あらすじ
生命は活動し、物体は形を持ち、時間は流れる。物質や光の最小単位・量子は、これらのあらゆる現象と関わりを持つ。だが量子には謎が多く、運動方程式など、私たちが住むマクロ(巨視的)な世界の物理法則が通じない。その正体すら判別できず、教科書でも「粒子であり波でもある」という矛盾を孕む説明がなされる。本書では「粒子ではなく波である」という結論から出発し、量子を巡る事象の解明に挑む。細胞の修復、バラバラに砕けない金属、枝分かれしない歴史……こうした世界の秩序は量子が創っていた――。日常の見え方が変わる一冊。
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Posted by ブクログ
量子論とは何か、というのを平易に解説してくれる本。
実験で計測しようとすると結果に影響が出てしまう、という有名なロジックや、シュレーディンガーの猫、量子が離れた場所にあってもお互い影響する(ように見える)など本当はこうなんです、とすいすいと解説してくれる。
物理学の各理論の関係や研究者の力関係、ノーベル賞の受賞順まで、「そうなのか」と腹落ちしていく。物理は高校の時にひどい目にあったが、人生の後半に差し掛かってきて、このような解説本、入門本をよく読むようになった。
このような層のニーズがある(科学そのものは不案内だが、どんなものか知りたい)のは30-40年前には思いもよらなかったことではないだろうか。
Posted by ブクログ
吉田伸夫氏の『光の場、電子の海』を読んで、よくわからないながらも、吉田氏が言うことを信用する気になった。
本書は小冊子であるが、『光の場、電子の海』と同様に難しそうだ。
先ず、「帯」や「カバー」に書いてある、出版社の宣伝文句宣伝を読んでみる。
<たった一つの事実で全て解決する。
量子の世界の4大謎
1.歴史は分岐し、パラレルワールドが存在するのではないか?――多世界解釈
2.「人が見る」という行為は、現実世界に物理的作用を与えるのではないか?――観測問題
3.量子には一瞬で空間を超えて情報が伝わるテレパシーのような力があるのではないか?――量子もつれ
4.生と死、二つの状態が重なった猫を作ることができるのではないか?――シュレディンガーの猫>
<生命、宇宙、時間。物質や光の最小単位・量子は、これらのあらゆる現象と関わりを持つ。だが量子には謎が多く、その正体さえ判別できず、《粒子であり波である》と矛盾した説明がされている。本書は《粒子ではなく波である》という結論から出発し、事象の解明に挑む。>
「《粒子ではなく波である》という結論から出発し、事象の解明に挑む」ところがポイントのようである。
さらに、途中を飛ばし読みして終りに近い部分に来ると、こう書いてあるではないか!
<アニーリングマシンは組み合わせ問題しか解けず、しかも、必ずしも最適解は得られない。計算速度も、ゲートマシンのように圧倒的に速いわけではない。ただし、すでに実用段階にある点で優位にある。
一方、ゲートマシンは、論理演算で解けるすべての問題に対応でき、うまく動けば、スピードはアニーリングマシンとは比べものにならないほど速い。しかし、実用化までの障害は大きい。現在は、いくつかのグループが開発した小型マシンを使って、役に立つかどうかの実証実験が進められている。
組み合わせ問題に相当する課題は実社会に数多くあり、アニーリングマシンの有用性は揺るがない。ゲートマシンは、しばらくの間、研究者のオモチャ以上のものではないだろう。>
<初期の量子論が、物理学者のみならず哲学者の関心を引いたのは、物理現象を論じるのに人の役割が無視できないという形で理論が構築されていたからである。人間がどのような観測を行うかによって、物理的な状態が左右されるという見方であり、人間から独立した客観的な物理的実在が厳然と存在するという自然観を否定するかのようだった。かつては、ボーアやハイゼンベルグらが行ったこうした哲学的な議論がもてはやされたが、現在ではあまり重視されない。>
<ハイゼンベルグらの議論では、人間による観測が物理現象の帰趨を左右する。しかし、想像を絶するほど広大な宇宙の中で、塵のような惑星にへばりついて生きる人間がそれほど重要な役割を演じるとは、ちょっと考えにくい。干渉の有無によって量子論的な過程を区別する立場は、私が知る限り、量子論の最も合理的な解釈である。>
<超ひも理論は、厳格に定めらた数学的枠組みを出発点とし、そこからひたすら数式をいじくるような研究しかできない。実際の物理現象から多くの知見を得る道を断ったことで、超ひも理論は行き詰まり、次第に顧みられなくなった。>
「ゲートマシンはまだ研究者のオモチャ以上のものではない」
「ボーアやハイゼンベルグの哲学的な議論は現在あまり重視されない」
「広大な宇宙の中の塵のような惑星にへばりつく人間が物理現象の帰趨を左右するとは考えにくい」
「超ひも理論は行き詰まり顧みられなくなった」
という著者の言葉は痛快であり、頭が良くない私を励ましてくれる。
「コペンハーゲン解釈」は好かないので、これでボーアやハイゼンベルグに「ざまあ見ろ」と言えそうだ。
量子力学へのアプローチ史
量子力学へのアプローチ史を通じて読者に考察を促していく。
先人とともに、宇宙の深淵を覗き見ていく喜びを味わえる。
Posted by ブクログ
「量子は波である」
というわけで、ここで量子論ですよ
まぁ、ぶっちゃけいいとこ7割くらいしか理解できてないんだけど面白い
物理学面白い
そして、アインシュタインとかシュレディンガーとかハイゼンベルクとかヨルダンとかの天才たちの脳ってマジどうなってんのかな?って思うよね
この人たちって基本、論理を突き詰めていくときって思考実験なのね
思考実験ってのはまぁ要するに頭の中で実験を繰り返すことなんだけど
想像力はんぱないわけ
もう、とんでもない想像力を持ってる人たちなのよ
頭ん中で電子が飛び交ってんのよ、いや電子は波だからぶわんぶわんしてるのか
具体的にイメージが出来てるのよねミクロの世界が
そんでこの量子論をちゃんと理解していくとまぁ当たり前の話なんだけど、SFって嘘ばっかりw(フィクションだからな)
でも別にそれで夢がないじゃないか!とはならんよのねー
量子論自体が夢いっぱいなのよ
そうそう、ちなみに世界で一番有名な思考実験は、あのニュートンさんの万有引力です
リンゴが落ちるのを見たニュートンさんが、リンゴが落ちるのはそういう力が働いてるからよねと考える
まぁ、ほとんどの人はここでピカーン!発見!ってなったと勘違いしてるけど、違うのよ
もう歴史を揺るがす天才的なひらめきが!と思ってると思うけど違うの
そっからさらに色々思考実験をしてるのよね
リンゴが落ちるのを見たニュートンさん、そこで空を見上げて…じゃあなんで月は落ちてこないのよ?そこにはどんな力が働いてるの?ってなってとさらに段階があって、思考や計算を繰り返しての発見なのよね
(まぁ、リンゴの話は創作とも言われていて、真偽不明なんだけど)
だからまず奥さんと話すときは、思考実験をしてから話すと地雷を踏まずにすむわけやな!
…成功したことないけど。゚(゚´Д`゚)゚。
Posted by ブクログ
最近量子医療にご縁があり、シュレディンガーの猫ってやつ?と思い読んでみた。数学Ⅰで理系を卒業した身にはとても難しかった。でもシュレディンガーの猫の生きている状態と死んでいる状態の混在はありえない(当たり前だけれど)ことが明快に分かったのはうれしかった。世界の秩序は量子が作っていて、ごくごく身近な存在なんだと実感しつつ現象を解明しようとすると忽ち難解になる。人間の理解の範囲はごくわずかで、解明されていないことが身の回りに満ちてるんだと再認識した。わからないなりに読み進めたことで、テレパシーや並行世界、SF的だと感じていた気持ちはなくなり、地に足の着いた現象の研究と解明であることがわかり読んでよかった。
Posted by ブクログ
量子で読み解く生命宇宙時間 吉田伸夫
幻冬舎新書
日本語なので読みやすいが
結構詳しすぎて同じようなことの繰り返しで面倒臭い
もう少しダンジェストで良いと思う