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Posted by ブクログ
(上巻から続く)黒岩はその冒険に成功したといえるだろう。もちろん現代人の黒岩が中大兄皇子の思考や心情を完全に把握することなどできるわけがない。しかしこれは歴史を題材にとった小説なのだ。小説であると思えば、読者は黒岩の創出した新しい中大兄皇子像に共感にせよ反発にせよ、その傑出した生涯に何かを感じられるはずだ。
黒岩は、中大兄皇子の人物像について、「激情家である反面、冷静さと冷酷さを兼ね合わせに持つ人物で、ぼくは入鹿より凄いと思う」と述べている。本作でもその中大兄皇子観が反映されている。決めたことはそれがどんなに大胆で非難を浴びる行為だとしても断固としてやり抜く執着心。それは晩年に実弟の大海人皇子を廃し、我が子の大友皇子を即位させる決断にも表れている。後の悲劇を生んでしまったのではあるが。小説の鬼・黒岩が古代の傑物・天智天皇を見事に描き切った作品を楽しんでほしい。
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