友廣純のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
かなりの長編小説なのに、終始ドキドキしながら一気読みした。最初から最後まで感情が揺れっぱなし。
まず、家族に置いていかれたあとも、健気に帰りを待つ幼児カイアに胸が締め付けれる。時折り挟まれる母との回想シーンは毎回涙が出てしまった。
そんなときに現れたテイトの存在に、ほっとすると同時に、別れの予感に苦しくなる。
そしてチェイスへの怒り。「わたしを邪魔すんなー!」
裁判のシーンでは、テイト、ジャンピン夫妻や弁護士のトムへのあたたかい感謝の気持ちと、それに応えきれないカイアの強情さに腹立たった。
そして望んだ生活を手に入れて、こちらも幸せな気分になったあと、最後の真相を知り深淵をのぞいた気持ちになる -
-
-
Posted by ブクログ
ノース・カロライナの湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。
人々は真っ先に湿地の少女と呼ばれるカイアに疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられ、生き延びてきたカイア。
村の人々に蔑まれながらも、
生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へ
思いを馳せ暮らしていた彼女は果たして犯人なのか……
読み終え、脱力感の様な不思議な感覚に襲われている。
前半がとにかく重く辛い。
カイアの人生が想像を絶するほどに過酷すぎるのだ。
数えきれない別れ、そして偏見、決めつけ、差別。
そういった負の感情が次々と描写されている。
だが胸を張って酷いとどれぐらいの人が言えるのだろう。
立場が違えば、自 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ数十年前のアメリカで、肌の色が薄い黒人という境涯に生きる双子の姉デジレーと妹のステラの人生の物語。
薄い色の肌にこだわる母や周りの人々に嫌気がさして、外の世界に憧れるデジレーと、貧しさのために大学に行く夢を絶たれたステラは16歳の時に2人で家を出て行った。
どんな思いや考えをもち、どんな人と出会い、どんな選択をするかで、いつも一緒にいた二人の人生がこんなにも別々の方向に向かい離れていく。
白人として生き、裕福に暮らすが、自分を守るためにつく嘘が嘘をよび、自分というものがわからなくなり、その上、娘を傷つけ苦しむステラの心境が痛いほど伝わってきた。
また、真っ黒な肌で生まれたデジレー -
-
Posted by ブクログ
某インフルエンサーさんがおすすめしていて、普段は翻訳ものは苦手なのですが、なんだか気になって購入。
わたしが思う読書の魅力のひとつに、日本語の文章の流れが好き、という点があって、
翻訳ものが苦手なのは、そんな日本の文章の魅力が削がれてしまいがちで読みづらいからっていうのがあるんだけど、
にもかかわらず、この本はグイグイ読めてしまった。
おそらく、そんな苦手ポイント以上に、自然の描写の美しさが勝っていたんだと思う。
主人公の心の揺れ動きにも胸がツーンとなって、共感できた。あれもこれもフレーズをメモ。
あと翻訳ものってなぜか、この先とても怖いことが起きるんじゃ…?っていう恐怖感があるってい -
Posted by ブクログ
ルイジアナの小さな町マラードで黒人夫婦の家で生まれたクリーム色の肌と、はしばみ色の目と、緩やかに波打つ髪を持った双子のステラとデジレーとその娘の物語。父親がリンチで殺されるのを目撃したステラとデジレーは16 歳で母親のアデルを一人残してマラードを去り、ニューオリンズで新しい生活を始める。10年後、デジレーは不幸な結婚生活から逃れる為、黒い肌の娘ジュードを連れて実家に戻り、ステラは母親とデジレーとの家族の絆を断ち、白人と結婚して白い肌の娘ケネディと白人として暮らす。外見が白人でも黒人の血が一滴でも混ざっている者は全て差別の対象とする血の一滴の掟(one-drop rule)。デジレーはありのまま
-
-
Posted by ブクログ
色の薄い黒人。
ほとんど白人にしか見えない双子。
しかし、当時のアメリカはまだまだ白人と黒人の差別がある時代。
デジレーが子供を連れて帰ってきた。
本当は大学へ行きたかったステラ。大学に行くために高校は卒業したかったのに、働かなければならず、中退。悔しい。
2人で逃げ出す。
生まれ育った故郷から逃げだした双子は、始めは一緒に生活をしていたが、
ステラは突然いなくなる。
大人になり子供(ジュード)をれて、デレジーは、マラードへ戻ってくる。
ジュードとリースの恋
トランスセクシャル→性転換症→ 身体的性と性自認が一致しておらず、性別適合手術やホルモン療法などの施術を望む状態、もしくは、そういった手 -
Posted by ブクログ
小さな町を出ていった双子のふたりの半生と、それぞれの娘たちの生きざまを静かな筆致で描いた物語です。彼女たちのその生きた旅路には、派手な事件やどんでん返しがあるわけではありません。ただ、目の前にあるさまざまな差別や偏見と対峙し、ひたすらに自分らしさをつかみとって、握りしめて、生きていこうとする姿だけが描かれています。そしてそれが、静かに確かに、胸を打つのです。
今もなお黒人への差別はアメリカに根強く存在していることは遠い日本でもよく伝わるほどです。けれど時代を遡れば、それはむしろ区別とでもいうような、同じひととしてすらみなさないようなむごさを伴うものでした。そんな時代を生きぬいた彼女たち一人ひ