十三湊のレビュー一覧
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個人が運営するサイトのBBSに集う、年齢も性別も職業も違う5人。
「ここではないどこかから、おいしいものが届く」
管理人の〈さしおか〉が始めた「おいしいもの便」を通じて、それぞれの抱える問題や苦悩に向き合っていく物語です。
「おいしいもの便」に実在の店名や商品名が使われていたり、手紙を遣り取りする場面ではそれぞれの筆跡に応じたフォントが使われていたり、(好意的な意味で)斬新な作品だと感じました。
連作短編ならではのクロスオーバーも随所に仕込まれていて、各章の登場人物のその後が窺い知れることで、物語全体の解像度も高まります。
食べ物の描写はもちろん、全体のコンセプトやシナリオも面白く、特に母娘の確執の氷解を描いた最終盤はウルっとさせられました。 -
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ネタバレ【あらすじ】
箱につまっているのは、 未知の世界のひとかけら
おいしいもの便――それは、ローカルな食べ物を送り合う幸せな宅配便。ドラマのファンサイトに集うネット仲間は、住む場所も世代もさまざまだ。推し活が命の秋田在住のネイリスト。同期の故郷・長崎で恋愛抜きの共同生活をする女性エンジニア。広島での母との同居を機に、卒婚を言い渡された元TVプロデューサー。息苦しさを抱える人々が別の土地のおいしいものを通じて、自分と向き合っていく。人生が愛おしくなる温かい物語。
『結婚というのは成功率の低すぎるミッションなのではないかということ。互いに愛し愛され、思いやりを維持し続けるのも難しいだろう。』
『わたしと同じような選択をした人たちが抱えているのは、既婚者に対する妬みやそねみではなくて、罪悪感だ。』
『結婚しなかった。出産しなかった。子育てに苦労することも、義両親との関係に腐心することもない。どう生きても自由だと頭ではわかっているのに、「するべき苦労をしていない」という後ろ暗さが胸の奥底にある。』
【個人的な感想】
第3話世界の解像度(同期の故郷・長崎で恋愛抜きの共同生活をする2人)の話がグッときた。
エルゴの結婚についての考え方が私と似ていた。
旅行で行ったことある場所の食べ物やお菓子がたくさん出ていて楽しかったが、それだけではなく話自体が面白かった。 -
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社会人となったものの、会社を辞めて静岡の自宅に籠りきりの主人公は24歳の季実。或る日、両親から東京の本郷に独りで下宿屋を営んでいる祖母のもとへ一緒に暮らさないかとの提案を受けて上京します。しかし祖母の家には4歳年上の皆月桃子が同居していました。桃子は出張料理人で、季実は彼女が作る料理が自分の身体にじわじわと伝わるのを感じます。桃子は少しずつ料理の下拵え等をさせながら、季実を出張料理のアシスタントにしていきます。色々な依頼人の自宅等で料理を作っていくのですが、この中で季実が料理を『生きるための前向きな行為だ。気力・体力がないとできない行為でもある』と捉えているのが一判印象に残りました。暫く時間が経ったら読返したい小説でした。
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ネタバレSNSやメールなどデジタルで言葉のやり取りができるようになった現代で、それでも敢えて手書きの文字を必要とする機会を大事にしたいなと思えるエピソードがたくさん。
和菓子屋のメニューだったり、結婚式の招待状の宛名だったり。
サブタイトルに「6つ」とある通り、エピソードは6種類。
短いながら見所と謎解きがきゅっと詰まっていて、実際のページ数よりもボリュームを感じました。
胸をきゅっと掴まれる泣ける話があるのがいい。
読みやすい文章ですらすら読めたのもいい(先が気になって気になって、ぐいぐい読めた)
筆耕のエピソードの中に、主人公の文緒と先生である都築との引っ付くの? 引っ付かないの?なもどかしい恋模様も見られて、文字に関する謎解きも気になりましたが、正直そちらの方が気になって仕方ありませんでした。
文緒の何気ない言葉で、都築先生の態度が辿々しくなったのに、文緒自身にその自覚がないところとか。
互いに得意分野で恋文を書いて、結局渡せてないあの不器用さとすれ違いがとにかく愛おしい。
そう、最後がまさかのすれ違いというか寸止めと言いますか。
え、あんたら両片思いなのに、そういうオチかよと大層もどかしい思いをしました。
そこで止めちゃうのはあんまりではないですかい、十三先生!
これはあれでしょうか、続きありきの話でしょうか。
というか、ないとこちらが死にそう。
文緒の能力を絡めた謎解きももっと読みたいですし、都築先生の離婚の経緯など、まだ読みたいところもありますし、続編熱烈希望。
二人の不器用な恋文がいつか本人に届いて欲しいなと切に願います。
特に都築先生の恋文、凄すぎるだろう……あれを受け取った文緒を自分は早く見たいです。 -
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あー、これこそ”やさしい”お話だなあ。
シリーズ2巻目。
一巻で懸案だった花柚さんと永谷氏の結婚が決まってそのために新たな問題が持ち上がってくる展開。
今巻もお弁当や料理に込めた人への想いがとてもよかった。
その想いの優しさ!
読んでるこちらまでやさしい気持ちになってくるのはもちろん、その優しさに胸がいっぱいになってしまった。
ラスト近く、主人公の慧君が花柚さんの後姿声を掛ける場面で思わず込み上げてくるものがあった。
ああ、いいなあ、こういうの。
ほんとにいい。
多分問題解決に奮闘するだろう次巻も楽しんで読みたい。
それにしてもどの料理もおいしそうで困る。
自分も作りたくなるよ^^ -
Posted by ブクログ
お弁当は、作った人のいないところで開けられるもの。
それは手紙に似ている。
開けられた瞬間を思う…
どんな気持ちで味わうだろうと思う、ちょっと胸が苦しくなるような思いがある。
また、遠く思いを乗せて運ばれるそれは、旅の無事を祈る御守りでもあって…
シリーズ完結編。
料理が出来なかった人、訳あって料理が苦痛になってしまった人に、「肩の力を抜いて、料理を楽しんで」そして健やかに生きて。大切な人を美味しいもので幸せにしてあげて、というメッセージを送る作品でした。
彗太が料理に目覚める物語であり、彗太視線で語られる物語でもあるが、ちどり亭の店主・花柚さんの、幼い頃からの恋が長い時間をかけて、数々の障害を乗り越えて成就する物語でもあった。
花柚さんのこれまでに、古都の旧家に生まれた難しさを思う。
日本が世界に誇れる伝統文化を数多く残す京都。
自分たちが国の文化と思って大切にしているものを、人生を掛けて守っている人たちがいるのだなあ…と、そっと感謝。
15.閉塞成冬(そらさむく ふゆとなる)、「冷や飯食い」と彗星の夜
冷えた白飯をなんとか美味しく食べてもらうには?
16.麋角解(さわしか つのおる)、松風焼きと年の暮れ
縁起ものを送ることは、相手の幸せを願うこと。
17.東風解凍(はるかぜ こおりとく)、脅迫状と味卵
ちどり亭のブログに「ブログをやめろ」という脅しのメッセージが届くようになる。
意外な犯人と、花柚さんが差し伸べた手とは?
18.桜始開(さくら はじめてひらく)、サムシングパープルと幸福な日
家のための結婚式とは別に、親しい人たちを招いて、結婚報告を兼ねた食事会を開く。
みんなのために作る、お店の料理と、顔が見える「だれか」のために作る料理は違う。
【番外編】
16歳の永谷氏と、中学生の花柚さん、兄の公篤さん。
大人になるための試練が始まる少し前のこと。