黒岩重吾のレビュー一覧

  • 天風の彩王(下)藤原不比等
    (上巻から続く)不比等の運が開かれるきっかけは草壁皇太子の近臣に就けたことにある。彼の学識がものを言ったのだ。それはのちに権力を手中にすることになる鵜野讚良皇后(持統天皇)に接近できることを意味する。不比等のたくみな人心掌握術によって皇后の寵愛を受けることに成功すると、彼女のためにその卓越した能力を...続きを読む
  • 落日の王子 蘇我入鹿(下)
    (上巻から続く)それはすなわち唐にならった律令制にもとづく中央集権国家化である。入鹿の苦悩は、大王家の血筋ではないが故に自分が絶対に大王にはなれないという現実である。唐では皇帝がすべての権力を握り、政を担うからだ。その問題を解決してくれたのが高句麗のクーデターである。一介の将軍が王を殺害し、中枢にい...続きを読む
  • 天の川の太陽(上)
    日本最初の大規模内戦、壬申の乱を描いた古代歴史小説。

    主人公は勝者となった大海人皇子(天武天皇)。権力者としても武人としても策略家としても才能豊か。さらに部下にも女にも優しく、慕われている。歴史上の人物をここまで完璧にしてしまうのはやり過ぎな気がするが、そのおかげでストーリーは非常にわかりやすい。...続きを読む
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 大和の巻

    古代日本史を舞台にした物語

    当時の歴史的背景に基づいた、ヤマトタケルのスリルある活躍が楽しめる。大和での政治的な争いに巻き込まれながらもなんとか切りぬける姿に共感できる。当時はまだ大和政権が脆弱な勢力基盤の上に成り立つ歴史的背景も描かれている。邪馬台国の東遷により生まれた大和政権との仮説を背景としており歴史好きにはたまらないス...続きを読む
  • 天の川の太陽(下)
    いよいよ大海人は吉野に逃れ、美濃・伊勢・尾張の豪族や飛鳥や河内の官人を動員し、来るべき日に向けて着々と準備を進めます。美濃での動員が近江側に知られ、大海人は吉野を脱出し、叛乱の烽火をあげます。不破と飛鳥で先端が切られ、ついに大海人は勝利し、大友の首級をあげます。
    勝利によって皆が喜びの中、大海人の舎...続きを読む
  • 天の川の太陽(下)
    まず、壬申の乱の記紀の少しの記述からここまでの物語に仕上げるその想像力がすばらしい。小説とはそういうものだといわれたらそれまでであるが、にしても天智天皇と天武天皇の関係を時代背景(と思われる状況)を丁寧に辿りながら、額田王や讃良姫等の恋物語も混ぜながら単なる歴史書に留まらない人間関係の物語として昇華...続きを読む
  • 天の川の太陽(上)
    大海人皇子を主人公に壬申の乱を描く長編小説の前半です。
    この巻では658年の有馬皇子処刑から、天智天皇が亡くなる672年までの物語が語られます。
    記紀や万葉集、藤原家伝を相当に読み込み、なおかつ独自の見解も含め、話を大きく盛り上げていきます。
    当初は皇太弟として次期天皇の有力候補とされ、兄の中大兄皇...続きを読む
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 東征の巻(上)
    九州の熊襲を征討した倭建(ヤマトタケル)は大和に戻った。愛する弟橘媛に若建が生まれ、しばし平穏な日々を送ったのも束の間、倭国統一を目指す父・オシロワケ王(景行帝)は、三輪王朝に服従しない東の国々を討つことを建に命じる。東征を前に、叔母で巫女王の倭姫王は、神宝の剣と、火打石、薬を授け、建を励ました。伊...続きを読む
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 終焉の巻
    大和王権の権威を東国に示すため東征の旅の途にある倭建(ヤマトタケル)は、駿河を従え、最大の目的地である毛野国に迫る。しかし房総半島に向かう途中、愛する妃・弟橘媛が海神の犠牲となって命を絶つ。弟橘媛の死と暗躍する大和の敵対勢力を前に、東征の意味を自問する建は、戦うことの無意味さを悟り、自分のために生き...続きを読む
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 東征の巻(下)
    大和に残してきた弟橘媛を想い、女人を近づけないと決意していた倭建だったが、宮簀媛の誘惑には抗しきれず、次第にその虜となっていく。東征の任務を忘れ、尾張にとどまる建に、大和は疑いの目を向ける。建の危機に気づいた弟橘媛は、建を宮簀媛の魔性から解き放つべく、巫女として尾張に下った。弟橘媛は果たして建を救う...続きを読む
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 大和の巻
    大和王朝の王子でありながら、権力よりも自由を求めて生きようとする若き英雄、倭男具那。重臣たちの人望を集めながらも、その勇猛さゆえに、父王、兄王子から疎まれ、王権を奪取しようとする士族たちに命を狙われる。台頭した大和王朝と、それに反発する士族たちの争いが繰り広げられる激動の四世紀末、数奇な宿命を背負い...続きを読む
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 西戦の巻(上)
    大和王朝の王子であり、勇猛にして心優しき英雄、倭男具那。彼は女王・倭姫王の託宣に従い、熊襲と呼ばれ、九州で猛威をふるう狗奴国との戦いに出陣することを決心する。西を目指す男具那、その途には、狗奴国の勢力の北上にともなって各地で蜂起する賊たちが立ちはだかる。そして、女人剣士・羽女らを軍に加え、宇沙地方を...続きを読む
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 西戦の巻(下)
    強大な賊・鼻垂との激戦に勝利した倭男具那は、束の間の休息ののち、宇沙国を後にし、狗奴国を目指して軍を進める。熊襲の勢力下に踏み入った男具那たちに次々に襲いかかる賊、壮絶な戦の中で、男具那にとって大切な命も失われていく。そして、ついに熊襲の首長、川上タケルの主力軍と対峙した時、男具那は、自らその最大の...続きを読む
  • 天風の彩王(上)藤原不比等
    天智と中臣鎌足が築いた近江朝は壬申の乱により大海人皇子(後の天武天皇)に倒される。鎌足の子・不比等は山科で戦乱を逃れたが、中臣氏を疎む天武は、不比等に出世の機会を与えなかった。だが彼は、知謀と強運を武器に昇進をとげ、律令国家の基礎を作っていく。古代史小説の第一人者が描く凄烈な男の実像。
  • 中大兄皇子伝 下
    既得権益に淫する輩と国内で対峙し、外交では唐・新羅の侵略を畏れる。一体、真の敵は誰なのか?人望高まる弟に嫉妬し、妹に肉欲を覚える権力者の胸中には、孤独感と猜疑心が膨らんでいった。そして最大の理解者・中臣鎌足がこの世を去った後、改新の英雄の体にも異変が―。歴史巨編、ついに終末へ。
  • 中大兄皇子伝 上
    吾の裡には鬼が棲みついている!新しい律令国家を建設するために必要なことは「革命」。それを邪魔する者は心を鬼にして殺さなければならない、と若き皇子は、蘇我入鹿の首に刀を突き刺した―。数々の禁忌を打ち破り、大化の改新の立役者となった中大兄皇子。その常人離れした野望を描いた歴史大作。
  • 落日の王子 蘇我入鹿(上)
    政治的支配者たる大王と祭祀の支配者たる皇帝の権威を併せもつ座に登ろうとする蘇我入鹿。その野望が中大兄息子=藤原鎌足による大化の改新に脆くも潰え去るまで
  • 落日の王子 蘇我入鹿(下)
    政治的支配者たる大王と祭祀の支配者たる皇帝の権威を併せもつ座に登ろうとする蘇我入鹿。その野望が中大兄息子=藤原鎌足による大化の改新に脆くも潰え去るまで
  • 落日の王子 蘇我入鹿(上)
    歴史の教科書だと1行で終わってしまう「大化の改新」。
    この話で、悪者のようになっている蘇我入鹿の方が、実は高貴だったと知り、飛鳥時代に興味を持ち今では歴史の中でも大好きな時代になりました。蘇我入鹿がとてもカッコイイです。知識もあり真っ直ぐな人だったのかもしれません・・。
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 大和の巻
    久々に読み直したけれど、やっぱりおもしろかった。
    出る杭は打たれる、じゃないけれど、ヤマトタケル自身は王になる野望もないし、逆に王となる人を支えたいと思っているのに、周りはそうは思わない。頭もよく、腕も立ち、何より人に好かれる、そこがある人たちにとってはしゃくに障る、気にくわない。この本では、まだま...続きを読む