおすすめします。
星の誕生から消滅、そして物質への理解を含めてから宇宙論全体を論じる構成により、非現実的かつ天文学的な範囲の仮説が現実味を帯びて理解できる1冊でした。
前書きで「2ページで語る宇宙全史」、付録で年表と概観しやすい構成。 宇宙の終焉(ビッグバンから10の100乗年後、ビッグウィンパー)の時間スケールから見れば、138億年前のビッグバンは「ついさっきのこと」 以下、宇宙暦(ビッグバン以後の時間経過)を基準に 10分後、100万年まで、10億年まで、...続きを読む138億年まで(現在)、数百億年まで、1兆年まで、…10の100乗年以降と段階別に解説 ■4章 宇宙歴10億年まで 近年の研究によると、第1世代の恒星は種族IとIIのいずれとも異なる性質を示し、種族IIIと呼ぶべきものべあることがわかってきた。種族IIの古い恒星にも微量ながらヘリウムより重い元素が含まれているが、最初の恒星が誕生する前に重い元素を合成するメカニズムは存在しないので、種族IIIの恒星には、重い元素は全く含まれない。この組成の違いによって、種族IIIの一生は、種族IやIIとはかなり異なったものになる。93
雑誌プレジデントか何かで、「新社会人向けの本」で紹介されていた記憶。それを覚えつつ、何かのきっかけで書店購入。 宇宙の誕生から終焉まで、ダイナミックな宇宙論を学ぶことができる本。 この本の良い所は、「最新研究で確かに分かっている事」「イマイチ解明されていない事」をハッキリ書き分けていること。
ボリューム感はありますが、数式は皆無なので慣れてない人でも頑張れば読めると思います。 あらためて宇宙のスケールの壮大さを実感する本です。
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宇宙に「終わり」はあるのか 最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで
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吉田伸夫
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