吉田伸夫のレビュー一覧
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ネタバレ量子論とは何か、というのを平易に解説してくれる本。
実験で計測しようとすると結果に影響が出てしまう、という有名なロジックや、シュレーディンガーの猫、量子が離れた場所にあってもお互い影響する(ように見える)など本当はこうなんです、とすいすいと解説してくれる。
物理学の各理論の関係や研究者の力関係、ノーベル賞の受賞順まで、「そうなのか」と腹落ちしていく。物理は高校の時にひどい目にあったが、人生の後半に差し掛かってきて、このような解説本、入門本をよく読むようになった。
このような層のニーズがある(科学そのものは不案内だが、どんなものか知りたい)のは30-40年前には思いもよらなかったこ -
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吉田伸夫氏の『光の場、電子の海』を読んで、よくわからないながらも、吉田氏が言うことを信用する気になった。
本書は小冊子であるが、『光の場、電子の海』と同様に難しそうだ。
先ず、「帯」や「カバー」に書いてある、出版社の宣伝文句宣伝を読んでみる。
<たった一つの事実で全て解決する。
量子の世界の4大謎
1.歴史は分岐し、パラレルワールドが存在するのではないか?――多世界解釈
2.「人が見る」という行為は、現実世界に物理的作用を与えるのではないか?――観測問題
3.量子には一瞬で空間を超えて情報が伝わるテレパシーのような力があるのではないか?――量子もつれ
4.生と死、二つの状態が重なった猫を作る -
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これまで、分かったつもりであった点が、この本でより深く理解できた。
例えば、時間軸を含む4次元世界では、時間も空間の如く広がりを持つと言う点は見聞きしてはいた。しかし、本書の「物体は時間方向に伸びた存在」という指摘や、ミンコフスキー幾何学の説明等々で、「時空」のイメージの解像度が増した。
(光速度不変より、ローレンツ普遍性の方が重要視されるのも、分かった気がするぞ!)
エントロピー減少の話も分かりやすかったし、量子論の「観測の有無に関係しない客観的量子論」と言う観点は、新鮮であり、腑に落ちるものでもあった。認知のフローから切り込む最終章も、得るものが大きかった。
落ち着いていながらも熱い文体 -
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ニュートン力学では時間も空間も研究対象ではなく(と言い切ると語弊があるか)、天与の目盛りとして背景にある。
ローレンツ対称性がマクスウェル方程式に見出されて相対論から時空の相対性が確立されると、時間も空間も観測系の運動状態に応じて相対的なものとなり、本書のテーマで言えば時間など物理的には存在しないこととなった。
時間が流れるように感じられるのは人間の知覚と脳内情報整理の結果でしかない。
というようなことを飄々と解説しているわけだが、類書よりも面白かった。学者としての防御姿勢を過剰には取らずに言い切る書き方のためだと思うが、これが本書の真骨頂。
また、ニュートン力学では過去も未来も計算できるが、 -
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物理学的には時間の流れは存在しない。
前著の「宇宙に終わりはあるのか」がとても面白かったので読んでみたが、こちらも刺激的で好奇心をくすぐる一冊でした。
第Ⅰ部の相対論、ウラシマ効果などはある程度理解できたが、第Ⅱ部初めの「時間はなぜ向きを持つのか」については難しかった。秩序あるビッグバンとエントロピー増大の法則を元に説明されているがなんとなく腑に落ちず。
最終章も脳は無意識の行動を後から整理しているに過ぎないという話は聞いたことがあったが、構造的な処理速度の問題から時間が流れているように感じられているというのは興味深い。感じられない過去未来も現に存在していることを意識して生きてみるのも面白いか -
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時間とはなにか?を論じるためには宇宙の始まりについて考えなくてはいけないの、わくわくしません?
時間がないないと普段言っているけど結局なんなんだろう、と思って手にしたこの本。高校物理と医学を少しかじったくらいで、なんとかついて……いけ……はないですが振り落とされはせず、楽しく読めました。
わからないところも勿論ありますが、出来る限りやさしく書こうとしていただけてるのが伝わります。
物理から地学、数学、化学、はては脳神経学まで、学際的な本を読むとやっぱりわくわくがとまりません。
読み終わったら「今まで考えていた時間なんて存在しなかった…?」というような不思議な感覚に陥ります。
結局時間は -
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ネタバレ宇宙の始まりから終焉予想までを非常に分かりやすく説明した本。インフレーションの前の状態といのうが今まで良くわからなかったが、はじめてスッキリと分かった。以前、NHKスペシャルで宇宙の始まりのようなことをやっていたが、やはりブルーバックスの方が断然分かりやすい。場のエネルギーのちょっとした偏りから宇宙が始まり、その膨大なエネルギーが物質に変わっていくなど、想像もできない現象だが138億年という途方もない時間と、それよりはるかに広大な宇宙空間が存在していることを考えると人間の想像などは及ばないようなことが起きているのだろう。宇宙背景放射、対称性の破れ、宇宙の晴れ上がり、ダークエネルギー、ダークマタ