岩田靖夫のレビュー一覧

  • パイドン 魂の不死について

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    ソクラテスの処刑の当日にされたという対話。

    初めてイデアの概念が出てきた著作らしく、魂の不死の証明の流れでイデア論が展開されていきます。
    また、ソクラテスの刑死に至る流れや、その悲劇的とも取れるストーリーが、小説としても楽しめました。

    プラトンは今まで何冊か読みましたが、哲学的思想と物語としての流れが簡潔で、1番完成度が高いように感じました。

    翻訳や章分けも丁寧にわかりやすく配慮されていて、初めてプラトンを読むならパイドンがおすすめ。


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    2025年12月02日
  • ヨーロッパ思想入門

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    ギリシアの自然哲学とヘブライの信仰が絡み合い、現代の思想に発展する。ソクラテスは自己の外側ではなく内側へと目を向け、ユダヤ教やキリスト教は正義や愛や生き方を説き、デカルトやカントやハイデガーは自己が世界をどう捉えるかを考え、ニーチェは個人の生き方を、レヴィナスは他者との関わり方を、ロールズは他者との関係ひいては社会のあり方を追求した。
    自分の外側にある自然から、自分の内面、自分は世界をどう認識しているか、自分や世界とはどういう存在者か、自分と他者や社会や世界とはどう関わり合うべきかまで、一連の流れとして面白く追うことができた。

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    2025年04月04日
  • ヨーロッパ思想入門

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    名著!
    本質を抜き出し、力強い文章でまとめる能力が凄まじい。
    特に「第2部ヘブライの信仰」に、脳味噌ブッ飛ばされる。

    はじめに

    ヨーロッパ思想の本質とは、
    ギリシアの思想
    ヘブライの信仰
    の深化発展、反逆、化合変容である。

    ギリシア思想の本質とは、
    人間の自由と平等の自覚→デモクラシー
    理性主義→法と理念が支配する秩序の世界

    ヘブライの信仰の本質とは、
    唯一神・万物の創造主→アニミズムの否定・自然科学
    神の似姿として人間を創造→かけがえのなさ・愛をうけうる者
    神の優しさ→復讐でなく、赦し


    第一部 ギリシアの思想

    エジプトやメソポタミアに比べて、後進の民族。
    地中海世界をギリシア語

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    2025年03月27日
  • ヨーロッパ思想入門

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    2024.11.14-2024.12.01

    ギリシアの思想からヘブライの信仰を通り、それらを礎に開花していった西洋諸国の哲学を、総体的に見つめ直すことができる内容だった。
    そもそもアジア人である私たちがふんわりと触れることになる「哲学」というものの出発地点がどこにあるのか、長い人類史の中で生まれてくる「ディアスポラ」とはどこからやってくるのか、「信仰」とは何か。そういった内容がやさしい言葉で書かれている。
    (しかし、高校生までの私がこれを読んで内容を理解できたかというと難しいと思う。)
    大学生や大人、文化的分野の研究(物語や創作も含め)を行う人には、強くおすすめしたいと思う。
    普段の生活に入

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    2024年12月04日
  • ヨーロッパ思想入門

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    哲学書思想の大きな流れを簡潔に書かれて分かり易いです。今まで毒されたキリスト教しか知らなかったのですが、そこまで恵みを与えることができるの非常に興味深いです。幸福のモデルが示されています。今だ悟り開けてない自己を反省します。

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    2024年09月02日
  • ヨーロッパ思想入門

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    「岩波ジュニア新書にはたまに、子供向けというのが嘘みたいな名著がある」とよく言われる。その筆頭に挙げるべき、まごうことなき名著。

    ギリシア哲学、キリスト教思想に重点を置きつつ、ヨーロッパ哲学を駆け足で新書一冊にまとめたもの。
    特に第3部の中世以降の哲学の章は難解。これで高校生向けは無茶だろう。今後何度も読み返してやっと著者の意図した伝え方に辿り着けるような気がする。
    1,2部はそれに比べれば分かりやすくはあるが、特にギリシア哲学についてはその後の哲学との発展との繋がりが強く意識されており、ソクラテス以前の哲学の代表にヘラクレイトス等でなくクセノパネスとパルメニデスが選ばれている。

    また、キ

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    2025年01月10日
  • ヨーロッパ思想入門

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    「ジュニア」対象ではないほど、難しい。
    記述がギリシア・ヘブライに厚く寄っているが、全体として簡潔にヨーロッパ系の哲学を概観できる。

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    2021年10月25日
  • ヨーロッパ思想入門

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    岩波ジュニア新書ではあるが、無知な私にとっては十分読み応えがあり学ばせてもらった。著者も冒頭に書いているが、ヨーロッパ思想の本質を語るという目的であり、概説しつつも重要なポイントは確実におさえている印象だった。巻末で紹介される読書案内をもとに、更に知りたいという欲求が湧いてくる一冊だった。

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    2021年02月13日
  • ヨーロッパ思想入門

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    名著。分かりやすい。
    ああ、この人の言ってることって、ギリシアの思想が源流だな、的な見方ができるようになる。

    - ヨーロッパの思想の礎石
    - ギリシアの思想
    - 人間の自由と平等
    - 理性主義
    - 哲学:不変の究極的実体の探究
    - 科学:自然の因果関係で現象を説明
    - 数学:純粋な理論を追求

    - ヘブライの信仰
    - ユダヤ教・キリスト教
    - 唯一の超越的な神が天地万物の創造主
    - 神が、己に似せて、人間を想像した
    - 神は愛であり、愛には他者が必要である。それゆえ人間を作った。
    - 「隣人を愛せ」

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    2021年09月08日
  • ヨーロッパ思想入門

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    昨年『論語』を読み終わったあと、次は西洋の思想の本を読もうと漠然と思ったものの、いざ最初の一冊を決めようとすると、なかなか何を読んでいいのかが、わからなくて。
    とりあえず、母に何かおすすめあるかな? と聞いたところ、教えてくれたのがこちらの一冊です。
    昨夏、途中まで読みかけて、現実の慌ただしさにすっかり手が止まっていたのですが、今年に入ってようやく読むのを再開。
    案の定、一度読んだ内容をすっかり忘れていたため(泣)、改めて、1ページ目から読み直しました。

    本書は、古代ギリシア哲学を専門とする学者である著者による、ヨーロッパ思想の入門書です。
    ヨーロッパの思想は、「ギリシアの思想」と「ヘブライ

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    2020年02月02日
  • ヨーロッパ思想入門

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    ヘレニズム(ギリシア)思想とヘブライズム(ユダヤ・キリスト教)思想という二つの流れがあるという観点から西洋哲学史の流れを追う著作。
    哲学史を学ぶうえで大いに役に立つと考えられる。
    ただ、「立憲君主制はなお残存してはいるが次第に形骸化しており、やがて完全なデモクラシーにとって代わられるべきものであることは、現代の常識である」(p196)という記述など、定義が曖昧で何を根拠にしているのか不明瞭な著者の主張には首を傾げてしまう。

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    2025年10月28日
  • パイドン 魂の不死について

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    ネタバレ

    刑死の当日、ソクラテスは弟子たちと「魂の不死」を巡る探求に挑む。魂はいかにして肉体の死を超えうるのか。魂のあり方は人間の生き方にいかなる意味をもつのか。

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    2025年09月17日
  • ヨーロッパ思想入門

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    ヨーロッパ哲学の二つ源泉であるヘレニズムとヘブライズムからはじまり、中世の哲学から実存の哲学まで主要な哲学者を取りあげて、その思想を紹介している。
    ヨーロッパ思想の流れを押さえるための良書だと思う。
    ただ、著者がキリスト教に対して強い想いをもっており、さらに実存主義の影響が強いため、特に新約聖書の章では独自解釈が目立つと思った。善きサマリア人の話や放蕩息子の話など有名な聖書の中のたとえ話の解釈は、一般的な聖書解釈の枠を越えていて、聖書をあまり知らない初学者にとっては却って混乱するのではないかとも思った。
    それ以外については、よくまとまっているし、なにより一人の著者が一貫した考えでヨーロッパ思想

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    2024年12月25日
  • ヨーロッパ思想入門

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    知識人からも絶賛されている不朽の入門書。
    ジュニア新書らしい内容であっさり読めるんですけど、発行当初はじめて読んだときはあまりピンと来なかったというのが正直なところ…その後、多読乱読して15年後に再読するまでは、その凄さとか面白さがわからなかったですね。
    というわけで、面白さを求めるタイプの本としては、初学者には微妙な本だと思います。

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    2024年10月30日
  • ヨーロッパ思想入門

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    『ヨーロッパ思想入門』を読みました
    頭の整理や学び直しに最適な岩波ジュニア新書の中でも人気がある書籍とのこと
    ヨーロッパをはじめとした西洋の思想の歴史を古代ギリシャ、キリスト教、そして近代の哲学・政治学者へと続いていく流れを網羅した書籍です

    ギリシャのあたりなどは語っている内容にばらつきがあるように感じましたが、1つ1つの施行に触れつつも細かくなりすぎないようになっており、流れを知るには最適な1冊ではないでしょうか

    今のヨーロッパ、アメリカの映画などの文化を知る上でも重要な知識が学び直せる書籍でした

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    2024年08月15日
  • 増補 ソクラテス

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    ネタバレ

    著書を残さなかったソクラテスの思想、信念とはいかなるものであったのか、明快な論理で考察している。
    正直教科書とか概説本を読んでいる限りでは逆張りやソフィストとの違いがよく分からないソクラテスなんだけど、徳をなし、善く生きるという哲学の核、超越的な「ダイモ二オン」への敬虔な姿勢が一貫してあることが分かりやすく示されていて勉強になる本だった。決して相手の反駁だけにとどまらない指針が見えたことでソクラテスへの印象もけっこう変わったと思う。徳、善といった概念は具体的にどのようなものが想定されているのかというところまで、弟子たちの思想を例示しつつ丁寧に踏み込んで考察されていてよかった。

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    2023年09月14日
  • ヨーロッパ思想入門

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    ギリシア人。エジプト・メソポタミアから多くを学び、受け継いだ後進の民族。▼ギリシア人の発想法。無駄なものをそぎ落として、普遍・法則・理念を追求。偶然の多様性に埋没していた人類が、本質の恒常性に目覚めた瞬間。明澄な単純さと端正さをもつギリシア神殿。一方、無数の彫刻でおおわれたゴシック様式の聖堂。▼イオニア、ミレトスの自然哲学。現象を神々の介入なしに説明しようとした。哲学の誕生。

    ロールズ。無知のヴェール。人種・性・能力・社会的地位は自己本来のものではない。能力や階級にこだわる人は、自分の存在が理由なき偶然であることを忘れている。

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    2024年05月04日
  • ヨーロッパ思想入門

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    ▼ 印象に残った箇所
    ・「葡萄園の労働者」(『マタイ』20:1-16)を受けて:

     "ヨーロッパの正義論の大原則を立てたのは、アリストテレスの配分的正義という思想であるが、それによれば、各人にその人の価値に応じて与えることが正義であって、すべての人にその人の価値にかかわりなく無差別に同じものを与えるのはむしろ不正である。[...]
     [...] この世の秩序は、優れた者が多くの報いを受け、劣ったものがわずかの報いで満足するという原理で成り立っている。[...] この原理は、アリストテレスが「善とはアレテー(卓越性)の活動である」と規定した思想の現実的形態であり、人類に普遍的な思想で

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    2022年08月29日
  • ヨーロッパ思想入門

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    はじめにの冒頭に「ヨーロッパ思想は二つの礎石の上に立っている。ギリシアの思想とヘブライの信仰である。」とあります。全体像を初級者にもわかりやすく概観させてくれる貴重なガイドブックになっていると思います。岩波ジュニア新書恐るべし。

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    2022年01月25日
  • ヨーロッパ思想入門

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    ヨーロッパの思想の礎石である「ギリシアの思想」及び「ヘブライの信仰」と、そこから発展した諸思想・哲学の歴史について解説した一冊。
    それぞれの思想や哲学の〝本質〟について筆者は嚙み砕いて説明していて、個人的には中学・高校時の教科書よりもわかりやすかった。特に第1部2章「ホメロス」と3章「ギリシア悲劇」がおもしろく、実際に該当の作品を読んでみたくなった。
    無論、この一冊が唯一無二の正解ではないだろうが、入門書としてはかなりレベルが高いのではないだろうか?

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    2023年01月29日