黒岩重吾のレビュー一覧

  • 天の川の太陽(上)

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    667年の12月に、中大兄皇子は、翌年即位する旨を告げた。即位と同時に、これまでの大王の呼称を天皇と変更する旨を宣言した。

    壬申の乱で大海人皇子が大勝した原因の最大理由は、大海人皇子と地方豪族出身の舎人達の人間関係の緊密さにある。それにより、豪族である郡司が総て大海人皇子に味方したからだ。

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    2025年03月31日
  • 落日の王子 蘇我入鹿(下)

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    644年、鎌足は三島(大阪府高槻市三島江か?)にいて天下の情勢を模索していた。

    そういえば、高槻の古墳横の資料館に鎌足の烏帽子があったな。
    、、、
    面白かった!蘇我入鹿もいろいろ政治を考えて、まあ、独裁者を夢見ちゃったのかな。皇極天皇との関係は本当なのかな?どこまでが史実なのかがわからん。

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    2025年02月22日
  • 飛田ホテル

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    黒岩重吾の作品。
    主に西成を舞台にした短編集で、特に表題作が印象的。

    表題作は、かつての釜ヶ崎を思わせる場所にある「飛田ホテル」に暮らす人々の物語。さまざまな事情を抱えた人たちが住むこのホテルに、刑期を終えた主人公が戻って来るが、愛した人は、もういなくなっている…。

    他の短編も、それぞれに登場人物たちの哀しい過去や現在が描かれている。みな救われないが、それでも懸命に生きている。

    当時の時代もあって、かなり心重い印象。これも少し前の日本。いや、現在でもあるかもしれない。忘れないようにしたい。

    ちくま文庫360ページ

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    2024年11月03日
  • 闇の左大臣 石上朝臣麻呂

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    石上麻呂の青年期から晩年までの話。

    蘇我氏に敗れた物部一族は朝廷からも見捨てられ、隠れるように最下層に暮らす中、麻呂は下級官人とはいえ物部として名乗ることができたのは石上物部で蘇我氏との戦いで中立の立場を取っていたから。

    武術の腕を見込まれて、大友皇子の武術師範となり、壬申の乱の最期の時まで皇子とともにする。
    自害した皇子の首を持って天武のところへ行き、新王朝に仕えることとなる。

    話の中に再三出てくる物部には裏切り者の血が流れているという言葉が、それを象徴するように麻呂の行動に重なる。

    同時代でいえば、藤原不比等がいる。
    歳は違えど、この2人の出世していく様子はそれぞれ違って面白い。

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    2024年09月26日
  • 新装版 古代史への旅

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    黒岩重吾さんによる古代史解説。歴史好きは読むべし! 邪馬台国のことから神武東征、出雲の話、実在がほぼ確かな継体以降の天皇や、蘇我氏、藤原氏とのかかわりなど、捏造・創作が多いとされる記紀の記載をおさえつつ、その他の史料を読み込んで独自の解釈を行っている。それがまた素人の自分には極めて信憑性が高いものとして入ってくる。学会などでは否定される説もある様だが、それも本当のところはわからない状況での推論なので、案外黒岩氏が正しいこともあったりするかもしれない。いずれにせよ、学校の歴史教科書の無機質な項目の羅列ではさっぱり理解できなかった歴史の流れが、黒岩氏によって血を吹き込まれて目の前に現れてくると、生

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    2025年12月03日
  • 天風の彩王(下)藤原不比等

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    (上巻から続く)不比等の運が開かれるきっかけは草壁皇太子の近臣に就けたことにある。彼の学識がものを言ったのだ。それはのちに権力を手中にすることになる鵜野讚良皇后(持統天皇)に接近できることを意味する。不比等のたくみな人心掌握術によって皇后の寵愛を受けることに成功すると、彼女のためにその卓越した能力を発揮していく。まず皇后の孫・軽皇子(文武天皇)を皇位に就ける政界工作に成功すると、軽皇子からも信頼を勝ち取り、皇子に娘を入内させることにも成功。文武帝が若くして崩御すると、文武の子・首皇子(聖武天皇)を成人後に即位させるために、文武の母・阿倍皇女(元明天皇)を擁立する。そして首皇子にも娘・光明子を入

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    2023年10月02日
  • 落日の王子 蘇我入鹿(下)

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    (上巻から続く)それはすなわち唐にならった律令制にもとづく中央集権国家化である。入鹿の苦悩は、大王家の血筋ではないが故に自分が絶対に大王にはなれないという現実である。唐では皇帝がすべての権力を握り、政を担うからだ。その問題を解決してくれたのが高句麗のクーデターである。一介の将軍が王を殺害し、中枢にいた貴族を皆殺しにして権力を簒奪する。入鹿に「これこそ我が道!」と気づかせる一件であった。

    しかし一方で稀代の策謀家が虎視眈々と機会をうかがっていた。支那の兵法を知悉する男・中臣鎌子である。鎌子は入鹿に悟られることなく、水面下で着々と駒を進め、巨大なる敵を手中に囲い込んでいく。そうとは知らない入鹿は

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    2023年10月02日
  • 天の川の太陽(上)

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    日本最初の大規模内戦、壬申の乱を描いた古代歴史小説。

    主人公は勝者となった大海人皇子(天武天皇)。権力者としても武人としても策略家としても才能豊か。さらに部下にも女にも優しく、慕われている。歴史上の人物をここまで完璧にしてしまうのはやり過ぎな気がするが、そのおかげでストーリーは非常にわかりやすい。

    大化の改新を経て、倭国のトップとなった中大兄皇子は異常な猜疑心の持ち主。自分の敵になり得る者を次々と葬る。しかも、老いるにつれて、実子の大友皇子への愛情を隠そうとしなくなる。大海人皇子はそんな兄に対して、自分の才能や野心を目立たせぬよう細心の注意を払う。その一方で、朝鮮と唐との争いに倭国は巻き込

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    2020年10月17日
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 大和の巻

    購入済み

    古代日本史を舞台にした物語

    当時の歴史的背景に基づいた、ヤマトタケルのスリルある活躍が楽しめる。大和での政治的な争いに巻き込まれながらもなんとか切りぬける姿に共感できる。当時はまだ大和政権が脆弱な勢力基盤の上に成り立つ歴史的背景も描かれている。邪馬台国の東遷により生まれた大和政権との仮説を背景としており歴史好きにはたまらないストーリーとなっている。

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    2020年06月10日
  • 天の川の太陽(下)

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    いよいよ大海人は吉野に逃れ、美濃・伊勢・尾張の豪族や飛鳥や河内の官人を動員し、来るべき日に向けて着々と準備を進めます。美濃での動員が近江側に知られ、大海人は吉野を脱出し、叛乱の烽火をあげます。不破と飛鳥で先端が切られ、ついに大海人は勝利し、大友の首級をあげます。
    勝利によって皆が喜びの中、大海人の舎人達と大海人は、今までのお互いの関係が変わったことを感じます。もはやともにの山を駆ける間柄ではなくなってしまったのです。

    確実に戦いの準備を進めていく大海人ですが、その心は大きく揺れます。勝利への確信を得たかと思えば、近江側に恐れも抱きます。その都度、舎人や讃良に励まされて心を奮い立たせます。近江

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    2016年06月29日
  • 天の川の太陽(下)

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    まず、壬申の乱の記紀の少しの記述からここまでの物語に仕上げるその想像力がすばらしい。小説とはそういうものだといわれたらそれまでであるが、にしても天智天皇と天武天皇の関係を時代背景(と思われる状況)を丁寧に辿りながら、額田王や讃良姫等の恋物語も混ぜながら単なる歴史書に留まらない人間関係の物語として昇華させている。
    壬申の乱はそれほど印象深く日本史の教科書で取り扱われているわけではないが、本書を読んで大和-飛鳥-奈良時代の歴史への関心が深まった。

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    2016年06月20日
  • 天の川の太陽(上)

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    ネタバレ

    大海人皇子を主人公に壬申の乱を描く長編小説の前半です。
    この巻では658年の有馬皇子処刑から、天智天皇が亡くなる672年までの物語が語られます。
    記紀や万葉集、藤原家伝を相当に読み込み、なおかつ独自の見解も含め、話を大きく盛り上げていきます。
    当初は皇太弟として次期天皇の有力候補とされ、兄の中大兄皇子からも頼られる大海人ですが、百済や高句麗の撲滅や白村江の戦での倭国大敗、唐の進出といった韓土の状況、教養溢れる大友皇子の出現などによって、次第に政治から遠ざけられていきます。その間の大海人の心理を丹念に描き、とても面白く読めます。
    そして、主人公以上に異彩を放つのが妻であり中大兄の娘である鸕野讃良

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    2016年06月01日
  • 天風の彩王(上)藤原不比等

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    ネタバレ

    天智と中臣鎌足が築いた近江朝は壬申の乱により大海人皇子(後の天武天皇)に倒される。鎌足の子・不比等は山科で戦乱を逃れたが、中臣氏を疎む天武は、不比等に出世の機会を与えなかった。だが彼は、知謀と強運を武器に昇進をとげ、律令国家の基礎を作っていく。古代史小説の第一人者が描く凄烈な男の実像。

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    2012年03月22日
  • 中大兄皇子伝 下

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    既得権益に淫する輩と国内で対峙し、外交では唐・新羅の侵略を畏れる。一体、真の敵は誰なのか?人望高まる弟に嫉妬し、妹に肉欲を覚える権力者の胸中には、孤独感と猜疑心が膨らんでいった。そして最大の理解者・中臣鎌足がこの世を去った後、改新の英雄の体にも異変が―。歴史巨編、ついに終末へ。

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    2012年03月22日
  • 中大兄皇子伝 上

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    ネタバレ

    吾の裡には鬼が棲みついている!新しい律令国家を建設するために必要なことは「革命」。それを邪魔する者は心を鬼にして殺さなければならない、と若き皇子は、蘇我入鹿の首に刀を突き刺した―。数々の禁忌を打ち破り、大化の改新の立役者となった中大兄皇子。その常人離れした野望を描いた歴史大作。

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    2012年03月22日
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 終焉の巻

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    大和王権の権威を東国に示すため東征の旅の途にある倭建(ヤマトタケル)は、駿河を従え、最大の目的地である毛野国に迫る。しかし房総半島に向かう途中、愛する妃・弟橘媛が海神の犠牲となって命を絶つ。弟橘媛の死と暗躍する大和の敵対勢力を前に、東征の意味を自問する建は、戦うことの無意味さを悟り、自分のために生きることを決意する。陸路、大和への帰路についた建を再び宮簀媛が待ち受けていた。再会は不幸の予兆となるのか?自らの運命に立ち向かうため、建は最後の戦いに臨む。黒岩重吾最大の古代史小説、遂に完結。

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    2012年03月22日
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 西戦の巻(下)

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    強大な賊・鼻垂との激戦に勝利した倭男具那は、束の間の休息ののち、宇沙国を後にし、狗奴国を目指して軍を進める。熊襲の勢力下に踏み入った男具那たちに次々に襲いかかる賊、壮絶な戦の中で、男具那にとって大切な命も失われていく。そして、ついに熊襲の首長、川上タケルの主力軍と対峙した時、男具那は、自らその最大の敵を討つべく、激情を込めて剣を抜きはなつ―。ヤマトタケルの生涯を描く古代史小説の新境地、壮大な歴史ロマン。

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    2012年03月22日
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 西戦の巻(上)

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    大和王朝の王子であり、勇猛にして心優しき英雄、倭男具那。彼は女王・倭姫王の託宣に従い、熊襲と呼ばれ、九州で猛威をふるう狗奴国との戦いに出陣することを決心する。西を目指す男具那、その途には、狗奴国の勢力の北上にともなって各地で蜂起する賊たちが立ちはだかる。そして、女人剣士・羽女らを軍に加え、宇沙地方を跋扈する賊・鼻垂との壮絶な戦の幕は開いた―。日本最古の英雄、ヤマトタケルの生涯を描く歴史叙事詩、待望の第二弾。

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    2012年03月22日
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 東征の巻(下)

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    大和に残してきた弟橘媛を想い、女人を近づけないと決意していた倭建だったが、宮簀媛の誘惑には抗しきれず、次第にその虜となっていく。東征の任務を忘れ、尾張にとどまる建に、大和は疑いの目を向ける。建の危機に気づいた弟橘媛は、建を宮簀媛の魔性から解き放つべく、巫女として尾張に下った。弟橘媛は果たして建を救うことができるのか?一方、大和では、大王妃・八坂入媛や謀臣・物部十千根が、建を陥れようと奸計を巡らしていた。英雄ヤマトタケルの生涯を描く壮大な古代ロマン、待望の第三弾の文庫化。

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    2012年03月22日
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 東征の巻(上)

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    九州の熊襲を征討した倭建(ヤマトタケル)は大和に戻った。愛する弟橘媛に若建が生まれ、しばし平穏な日々を送ったのも束の間、倭国統一を目指す父・オシロワケ王(景行帝)は、三輪王朝に服従しない東の国々を討つことを建に命じる。東征を前に、叔母で巫女王の倭姫王は、神宝の剣と、火打石、薬を授け、建を励ました。伊勢の朝日雷郎を平定し、尾張に入った建を、首長・音彦の娘で妖しい魅力を湛えた宮簀媛が迎える。日本最古の英雄を、雄渾な筆致で活写する壮大な歴史叙事詩、「白鳥の王子ヤマトタケル」の第三弾、遂に文庫化。

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    2012年03月22日