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デカルト,カント,ニーチェ,ロールズらが説く哲学は多彩である.ところが彼らの思想はすべて2つの土台に上に立つ.それはギリシアの思想とヘブライの信仰である.本書は,2つの源泉の本質は何かを,文学や美術,「聖書」から探り,さらに近現代の哲学の深部にどう入りこんでいるかを分析.ヨーロッパ思想がクリアーに見えてくる.
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Posted by ブクログ
ギリシアの自然哲学とヘブライの信仰が絡み合い、現代の思想に発展する。ソクラテスは自己の外側ではなく内側へと目を向け、ユダヤ教やキリスト教は正義や愛や生き方を説き、デカルトやカントやハイデガーは自己が世界をどう捉えるかを考え、ニーチェは個人の生き方を、レヴィナスは他者との関わり方を、ロールズは他者との...続きを読む関係ひいては社会のあり方を追求した。 自分の外側にある自然から、自分の内面、自分は世界をどう認識しているか、自分や世界とはどういう存在者か、自分と他者や社会や世界とはどう関わり合うべきかまで、一連の流れとして面白く追うことができた。
名著! 本質を抜き出し、力強い文章でまとめる能力が凄まじい。 特に「第2部ヘブライの信仰」に、脳味噌ブッ飛ばされる。 はじめに ヨーロッパ思想の本質とは、 ギリシアの思想 ヘブライの信仰 の深化発展、反逆、化合変容である。 ギリシア思想の本質とは、 人間の自由と平等の自覚→デモクラシー 理性主...続きを読む義→法と理念が支配する秩序の世界 ヘブライの信仰の本質とは、 唯一神・万物の創造主→アニミズムの否定・自然科学 神の似姿として人間を創造→かけがえのなさ・愛をうけうる者 神の優しさ→復讐でなく、赦し 第一部 ギリシアの思想 エジプトやメソポタミアに比べて、後進の民族。 地中海世界をギリシア語文化圏にする。 自由と平等による民主制がプライド。 「コスモス」という語。 秩序。宇宙を支配しているのは、混沌とした偶然ではなく、法則であるという見方。 ギリシア神殿。 あらゆる贅物を削ぎ落とした単純な論理性のあらわす秩序の美。 ギリシア彫刻。 普遍的・理想的な美を追求。すべて同じ表情。 不完全な個々の人間を表現しない。存在の資格において劣っているという感覚。 ギリシア哲学においても、個体は、本当の意味では問題になっていない。 個体は普遍概念の網にかからない。そういう意味で、理性の力を超えている。 ↑ この言葉をむしろ、ポジティブに感じる。個体の野獣性。 ギリシア人の神。 そうありたいと願ってやまない、人間の理想化。 永遠化された人間。人間の本質への賛歌。 英雄社会をそのままオリンポスの山頂に投影したのが神々の社会。神々のあいだにも権力闘争・恋愛・不倫・だましあいがある。 ホメロスの叙事詩。 英雄たちの背後には、つねに神がいて、操りの糸を引いている。ギリシア人にとっては神々は実在した。←日本人もキツネに化かされていた。 作家は本質を抜き出し、理念を明晰に表現する。 ディオニソス宗教への嫌悪。 しかし、暗い信仰は根深く、広く行われ続けた。 ↑ アポロン的(秩序)とディオニソス的(混乱)の拮抗から、ドラマ(悲劇)が生まれる、と後にニーチェが指摘。 ギリシア悲劇。アテナイで上演。 「オイディプス王」etc. 人間は存在の有限性という壁にはねかえされて輝きを発し、燃え上がる。 ソクラテス以前の哲学。 パルメニデス。 「あるはある。ないはない」 ↑ 強く思索のインスピレーションを受ける。 現代でも有用な議題。 ソクラテス→プラトン→アリストテレスの師弟系譜。 プラトン「国家」 労働階級・防衛者階級・そして善のイデアを認識する哲人王たる、支配階級。 めっちゃ能力主義。 アリストテレスの政治観。 共同体の構成員=市民=参政権。 「中間の国制」つまり、分厚い中間層が大事。 本当にこの通りなら、政治観には共感しかない。 アリストテレスの倫理観。 魂(プシュケー)=人間の生の全体的な活動。 最上位に理性活動、以下、感覚機能、運動機能、栄養生殖機能の階層構造。 理性こそが、人間たらしめている。 ↑ 生殖機能が軽んじられてるの、アホらしい。 このあたりを、後にフロイトがひっくり返すことになるのだろう。 ギリシア思想全体の印象。 ウザいほど、理性主義! 成長・能力・競争主義! それが、人類の知的活動の基盤になったことは、認めつつも、むしろ、秩序によって否定されながらも底流しているはずの、個体の中にある野獣性・混沌・カオスのほうに共鳴する。 第二部 ヘブライの信仰 聖書の本質は、書かれている内容でなく、その解釈なのだと思った。 歴史的事実や、民話や、誰かの作り話を集めて、それらを統合し、解釈しながら、信仰が形作られていく。 創世記 紀元前6〜5世紀に編集された。 イスラエル人が、自分たちを呑み込もうとする他文化に対して、自分たちを確認し解放するため、独自の神と人間を思想的に彫琢した。民族信仰。 「他者と共にあることを本質とする神」 他者を求め、ロボットでなく、神を拒否しうる者=罪を犯しうる者、自由を持つ者を創造した。 それはいいとして、だとしたら、この神は、かなり嫌なヤツだと思う。モラハラDV親父。 一人ぼっちで、寂しがりやなオッサンが、子供を作ったけど、意味不明な命令や、暴力で支配しているみたいな感じ。 なぜ、このような性格の神が創作されたか?が、気になる。これは、モラハラDV親父が人間社会を牛耳ってきたことのあらわれなのだろうか。 「他者を求め、呼びかける」ことが、愛だとされているが、愛の起源は、間違いなく繁殖行為であり、セックスだろ!と言いたくなるのは、進化論を知った現代人の後知恵なのか。 ちなみに、この神は、人間の呼びかけに応えない事で有名だ。 その後、預言者たちによる、神概念の読み替えによって、民族信仰から少し射程の広い信仰になる。 つまり、解釈変更が信仰を変えていく。 そして、ついにイエスが登場し、超アバンギャルドな解釈変更で、信仰をまったく変えてしまう。 これに、本当に衝撃を受けた。 自分を捨てること、他者に向かうこと、がイエスの教えの本質。 貧乏人・病人・障害者など、汚れているとされ、律法で触れてはならないとされていた人々に寄り添う。律法無視。 取り引きでなく、ただひたすらに与える。見返りを求めない。 能力主義や成果主義を否定し、公平・公正の概念を刷新する。 「法の奴隷・言葉の自動機械・損得マシーン」という、宮台真司の言う現代人が陥っている病を、イエスはことごとく否定している。 というより、宮台真司の思考の元が、イエスなのだろう。 つまりイエスは、法より大切なものに、損得なしで向き合え。言葉より、心に従え。と言っている。 (茨木のり子「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」を思い出す) そして、自分を捨てろと言っている。 金も、地位も、名誉も、才能も、何もかも捨てて、惨めな姿をさらけ出し、助けを求める者として、弱さそのものとして、無防備に他者の前に立った時に、はじめて、人は人に触れることができる。可能性がそこにある。 あらゆる力を捨てなければならない。扉をこじ開けるのではなく、おのずから扉が開くのを待ち続けなければならない。 英雄という概念について考える。英雄的行動とは、じぶんの命よりも、他者の命を優先する行動のことだ。 そして、他者とは、家族や恋人や友人ではなく、見ず知らずの通りすがりの人だ。 自分が好きな人を助けるのは、自己愛である。 偶然に出会った、関わり合いになったら厄介を背負い込むような、苦しんでいる人に寄り添い、一緒に苦しみを背負うのが、愛である。 イエスの教えが、心に刺さる。 圧倒的である。比肩するものがない。キリスト教が世界中に広がり、影響を与えた理由がわかる。 「人間たちの罪を、キリストが十字架に磔にされ死ぬことで贖ってくれた」という超重要なイメージが、どこからくるのか?まったくわからなかったが、その理屈を理解して、衝撃を受けた。 まず大前提として、古来から、生け贄を捧げるという信仰様式がスタンダードとしてある。神の怒りへの贖いである。 旧約聖書において、神はアブラハムに、大事な息子イサクを生け贄に捧げよと命令し、直前に中止命令を出した。あまりにも残酷で意味不明な命令だが、アブラハムを試そうとしたのだろう。神も我が子がかわいいことはわかっている。 その神が、大事な息子イエスを見殺しにしてまで、罪深い人間たちと和解した。 つまり、「神は、かわいい息子を殺してまで、人間たちと仲直りしてくれた」 そして、「イエスは、人間たちのために、自分の命を生け贄として、神に捧げた」 自己愛でなく、他者愛。 神とイエスは、大事な息子の命や、自分の命よりも、他者としての人間全体との和解を選んだ。 この構造を信じて、感謝することが「信仰によって救われる」ことなのだ。 これには、仰天した。 この驚きの構造も、パウロによる旧約の読み替え、新解釈から成っている。 信仰としてのキリスト教には、まるで興味ないが、社会運動家としてのイエスの思想には、激しく胸を打たれる。 一方で、その弱さの肯定を、ルサンチマンとして批判したニーチェ的な思想も気になる。
2024.11.14-2024.12.01 ギリシアの思想からヘブライの信仰を通り、それらを礎に開花していった西洋諸国の哲学を、総体的に見つめ直すことができる内容だった。 そもそもアジア人である私たちがふんわりと触れることになる「哲学」というものの出発地点がどこにあるのか、長い人類史の中で生まれて...続きを読むくる「ディアスポラ」とはどこからやってくるのか、「信仰」とは何か。そういった内容がやさしい言葉で書かれている。 (しかし、高校生までの私がこれを読んで内容を理解できたかというと難しいと思う。) 大学生や大人、文化的分野の研究(物語や創作も含め)を行う人には、強くおすすめしたいと思う。 普段の生活に入り込んでいる何気ない文化の根底に、こうしたヨーロッパの思想は数多くあり、私たちはそこを理解しないまま、享受していることが多いのだと自覚をできる本でもある。 「自由な者である他者を、自分の同類としてくくりうる根拠はどこにもない。」 「寛容とは、自分と異質なものを承認することだ。自分と同質なものならば、だれでも受け入れられるだろう。だが、異質なものを、自分に同化しようとせずに、異質なままで受け入れることが寛容であり、それが異なる人々のあいだの平和共存を可能にする。」 こうした内容は特に私には刺さった。なぜなら、私は他人へ自分との同化を無意識に強要しているタイプの人間だからである。私は、寛容ではなく、矯正を強いていたのかもしれないと思い、自身の振る舞いを反省した。 だが同時に、こうした西洋の宗教観から築かれた文化や思想の上に成立している「理性」や「倫理観」は、私たちアジア人(とりわけ日本人)が無意識に持つ「善」や「中庸」と異なるのではないか、とも考える。 西欧から生まれる多様性を寛容しようとする文化は、あくまでもそうした宗教観を起点にしており、誤解を恐れずに言えば、必ずしも私たちアジア人文化圏の人間と噛み合うとは限らない、とも感じた。
哲学書思想の大きな流れを簡潔に書かれて分かり易いです。今まで毒されたキリスト教しか知らなかったのですが、そこまで恵みを与えることができるの非常に興味深いです。幸福のモデルが示されています。今だ悟り開けてない自己を反省します。
「岩波ジュニア新書にはたまに、子供向けというのが嘘みたいな名著がある」とよく言われる。その筆頭に挙げるべき、まごうことなき名著。 ギリシア哲学、キリスト教思想に重点を置きつつ、ヨーロッパ哲学を駆け足で新書一冊にまとめたもの。 特に第3部の中世以降の哲学の章は難解。これで高校生向けは無茶だろう。今後...続きを読む何度も読み返してやっと著者の意図した伝え方に辿り着けるような気がする。 1,2部はそれに比べれば分かりやすくはあるが、特にギリシア哲学についてはその後の哲学との発展との繋がりが強く意識されており、ソクラテス以前の哲学の代表にヘラクレイトス等でなくクセノパネスとパルメニデスが選ばれている。 また、キリスト教思想から哲学という視点は新鮮だった。巻末にレヴィナスを持ってきているのも、ユダヤ人としての思想的特徴が活かされていて綺麗。 総じて、哲学にはこんな語り方もあるのか、という気づきが多く得られた。もちろん内容は的確だし、文章も格調高く飽きが来ない。 特に後半について、簡単な本ではないが、それでも読んで良かったと思えることは請け負いだし、この本でなくては得られない気づきのある、替えの効かない本だと思う。哲学に興味のある高校生・大学生や、ある程度哲学の本を読んできた大人、あらゆる人に勧めたい骨太な新書。
「ジュニア」対象ではないほど、難しい。 記述がギリシア・ヘブライに厚く寄っているが、全体として簡潔にヨーロッパ系の哲学を概観できる。
岩波ジュニア新書ではあるが、無知な私にとっては十分読み応えがあり学ばせてもらった。著者も冒頭に書いているが、ヨーロッパ思想の本質を語るという目的であり、概説しつつも重要なポイントは確実におさえている印象だった。巻末で紹介される読書案内をもとに、更に知りたいという欲求が湧いてくる一冊だった。
名著。分かりやすい。 ああ、この人の言ってることって、ギリシアの思想が源流だな、的な見方ができるようになる。 - ヨーロッパの思想の礎石 - ギリシアの思想 - 人間の自由と平等 - 理性主義 - 哲学:不変の究極的実体の探究 - 科学:自然の因果関係で現象を説明 - 数学:純粋な理論を追求 ...続きを読む - ヘブライの信仰 - ユダヤ教・キリスト教 - 唯一の超越的な神が天地万物の創造主 - 神が、己に似せて、人間を想像した - 神は愛であり、愛には他者が必要である。それゆえ人間を作った。 - 「隣人を愛せ」
昨年『論語』を読み終わったあと、次は西洋の思想の本を読もうと漠然と思ったものの、いざ最初の一冊を決めようとすると、なかなか何を読んでいいのかが、わからなくて。 とりあえず、母に何かおすすめあるかな? と聞いたところ、教えてくれたのがこちらの一冊です。 昨夏、途中まで読みかけて、現実の慌ただしさにすっ...続きを読むかり手が止まっていたのですが、今年に入ってようやく読むのを再開。 案の定、一度読んだ内容をすっかり忘れていたため(泣)、改めて、1ページ目から読み直しました。 本書は、古代ギリシア哲学を専門とする学者である著者による、ヨーロッパ思想の入門書です。 ヨーロッパの思想は、「ギリシアの思想」と「ヘブライの信仰」の二つを源とする、発展・反逆・変容であるとして、第1部では神話や悲劇などの引用を交えながらギリシアの思想の骨子が語られ、第2部では旧約聖書と新約聖書の解説がなされ、第3部では中世以降、アウグスティヌスからレヴィナスまでのヨーロッパ哲学のエッセンスが紹介されています。 よくよく考えてみると、「思想」に焦点をあててヨーロッパの歴史を辿ったのは、私はこれがはじめての経験で、それがとても新鮮でした。 「アリストテレス」とか、「カント」とか、名前はなんとなく覚えていていも、むかし高校生の時に読んだ世界史の教科書の認識のまま、てんでバラバラに頭の中にそれらが存在していたんですよね。 でも、ロックの社会思想も、ある日突然ロックの頭に生まれたわけではなくて、全部ソクラテスの時代から繋がっていて、様々な思想が歴史を動かして、その歴史から、また前の時代への反省や深化が生まれて、今にいたっているんだな、と。 その意味で、「思想」って、「思想史」でもあって、歴史と背中合わせだということがよくわかりました。 たとえて言うなら、長く続くアイドルグループが、先輩の曲を覚えつつ、新たに自分たちの曲を歌っている感じでしょうか。 私もまた、「人類」というグループのメンバーの一人で、やがては卒業(死)を迎えるけれど、メンバーだった時に歌った曲は、後世のメンバーが歌い継いでくれるのかしら。。。 引き継いでもらえるような、曲を歌っていたいなと思います。 冒頭の「この本で、筆者が意図したことは、ヨーロッパ思想の本質を語ることである。」という一文に象徴されるように、全体的に文章が非常に毅然としているのもこの本の大きな魅力です。 ヨーロッパ思想を学ぶ上で、羅針盤になってくれる本だと思います。
ヘレニズム(ギリシア)思想とヘブライズム(ユダヤ・キリスト教)思想という二つの流れがあるという観点から西洋哲学史の流れを追う著作。 哲学史を学ぶうえで大いに役に立つと考えられる。 ただ、「立憲君主制はなお残存してはいるが次第に形骸化しており、やがて完全なデモクラシーにとって代わられるべきものであるこ...続きを読むとは、現代の常識である」(p196)という記述など、定義が曖昧で何を根拠にしているのか不明瞭な著者の主張には首を傾げてしまう。
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