柴那典のレビュー一覧
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バブル崩壊とその後の失われた20年、インターネットの登場、大きく速いスピードで価値観が変わり多様化していった平成において、「歌は世につれ、世は歌につれ」の言葉通りに、時代を反映したミュージックシーン、音楽産業の変遷や時代背景を追いながら、美空ひばりから米津玄師まで平成にヒットした30 曲をPick upし、筆者独特の視点で時代を切り取り、どのようにして時代の空気と共振したのか、そのヒットの必然性や意味付けをしながら、平成という時代を振り返る渾身の1冊。ヒット曲を通して、自分にとっての平成とはどういう時代だったのかを考えることも面白いと思う。
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ヒット曲がでなくなって久しい。そんな音楽業界の現状をヒットチャート(オリコン)、テレビの衰退、フェスの人気、ライブの重要性、J-POPの現在などを含めて様々な音楽関係者(小室哲哉、いきものがかりに水野氏、その他)を絡めて書いた本である。
第1章 ヒットなき時代の音楽の行方では、現状までの分析で小室哲哉が宇多田ヒカルの登場でどのように感じたか、カラオケやAKBの手法まで触れている。
第2章 ヒットチャートに何が起こったかでは、オリコンがいかにして影響力をもったか、ビルボードとの比較などでも載せている。
第3章 変わるテレビと音楽の関係では、マスメディアの王様のテレビが力を失い、しかし -
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脱稿があと2か月遅ければ,「ピコ太郎のPPAPや恋ダンスがヒットした背景も書き加えられたのに~」という著者の嘆きが聞こえてきそうではあるが,全体的に2010年代における日本の音楽市場が,その10年前と比較して変容しているプロセスは理解できた。
前半の第1章~第3章は,ある程度予想できた内容の展開だった。とはいえ,改めて1990年代という時代を振り返ってみると,日本経済全体においてはバブル崩壊から構造不況期に突入し,「失われた20年」の前半期に位置するが,こと国内の音楽産業に関しては,むしろバブル絶頂期を迎えていたため,現代日本経済史の世界においては,往時の「内需」にもたらすサービス業の意 -
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ボーカロイド『初音ミク』が音楽業界、また世界に与えた影響に関して書かれた本。
初音ミクを題材にしたただのイロモノ本としてではなく、丁寧に取材を重ねた新世代の音楽を見つめた本。音楽業界を変えた大きな流れ『サマー・オブ・ラブ』の第三の波として電子音楽の歌姫『初音ミク』を位置づける。2000年代から本格化したインターネットの普及による、情報革命と音楽業界の関係性やアマチュアクリエイターの勃興など、新しい時代の音楽に関しても触れている。過去のヒッピー文化やテクノ音楽が音楽の新たな『遊び場』を人々に提供しブームなり、それが文化になった背景を丁寧に解説する。そして、そのブームと文化の現象と初音ミクの関連 -
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今や日本を代表する歌姫となった、初音ミク。
彼女はどのようにして生まれ、どこに行こうとしているのか。
この本はその初音ミクを、音楽的側面から見た初の本と言える。
ボーカロイドが開発されたその経緯や、ニコ動でのブレイクしていく様子。
それをきっかけにして様々な作曲家が生まれ、ついにはパリでオペラ公演をするに至るまで、非常に多くの人々にインタヴューが載せられている。
一読して感じたのは、この初音ミクという現象・・・日本のあらゆる物に神がやどるという思想や、日本の先端的音楽技術、様々なキャラクターを生み出し育てるという文化的土壌が背景にあったことが、単なる流行りではない、一つの新しい世界を生み -
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「世界を変えた」のが前提で、それがなぜかと問う本。僕のあずかり知らぬところで、たしかに世界は変わっていた。
誰が音楽を殺すのか。DTMとインターネットで音楽は死ぬかと思われたが、死ななかった、というより新たな生命を手に入れた。オタク論でもボーカロイドの技術の話でもなく、ミュージックシーンに起こったムーブメントを、ボカロ誕生どころか、ヒッピー時代から辿っていく本。
ネギを振らせて遊んでいるうちに、とてつもないことになっていた。三回目のサマー・オブ・ラブ。ボカロPは必ずしも過去のミュージックシーンを気にしていない人も多いだろうけれど、こうしてつなげてみるときっとつながっている気がする。とはいえ僕は -
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CDの売り上げ=ヒットという時代が終わり、ヒット曲が見えづらくなったことを描いた本。取り上げられている時代は1990年代から、本書の発行された2016年まで。
全部で6章ある中で、「ヒットの崩壊」を描いた、第1章と第2章がうまく描けている。
書かれていることを一言でいえば、CDが売れなくなり、ライブで稼ぐ時代になっているということである。1990年代のJ-POP黄金時代を経験した音楽ファンであれば、みな肌で感じていることだろう。この時代を知る音楽愛好家であれば、あえて書かれなくても、既に知っていることなので、新しい発見はない。
1990年代を経験していない世代は勉強にはなるだろうが、実感 -