小堀桂一郎のレビュー一覧
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東京裁判に関する本は数多く、論点もほぼ出尽くした感があるが、本書は却下された膨大な弁護側資料を抜粋し、解説を付して編集したものである。裁判過程を分析する上での一次資料の整理として極めて高い価値を持つとともに、被告人の弁護を主眼とする法廷資料であることを割り引いたとしても、大東亜戦争の全体像を歴史的事実に基づいて実に多面的に考察しており、公正な歴史認識を持つための必須文献である。敗者の「弁明」とは言え、決して「弁解」ではない堂々たる日本の主張を読むことができる。本書に限ったことではないが、正しい歴史認識の普及と日本の名誉回復を願った小堀桂一郎氏の地道で真摯な取り組みには頭が下がる。勝者であると敗
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ネタバレまず、恥ずかしながら歴史に疎い私は、「東京裁判」が極東裁判を
意味することすら知りませんでした。
私がこの本を読むきっかけとなったのは、得意先のお客様から
勧められたことでした。
しかし、読んでみて思ったのは、「史実とはいったい何なのか?」です。
戦争開戦までに日本が、英米から極限まで経済的に追い詰められた
事実。中国の属国であった歴史。事実上何の意義もなかった三国同盟
など。
名古屋の河村市長の南京虐殺に関する発言ではないが、歴史とは
そんなに単純なものではない筈だ。
自虐的に「日本が悪かった」とだけ言うのではなく、もっと冷静に
いろいろな観点を取り入れて、自分なりの歴史観・世界観をも -
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是非、一読されることを薦める。
靖国神社について、知らなかったことが非常によくまとまった一冊。
大変、勉強になった。自分があまりにも知らなさ過ぎたことに慙愧の念すら覚える。
招魂社として創建し、別格官幣社としての成立。
正岡子規や田山花袋などの著書からも見られるように、当時は上野公園や日比谷公園のように、庶民達の公園や庭といった感覚が強かった。
その後、昭和初期から日露戦争を経て米国占領軍による対日工作。
靖国神社が一宗教法人にならねばならなかったのか。
A級戦犯はなぜ祀られているのか。
政教分離の概念。
東京裁判のステレオタイプ。
などなど、非常に分かりやすく記されている。
書きた -
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ネタバレ[ 内容 ]
未曾有の敗戦、そして占領という危機の時代に対峙したその「大いなる精神」とはいかなるものであったのか?
“占領という名の追撃戦”に対して孤独な抵抗を貫き、自らの「つとめ」として靖国神社御親拝、沖縄行幸を果たせなかったことを憂慮され続けた昭和天皇。
「雨が続いているが、稲の方はどうか」最期の病床にありながらも国民に対する慈愛に満ちた御心。
折々の心情溢るる御製を手掛りに繙く力作評伝。
[ 目次 ]
御幼少時代
東宮御学問所
摂政御就任
践祚、そして難題続出
昭和の動乱(満洲に忍び寄る暗雲;国際的孤立化への途)
大東亜戦争
戦争をめぐる二つの詔書
停戦、そして泰平の世へ
崩御
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ネタバレ[ 内容 ]
靖国神社は、先祖崇拝という日本古来の民間習俗の発露として明治二年に創建され、以来百三十年間日本人の信仰と道徳観を護ってきた。
なぜ、戦後の時代の渦の中でたびたび問題として浮上し、歪んだイメージで語られるようになったのだろうか?
本書では、お社の発祥・創建に溯り、栄光から屈辱、安寧から危険という戦前から戦後への変遷の歴史を描き出すことで現代の日本を見つめ直す。
[ 目次 ]
第1章 靖国神社とは何か
第2章 明治・大正・昭和三代
第3章 停戦直後の混乱と危機
第4章 靖国神社をめぐる諸問題
第5章 靖国神社の現在
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすす -
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森鴎外の研究者であり保守派の論客として知られる著者が、靖国神社をめぐる諸問題について論じた本です。
靖国神社では、どのような教義にもとづいて英霊たちが祀られているのかということを、その内在的な論理に沿って書かれた本を読みたいと思い、本書を手に取ったのですが、本書の最初のほうでは、靖国神社の成立についての歴史的事実がわかりやすく解説されているものの、やや期待していたのとは異なる内容でした。
著者は、戦後において靖国神社が一個の宗教法人となったことを批判しており、柳田國男の「先祖の話」などを参照しながら、特殊的な宗教的信念に先立つこの国のありように根ざすものとして、靖国神社における慰霊という行 -
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著者は、大正期から終戦直後にかけて、知識人たちが伝統を忘却したために時代の移り行きを正しく認識することができずにいたことを批判的な観点から論じています。同時に、日本思想史を独自の立場からとらえていた和辻哲郎の状況のなかでの発言に、一定の留保を置きつつも評価しています。
著者はまず、ポツダム宣言の受諾による「無条件降伏」について、和辻や徳富蘇峰、鈴木大拙といった知識人たちがおこなった言説を参照し、正しい歴史観を忘却してしまっていると批判します。つづいて、大正教養主義における伝統の欠如を批判し、そこに共産主義からの影響が色濃く存在していることを指摘します。
次に著者がとりあげるのは、いわゆる統 -
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「小・中学生の勉強時間が世界最低レベルの国」「小・中学校レベルの算数ができなくても大学生になれる国」これこそが我々の母国、日本の現実なのです。この現実の中で実施されるゆとり教育。これは本書中、随所に指摘されているとおり、「ゆるみ教育」以外の何者でもありません。人の人生にとって重要な教育、ひいては国家の運命を左右する問題である教育。それが文部科学省によって崩壊させられようとしています。現状を見る限り文部科学省は国民を愚民化することによって自分たちが国家を支配しようとしている、あるいは国を滅ぼそうとしていると言わざるをえまえん。少しでも早く、このゆるみ教育を止めさせ、本来の教育を取り戻す必要があり
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ざっと目を通した印象では、著者は、靖國神社を宗教的神社と考えてはいないと思う。宗教色は認めてはいるが、日本人の「伝統」「習俗」の神社であり、戦後米国占領軍によって、宗教団体だと認定された、と指摘している。■よって、憲法上の宗教団体では無いとする。靖國は日本古来の道徳の公準であり、それを守ることが、英霊に対する慰霊にとなるという。
■しかしながら、靖國神社を国民道徳顕揚の一指標と守っていく国家護持の形に委ねることはいまや断念すると述べる。何故なら、機関としての日本国が、そのような大役を担えるような倫理的力量はなく、その資格が無く、聖なるものに対する敬虔さを欠いているからである。■それ故、靖國神