友廣純のレビュー一覧

  • ザリガニの鳴くところ
    これは名作!!
    フーダニットのミステリであることはずっと変わらないが、カイアの成長を通して描かれる自然の美と醜。生命の本質的なところを生物学の視点から細かく描写しており引き込まれていく。ザリガニの鳴くところを探して彷徨いたい。
    海外作家の作品は、読み始め入ってきにくいと思っている人も多いと思うが、ぜ...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    とても好きな作品で惹き込まれた。
    主人公の孤独さが痛いほど伝わり胸が締め付けられる。
    私もテイトに救われた。
    読後感は良い、と思うラスト。
  • ザリガニの鳴くところ
    貧困、ネグレクト、戦争、DV、人種差別、いじめ、偏見、集団心理、自然破壊、恋愛、孤独、動物愛、植物愛、その全てが内包されている残酷で美しい話だ。
    自然も人間も美しさと残酷さを共存させているが、ただし人間には自然にはない醜悪さが存在する。
    人間の醜悪さに触れないために主人公は孤独な人生を選ぶが、孤独は...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    ザリガニの鳴き声が聞こえるほど、自然そのものの懐深い場所
    家族に置き去りにされた幼い少女カイアが、その場所を頼りに強く、孤独に、しなやかに生きる姿が描かれている
    ミステリー、とひと言では言えない大きな物語

    この時代のアメリカの、性別、人種、階級、ありとあらゆる差別が、カイアの暮らす湿地と、街とをは...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    前半は少し退屈だったけど、父親との関わりや、思春期の恋愛が進むうちにどんどん夢中になった。
    カイアに幸せになって欲しいと思って読み進めた。
    無罪放免になった時は号泣したが、詩が見つかった途端一気に裏切られた気分になり涙が引っ込んだ。
    後書きで、カイア=自然とは不可侵であり誰も奥底まで知り得ないのだと...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    前半の少女時代の物語がほんとに好き。
    絵本のエッツの『わたしとあそんで』を思い出す。
    みなしごの少女のいじらしさに胸がいっぱいになった。
    少女時代だけでも読む価値がある。

    早い段階で破滅を予感させて、読み手に緊張感をもたせる構成もよかった。

    自然の描写が素晴らしく、作者の経歴を知って納得。自然に...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    ノースカロライナの湿地で村の青年の死体が見つかり、人々は真っ先に「失地の少女」カイアに目を向ける。
    カイアは6歳で家族に見捨てられ、湿地で1人慎ましく生きていた。彼女の送ってきた日々と事件の様子とが交互に綴られていく。
    とにかく文量が多い。しかし、それでいて読んでいて飽きさせない。
    カイアは殺人の容...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    自然の描写に圧倒される

    作中の詩が深みを増してる 
    夕暮れは食わせ者 から始まる詩が1番好きだった
  • ザリガニの鳴くところ
    湿地帯に静かに佇んでいる小屋があり、そこに貧しい一家が住んでいたのだが、父親の暴力から逃れるようにして、母親を筆頭に6歳ほどの少女を残して兄妹も家を捨て去った。
    小屋に一人取り残されたカイアと呼ばれていた少女は、自分の本名すら知らなかった。
    少女は優しかった母親から教わった僅かな家事の知識を頼りに、...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    自然の精緻、カイアの孤独の描写がとても美しかった。
    ただ「景色が美しい」などという陳腐なものではなく、複雑に絡み合った生態系、生存政略をめぐらせた生物の残酷な美しさまで描き出している。
    野生動物の生態、人間の生態…全く異なるように見えて、全く違いはないのだろう。

    良くも悪くも、カイアは人間社会から...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    読み終わったあと、ちょっと言葉が出てこない壮絶にやるせない物語
    まっとうに人生を終えるべきでない人物がきっちりと無惨な死を迎えている点のみに救いがある
  • ザリガニの鳴くところ
    貧しい主人公の生い立ちや環境が感情移入しやすく、頁を捲る手が止められないくらい続きが気にって一気読みした。また、過去と現在の章立てになっていて、読者を上手く惹きつけるように考えられてるなと感じた。とにかく面白かったー。
  • ザリガニの鳴くところ
    なんというか、主人公の女の子の人生に吸い込まれる感覚を味わった。
    この女の子ほど、「生」と向き合うことがあるだろうか。
    結末は、女の子が自分の住む場所をどれだけ詳細にいたることまで熟知していたかを示すものだと思う。
    殺人事件など法を犯すことはもちろん許されないが、彼女の人間らしさはとても美しく感じる...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    本当の孤独に出会った一冊。湿地帯に生息する動植物の描写が緻密で、情景が目にまざまざと浮かびました。作者がアメリカの有名な動物学者と知り納得。69歳で執筆した初めての小説が驚愕の2200万部ベストセラー。美しく素晴らしい翻訳。原文と読み比べしたいけど、長編小説なので難しいかなぁ。

    湿地帯で発見された...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    分厚い本なので読み切れるかと思ったが、読み始めたら止まらなくなった。
    主人公の少女がとっても魅力的。
    風景を想像しながら読むのは、本ならではの楽しさ。
  • ザリガニの鳴くところ
    本のグループでもかなり話題になってたこの作品。気になりつつ、文庫待ちして、やっと読みました。いやあ〜〜すごい!圧倒的な作品でした。素晴らしい!
    著者が69歳で初めて書いた小説だというから驚きです。でも、豊かに流れるような自然描写を読んでいて、動物学者だというのが納得です。
    映画化されてるのは知ってた...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ

    静かな波が立つ作品

    なんでしょうね。波は立たないストーリーなのに、読後、ココロが揺さぶられてしまいました。ジャケ買いっぽく買いましたが、正解でした。
  • ひとりの双子
    「色の薄い黒人たちが暮らす町」で生まれ育った双子の少女。
    自由を求め家出同然に都会に出る。
    「白人」として生きる2人の道はやがて分かれ、全く別の生き方を始めるー。
    黒人差別があまりにも染み付いてしまっているアメリカ。差別があらゆる場面で顔を出す。
    『ビラヴド』と比肩する傑作。
  • ザリガニの鳴くところ
    『流れのなかにあっても揺らがないものは、ただ、自然だけなのかもしれなかった。』

    読んでいる間、ずっとカイアと一緒に湿地で生活しているような感覚だった。
    ラストは「そうかぁ…」と放心状態になってしまった。てっきりテイトかジャンピンがカイアの為に殺人を犯したのかと思ってた…
    殺人は確かにいけないことだ...続きを読む
  • ザリガニの鳴くところ
    物語としては、凄く素敵でした!ミステリーだと思うと物足りないと思いますが、自然の景色が浮かぶ表現で、自然に触れたくなりました!
    後はミステリーというより、差別だったり、虐待、貧困、孤独などがテーマの文芸作品に感じましたね。