あらすじ
激変する音楽業界、「国民的ヒット曲」はもう生まれないのか? 小室哲哉はどのように「ヒット」を生み出してきたのか? なぜ「超大型音楽番組」が急増したのか? 「スポティファイ」日本上陸は何を変えるのか? 「ヒット」という得体の知れない現象から、エンタメとカルチャー「激動の時代」の一大潮流を解き明かす。テレビが変わる、ライブが変わる、ビジネスが変わる。業界を一変させた新しい「ヒットの方程式」とは──。
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ヒット作品と呼ばれるものがなくなった理由。
良い音楽がなくなったわけではなく、SNSやWEBの普及により、個々の「好き」が細分化されたから。
昔は「みんなが好き」のみんなは言葉通りだったけど今は「〇〇のコミュニティのみんなが好き」というように、あらゆるものの好みが細分化してる
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いつから僕たちはCDが売れることをヒットと勘違いしていたんだろう。テレビの音楽番組がフェスになってるっていう著者の指摘は慧眼だ。ライブに行かない人には音楽のヒットが見えづらい世の中ではある。
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ここでいう「ヒット」とは、音楽(業界)における「ヒット」のこと。
最近の音楽業界のことはよくわかりませんが、なぜ、よくわからなくなったのかが、よくわかりました。
CDのような「モノ」から、ライブのような「コト」(経験)に、消費者の関心やニーズが移っている、というのは、データからも正しそうです。
このことは、この本の中にある、いきものがかりの水野良樹のコメント「歌は、聞かれることよりも、歌われることに、より意味がある」にも符合していると思いますし。
音楽のあり方は変わっても、自分にとって価値のある音楽は存在していますし、また、他の人にとって価値のある音楽も存在していますので、そのような音楽が存在する限り、音楽業界は、形を変えながらも、意味のある存在であり続けるのだと思います。
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痛快で分かりやすい。音楽産業の今がうまく説明されている。CDが売れなくなって久しいけど、ライブやコンサートは活況を呈している。
かつてコンサートはレコードを売るためのプロモーションだったけど。今は逆だもんね。売れた曲とヒット曲は違うってことなんだ。かつては「みんなに愛される曲」でなければビジネスにならなかったけど、今は一部のマニアに認められれば、それでいける。ただし熱狂的に受け入れらなくちゃならないけど。
BABYMETALがまさにそうだよなぁ。
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人々の価値観の抜本的な変化によってヒット曲が生まれにくくなった。
「モノ」から「体験」へと、消費の軸足が移り変わっていったこと…SNSの普及により流行が局所的に生じるようになったこと…などにより過去のヒットの方程式が使えなくなっている。
音楽ビジネスを中心に話が展開していくが、人々を取り巻く環境の変化や嗜好の変化、消費動向の行く末など、こと音楽に限った話ではない。
人がモノを消費するという行為、その消費を介したムーブメント、グローバルな流れなど、どんな業界においても参考になる「ヒット」論である。
様々な角度からの考察、その視点および解釈についてもよくできている。
良書である。
ヒットを正体
ヒットの崩壊という、センセーショナルなたいとるですが、ヒット正体を実感できる濃い内容でした。
音楽に携わる方はもちろん、何かを生み出し世に問うという方は是非読んでほしい一冊。
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元ロキノンライターによる日本の音楽市場およびリスナーに関する分析本。様々な業界人へのインタビューや書物からの引用を交えながら、70年代から2016年時点までの市場の変化を的確に検証していると思う。特定のジャンルやカテゴリに偏ることなく、歌謡曲・演歌からボカロ・アイドルまで幅広く押さえた上での考察なのが良い。「ヒット」とは何なのか、その正体を感じ取ることができるはず。音楽ビジネスに興味がある人はもちろん、上を目指して必死に頑張っているバンドマンや地下アイドルなどの若者たちにとっても有益な一冊になるだろう。
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TVでランキング形式の歌番組を観て誰もが同じようにヒット曲を知っていた時代から、音楽の聴き方楽しみ方がフェスのような体験・参加型に変わっただけで、音楽を聴かなくなったわけではない。また、カラオケで歌われる曲というのは最新の曲ではなく、最近になってカバーされたりと、長く支持される曲がある。カラオケに行って、親が好きだったとか、友だちがよく歌っていたと、すっかり忘れていた曲が登場して、驚いたことを思い出しました。
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ヒット曲がでなくなって久しい。そんな音楽業界の現状をヒットチャート(オリコン)、テレビの衰退、フェスの人気、ライブの重要性、J-POPの現在などを含めて様々な音楽関係者(小室哲哉、いきものがかりに水野氏、その他)を絡めて書いた本である。
第1章 ヒットなき時代の音楽の行方では、現状までの分析で小室哲哉が宇多田ヒカルの登場でどのように感じたか、カラオケやAKBの手法まで触れている。
第2章 ヒットチャートに何が起こったかでは、オリコンがいかにして影響力をもったか、ビルボードとの比較などでも載せている。
第3章 変わるテレビと音楽の関係では、マスメディアの王様のテレビが力を失い、しかしながらフェスでは存在感があるという現在のこと。
第4章 ライブ市場は拡大を続けるでは、ライブ市場がまだ続いていることを触れている。
第5章 J-POPの可能性~輸入から輸出へでは、洋楽の影響を受けていない新しい世代の人たちにも焦点を当てながら、独自の進化をしている稀有な日本の音楽に焦点を当てている。
第6章 音楽の未来、ヒットの未来では、グローバル化する音楽業界について述べている。
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脱稿があと2か月遅ければ,「ピコ太郎のPPAPや恋ダンスがヒットした背景も書き加えられたのに~」という著者の嘆きが聞こえてきそうではあるが,全体的に2010年代における日本の音楽市場が,その10年前と比較して変容しているプロセスは理解できた。
前半の第1章~第3章は,ある程度予想できた内容の展開だった。とはいえ,改めて1990年代という時代を振り返ってみると,日本経済全体においてはバブル崩壊から構造不況期に突入し,「失われた20年」の前半期に位置するが,こと国内の音楽産業に関しては,むしろバブル絶頂期を迎えていたため,現代日本経済史の世界においては,往時の「内需」にもたらすサービス業の意義に対して,再考を促しても良いかもしれない。
これに対して,第4章~第6章は,音楽ジャーナリストである著者ならではの見解。とくに,小室哲哉,いきものがかり・水野良樹をはじめ,アーティストや制作現場に携わる人々の声を取材で採り入れた点は,興味深く感じられた。その反面,結論部分は,音楽業界に対する彼ら自身の展望に委ねてしまい,著者としての主張は,残念ながら,伝わりにくい。
編集や校正に対する見解を述べておくと,著者は「結果,」という言葉を冒頭で述べる癖を有する。話し言葉ではよく用いられるものの,書き言葉の接続詞としては,やはり違和感を覚えざるをえない。また,近年の音楽シーンを表す用語として,「バズる」や「ボーカロイド(ボカロ)」をキーワードとして表しているが,まさに近年の音楽に縁のない読者にとっては,言葉のソースが理解できないかもしれない。読者のターゲットとして「歌謡曲全盛世代」をも意識しているのであれば,もう少し丁寧な語句説明があっても然るべきだったのではないだろうか?
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現在の「音楽シーンの盛り上がり」と、「音楽不況」という食い違いを「ヒットの変遷」から読み解き、日本の音楽の変容と、これからの可能性を詳述した一冊。
多様なヒットのデータと、インタビューや様々な記事の情報を丁寧に積み重ねた考察は、なるほどと思わされる。
やや物足りなかったのは、「日本のポピュラー音楽」についてはとても深く書かれまとまっているが、他のカルチャーへの展開や普遍的なトレンドの発生、ひいては社会全体まで見通せるまでには至らなかったことだろうか。
(もっとも、そんなのは読む側として求めすぎかもしれないが)
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日本の音楽が売れなくなって、ライブ中心でまた盛り上がってきているという話。人々の価値観の変化の背景も説明している。
一人ひとりフォロワーを増やしていく時代。
体験に金を払う。
リアルタイムでの共感が大切。テレビを見ながらスマホを使うのがそれにあたる。
東日本大震災で省エネ意識からライブでLEDライトを使うように転換。
JPOPのみを聞く純日本がヒット。世界に出ていく時代に。
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新書の中には、特段の根拠もなく著者が思ったことだけが書かれている本もあるのだけれど、この本はきちんと取材すべきところに取材をした上で書かれているので、とても納得感がある。ヒットチャートという概念を持たしつつも、今となっては時代遅れとなっているオリコン、その昔のCD全盛時代の恩恵を教授した小室哲哉、2000年代の過渡期にスルッとでてきたいきものがかりなど、取材力って大事だなぁと思える良書。
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CDの売り上げ=ヒットという時代が終わり、ヒット曲が見えづらくなったことを描いた本。取り上げられている時代は1990年代から、本書の発行された2016年まで。
全部で6章ある中で、「ヒットの崩壊」を描いた、第1章と第2章がうまく描けている。
書かれていることを一言でいえば、CDが売れなくなり、ライブで稼ぐ時代になっているということである。1990年代のJ-POP黄金時代を経験した音楽ファンであれば、みな肌で感じていることだろう。この時代を知る音楽愛好家であれば、あえて書かれなくても、既に知っていることなので、新しい発見はない。
1990年代を経験していない世代は勉強にはなるだろうが、実感が伴わないので面白味はないだろう。
1990年代を経験した世代で、「なぜCDが売れなくなったのか知りたい」という人がいちばん楽しめるのではないだろうか。
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2010年代の音楽シーンを多角的に読み解く論著。著者は元々ロッキング・オン社に籍を置いていたようだが、シーン全方位にアンテナを張り巡らしており、2016年当時の状況を広く浅く網羅している。全てに対し肯定的なスタンスの為、読み物として少々面白みに欠けるのが難点か。供給者側はCD販売から興行で利益を上げる方向にシフトしたが、チケット料金の高額化や、ホールやライブハウスの閉館が相次ぐ中、SNSやサブスクとの連携は今後より一層顕著になりそう。90年代の音楽シーンにドップリ浸かっていた私は今だ所有欲が体験欲を勝る。
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音楽業界の90年代、2000,2010年代の変遷をベースにヒットというものはどういったものだったか考える一冊。
昔のCD売って音楽を消費した時代から、フェスへ行く、ストリーミングミュージックなど体験、接触する時代に変わってきていることがよくわかる。
決して昔が良かった訳ではなく(CDが売れなくなったという点では悪くなっているが)、日本の音楽を変化していると感じる。
本に記載の通り、JーPOPなる分野が独自色を出すチャンスではある。
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本文中で取り上げられていることは、出てから2年経った今でも納得感を感じる。CD不況のこと、特典商法のことなどを多面的に書いているのも好印象。
最後の辺りでストリーミングサービスについて触れているが、これを読んでいたら興味が湧いてきた。何か試すのもありかと思う。
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1998年にCDの売り上げが過去最高となった。しかし、それ以降右肩下がり。音楽産業としてCDを売る時代は終わり、イベント・フェス・コンサート等への参加型にシフトしている。みんな音楽を聴かなくなったわけではない。所有するものから経験するものに変わってきた。だからCD売上のヒットチャートは意味がなくなりつつある。CDが売れた曲イコール、ヒット曲ではない。世代間の嗜好も今後は広がる傾向か。
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音楽がヒットするという意味合いは時代と共に大きく変わりつつある
CDの売り上げは減少しているが、ライブは活況でダウンロードや定額配信を考慮すると音楽はむしろ盛況である。即ちCDの販売枚数という尺度が時代に合っていない。
テレビの音楽番組もフェスを意識した長時間番組が増え、SNSなどを通じ一方的な配信から双方向的な体験の共有を生み出そうとしている。
日本の音楽は独自の進化をとげたものが現れ始めているが、まだ世界の主流には遠い。以前はネットの普及により音楽は多数の狭い世界:ロングテール化すると考えられていたが、現在ではむしろSNSなどによるブロックバスター戦略から世界規模の爆発的なヒットが起きており、世界のトップは以前にも増して大規模な収益を上げられる。
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芳しいものではなかった 怒髪天 「デビューさいち最遅」で武道館公演を成功させた 相乗効果で凄い波及力を持っていたんで 刷り込み 曲の出口 人々の興味は細分化され、セグメント化されてきている。 共通体験 人間の対決 人々の耳目を集めるランキング対決 オリコンランキングは二重の意味でハッキングされたのだ。 宗教とは投票に近い 膾炙かいしゃ 「入場規制」が人気のバロメーター 凋落 相互扶助の精神が少しずつ薄らいできたのだ かつてあった「お茶の間」というイメージは解体された カルチャー全体に対する興味が細分化した アーキテクチャ=構造 バズる パパイヤ鈴木 ファレル・ウィリアムス 三代目 ランニングマン 10年代のすうせい趨勢だ 音楽は本来「コンテンツ」ではなく「コミュニケーション」だ 地殻変動はいつ頃にあったのか 招聘 かくせい隔世の感 ノスタルジーと諦念の入り混じったような文学的な情景を描き出していた 紙幅が足りないので大幅に端折るが イエローサブマリン音頭 メタルダンスユニット・ベイビーメタル 「カレーうどん」としての発想 上田剛士 ヒャダイン 中田ヤスタカ 変化をいと厭い「ガラパゴス化」していた スポティファイ アデル25 ロングテールとモンスターヘッドが二極化した時代 「右向け右」の数百人ではなくオンターゲットでしっかりと届けることを目指しています。 健全な「ミドルボディ」を作る ゲゲゲの女房 一番強いのは『歌う』ということ 島宇宙化 百花繚乱 旧態依然 新開誠 ローカルな多様性 201610柴那典
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家族で皆で1台のテレビを囲み、マスメディアが物量戦で仕掛けた「ヒット曲」を楽しむ。そんな古き良き次代は終わりを告げ、すべての人々はそれぞれの「島宇宙」で、望んだ人々と望んだ楽曲を消費する時代になった。まさに「ヒットの崩壊」だ。インターネット(SNS)の発達がそれを後押ししている。
いつでもアーティストの映像や音源に触れることができるようになったからこそ、ライブやフェスといった「場」が重視されるようになり、地道に食べていけるアーティストが増えたというのは面白かった。またテレビは「場」が重視される風潮を敏感に感じ取り、2011年からは長時間音楽番組を仕掛けるようなった、とある。
ヒットは崩壊したけれど、音楽業界が崩壊したわけではなく「いきものがかり」に代表されるような「純国産J-POP」が、誰もが歌えるような「ヒット」を生み出した。また日本的な、文化をハイブリッドする力は「BABYMETAL」というモンスターバンドを排出した。
ただの業界展望本ではなく、小室哲哉など時代のトップランナーや裏方たちにきちんと取材を重ね、それをうまく結節させながら、明るい未来を指し示している。自分は音楽業界には詳しくないが、爽やかな読後感があった。
本書のタイトルは担当編集者が呟いたフレーズからきているらしいが、こうしたキラーワードをさらりと口にできる人になりたいなあ。
Posted by ブクログ
現代の音楽を取り巻く状況が良くわかった。「CDが売れない。配信もパッとしない。」=「音楽業界はだめ」ではないということ。ライブやフェスなどは活況で、現在はそちらがアーティストの収益のメインになりつつあること。モンスターヘッドとロングテール、ミドルボディの話。時代は変わったけれど「音楽業界」が衰退するのではないとわかり安心した。時代とともに音楽との付き合い方、アーティストのあり方もまた変化してゆくだけだ。
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AKBがオリコンヒットチャートをすべて席巻。大ヒットなのにみんなの知ってる歌がへっている。そんなヒットの崩壊といいう状況を分析。 といってもヒットがないというのをインタネットのせいにしてるわけではなく、旧来のヒットといまのヒットの違いを指摘。あたらしい時代のヒットというべき現象を数多く紹介。
旧来、ヒットといえばオリコンチャート。オリコンはあくまでもCDの売上げをカウントしておりいわば所有のヒットチャート。しかしいまやCDを売らないアーティスト、ニコニコ、ユーチューブ、からおけ、フェスなどいろんな形で音楽は人々に接している。所有のヒットから経験としてのヒット曲におおきくかわってきてる。
そしてかつてはインターネットによってロングテールが力をもつといわれていたが、実際にはモンスターヘッドともいうべきブロックバスター現象がエンタメを席巻。
インターネット時代のヒットとはなにか?ポスト所有時代のヒットはなにか?をかんがえるためのカタログ的な本。
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章 ヒットなき時代の音楽の行方
第2章 ヒットチャートに何が起こったか
第3章 変わるテレビと音楽の関係
第4章 ライブ市場は拡大を続ける
第5章 J-POPの可能性~輸入から輸出へ
第6章 音楽の未来、ヒットの未来
<内容>
音楽を聞かなくなった。カラオケにも行かない。テレビの音楽番組も見ないし、CDすら買わない。むろん音楽配信も。一方、車を買い替えたらナビではCDは聞けるが、録音が出来ず、i-podかUSBメモリーからなら多くの音源を聞くことができるようになっていた。
この本を読むと、最近の音楽業界の激変が身近にわかる。確かに誰もが口ずさめるヒット曲はなくなった。生徒の話を聴いていると「フェス」という言葉よく出て来る。どうも、「コピー」の時代から「ライブ」の時代(つまり、「聴く」から「参加」)へと変わってきているのだと。それ以降は、あまり興味がわかなかったので、ざっと読んだが、著者は日本の音楽の未来に悲観はしていないようだ。
様々な分野で「ニッチ」化している現在、音楽も大衆のものから個人のものへと変化したし、それが正しいだと思う。