岩田靖夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
結構なレビューにあるが、タイトルの「ギリシャ哲学入門」はやめた方がいい。全く入門書になっておらず、著者の人生論が結構な濃度でつづられている。個人的にはタイトルと内容とのギャップに戸惑いつつも、内容は良かった。プラトンとアリストテレスの共同体論の差異なんかもわかりやすかった。
アリストテレスが終わったあたりからいよいよ人生論が強まり、最後は宗教に帰結していくが、語り口が新約聖書学者の八木誠一に似てると思ったら、最後に八木を登場させて、自身の思想と類似している人物として紹介していた。私は基本的にはこの書に関しては好感を覚える。しかし現代においてこのような教師然とした「べき論」はどれくらい力を持つ -
Posted by ブクログ
著者がおこなった講演や研究発表の中から、「よく生きる」という問題に関するものを13編収録している。やさしい語り口だが、扱われている問題はきわめて本質的だと思う。
自分がもって生まれた能力を可能な限り展開させて生きてゆくこと、すなわち「自己実現」は、人間の生にとって重要な意味を持っている。だが、このことは人間が「生きること」の半分にすぎない。あとの半分は、他者との交わりのうちにある。自分を強くして、自分を守って、自分が傷つかないようにいつも用心していると、人は孤独になる。自分の「傷つきやすさ」(vulnérabilité)を他者にさらすとき、はじめて本当の意味での他者との交わりが開かれる。